「ほっ」と。キャンペーン

柳家小三治独演会@六花亭ふきのとうホール2017

7年ぶりの柳家小三治独演会。
毎年のように応募するものの、人気公演だけに落選続きで、
半ばあきらめ気味だっただけに今回は望外の喜び。
当日はあいにく吹雪いていましたが、天気にめげるもんじゃ~ありません。
会場は従来の真駒内店から新築された札幌本店ふきのとうホールに。

定刻になり開演。
はじめに登場したのは柳家三之助師匠。
7年前に登場した時は真打ち直前の二つ目でした。
落ち着いた雰囲気で手話落語ネタで笑いをとって「のめる」へ。
お互いの癖を使った化かし合いの古典だが、
演じ分けと小気味のよさがしっかりと伝わる。

続いて柳家小三治師匠登場。
「寒いところ、わざわざ出向いたのは、私の方です。」(笑)
例によって長~いまくらの中で自分は77歳だと言ってましたが、
久しぶりにみると、やはり外見は老けましたね。
脳内残像の師匠は7年前だから、そりゃあ当たり前か。
一瞬言葉に詰まる場面が多くなったし、
「自分で何言ってんのか、わかんなくなっちゃった」と言っては話があちこちに。

50歳の時働いて働いて、ようやく3週間のまとまった休みをとれた。
それで英語をしゃべりたくてUCLA近くに留学した。
というより、字幕なしで映画が観たいと思って行ったとのこと。
でも「英語はベラベラのベにもならない」し、
「あの国の言葉はあの国の方に任せた方が良い」と笑わせます。
米国だと英語を話せない移住者がいっぱいいる。
中華料理店で「This one,please.」と言っても反応は「?」
それでもちゃんと生きている。
だから日本に来て英語で話しかけるオマエが間違っている、と笑わせます。

昨年天皇陛下ご夫妻に呼ばれて一席やってきた時のこと。
「良い座布団がなくてね」そこで思い出したのが六花亭。
夏用の座ぶとんを使わせてもらったというエピソードを披露していました。
(これは帯広本店での独演会で使用しているものなんでしょうね、きっと。)
そして「(これも)言ってみれば、みなさんのポイントのお陰」(笑)

40分余りの長~いまくらを終えて「宗論」へ。
浄土真宗を信仰する父とキリスト教を信仰する息子のいさかいの話。
息子のデフォルメされた話っぷりで笑いをとって、さげは定番どおりに。
落語に入ると言葉の詰まりもなく、淀みなく話の世界に引き込んでいく
その様は、さすが名人という他ありません。

中入り。真駒内では定番だった茶菓の接待がありません。
あのひと時はほんわかして好きだったんですが、少々残念。

再び小三治師匠が登場。
着物を代えて羽織は着ていません。
出る直前に鏡を見て「改めて老けたなー」と笑わせます。
「(世の中には)そそっかしいのが2通りいる」ときて、「粗忽長屋」へ。
以前聞いた「船徳」「付き馬」のようなボリュームのある古典を期待していたのですが、
古典の定番中の定番だが、ちょっとこぶり。
まあ、師匠の年齢を考えたら無理はいけません。
2席聴けただけでもありがてぇ、ってもんです。
しかも、当夜の「粗忽長屋」はお手本のような出来。
どうも、うまいねぇ~、さすがだね~。

最後にご挨拶をし、「表はすっかり晴れ渡って月夜です」と一瞬言葉を切り
破顔一笑して「だったら良いですねぇ~」と会場を再び大笑いさせ、お開きです。
師匠にも、もてなしの変化にも改めて7年の歳月が流れたことを感じましたが、
でも毎年開かれている独演会だけに、ここまで継続してきた師匠にも、
六花亭にも賛辞を惜しみませんね。
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# by capricciosam | 2017-02-02 23:57 | 舞台 on stage | Comments(0)

札幌交響楽団第596回定期演奏会@Kitara2017

【プログラム】
1 J.S.バッハ 管弦楽組曲第3番ニ長調
2 J.S.バッハ 管弦楽組曲第2番ロ短調
e J.S.バッハ 管弦楽組曲第2番ロ短調より第7楽章「パディヌリ」
3 J.S.バッハ 管弦楽組曲第1番ハ長調
4 J.S.バッハ 管弦楽組曲第4番ニ長調
e J.S.バッハ 管弦楽組曲第3番ニ長調より第2楽章「アリア」

管弦楽組曲はJ.S.バッハのオーケストラ曲の代表的作品で、第3番第2曲「エール」が
「G線上のアリア」として演奏会でも耳にすることが多い。
しかし、全曲演奏会となると話は別で、今回が初めてだった。

札響での演奏回数も組曲ごとにみると、第2番が13回と比較的多いものの、
1番、3番は一桁台、4番に至っては今回が札響初演。
つまり「札響とバッハ」は案外ありそうでなさそうな取り合わせだったという訳だ。
その上、出演は団員の半分程度でパートによっては出番なしの変則編成だけに、
定期演奏会より名曲がふさわしいのかも?なんてことも頭をよぎる。
今回は「バッハ・プロジェクト」の第1弾として企画されたようだが、
よくぞ踏ん切ったと企画そのものにあっぱれをあげたい気分だ。

所有するCDでは番号順収録なので、順番に聴くのを常としていたが、
今回の演奏順はポンマーさんの指示によるものだそうだ。
華やかに始まり、協奏曲を経て華やかに終わるという構成は、
全体をひとつの作品としてとらえられ、なかなか新鮮だった。

札響も弦楽器を中心にオーボエ、ファゴット、トラペット、ティパニ、チェンバロが
緊密なアンサンブルを築き、素晴らしい響きが大ホールを満たす。
特に、トランペットとチェンバロは見事だった。
また、フルート協奏曲の趣のある第2番ではフルート首席がソロを務めたが、
堅実で安定感があり十分楽しめた。欲を言えば更なる華か。

ポンマーさんは、古楽器演奏で聴かれるようなゴツゴツした演奏ではなく、
音楽の自然な流れを重視した明るく、親しみに満ちた演奏を求めていたようだ。
昨年秋の特別レクチャー(未聴)でポンマーさんは

「本来の音楽がどんなに陽気な表情にあふれているか、お楽しみください」
 (会場配布資料より引用)

とおっしゃっていたようだが、まさしく本公演ではそれが体現されていたと思う。
もっとも、奏でられた音楽の表情の暖かさ、なじみやすさは温微的、表層的とも
とられかねない側面もあろうから、そういう点では好みは分かれるのかな。
しかし、

「長い間ドイツの民衆の間で発展してきた舞踏音楽と、華麗で洗練されたフランスの
宮廷音楽を合流させ、生活力あふれる素朴な民衆音楽を芸術的な高みに至らせたもの」
 (会場配布資料より引用)

という視点で見ても決して的外れなものだったとは思えない。
会場からはブラヴォー含め盛んな拍手が送られていた。
最後にポンマーさんが楽譜を高く掲げていたのが印象的。

昼公演。客入りは8~9割か。
CD化目指した録音が行われていたが、途中で大きなくしゃみがあったのは残念。

「バッハ・プロジェクト」第2弾は12月定期の「クリスマス・オラトリオ」(抜粋)です。

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# by capricciosam | 2017-01-28 22:19 | 音楽 | Comments(0)

クリスマスの約束@2016

1 夜空ノムコウ ~小田さんのピアノソロで、SMAP解散のタイミングなので沁みたね

MC「18年前に鮮烈なデビューを飾るとともに、スーパースターになりました。
とにかく宇多田ヒカルさんです。出てくるだけで凄いんです。ご存知の方もいるかと
思いますが、実は第1回に出演してもらいたくて手紙を出しました。その時の様子を
ご覧いただきたいと思います。」
しかし、出演は「現状はほんの少し無理」があったという理由で共演叶わず。
この時、断りの手紙がパパから届いたんですね。
手紙で断りというと山下達郎さんを思い出します。

MC「ちなみに、彼女のパパは僕のひとつ下です(笑)16年の時を経て、いよいよです。」

2 automatic

宇多田さんの代表曲を小田さんと二人で。イイネ。やはり彼女の世界は独特だな。
冒頭の歌詞「7回目のベルで受話器をとった君」を目で追ったら、途端に時の隔たりを
感じた。固定電話が衰退して、受話器という概念自体を知らない世代が増えている。
逆に16年前なら無意識に無自覚にもっと心に食い込んでいたんだろうな、と
ふと思った。ヒット曲はその時代の気分を巧みに採り入れているな。

3 花束を君に ~《キャンプファイアーでギター一本でやるように》宇多田さん希望    

MC「小田さんの歌を歌いたいと言ってくれた。『過去の作品からご自由にという感じ
だった、歌詞をみながら「たしかなこと」を聴いていたらぐっときた、ウルっときた。
小手先ではなく、誰でも身近な言葉を使って日常的な風景の中に人の関係性を描く
スタンス、書き屋の言葉。作詞家としても共感』なんか褒められるために聞いたように
なりましたが、そのまま受け止めたいと思います。」 
『』部分は宇多田さんですが、共感しますね。

4 たしかなこと ~ちょっとロックぽく、作品の力強さが浮かび上がるようです

TRICERATOPSの和田唱登場。
MC「あのあと上野樹里ちゃんと結婚しました。今年コンサート終わってから楽屋へ2人で
来てくれて、彼女が気の利いた、貴重なことを話してくれました。後で録音しておけば
良かったと思ったのですが、普通はアンコールは盛り上がる曲をやるのに、ずっと静かな
曲をやるんですね、良い意味でビックリしました。」
札幌公演初日のアンコールはこちらです。

今年はポール・マッカートニーのメドレーです。  

5 JUNK~Waterfalls~Silly,love song(※)~My love

(※)観客も「I love you」を繰り返して参加します。その時の和田さんからの注文
「言われたという雰囲気ではなく、自らやったような雰囲気で」(笑)

小委員会登場。
MC「1960年代の罪のないラブソングです。」

6 Breaking Up Is Hard To Do ~「カマカマダンドヴィドゥダンダン」ノリの良い曲

MC「この曲は大滝さん本人は全部ユニゾンで、コーラスが入ってない。その人に
たてつくことはいかがなものか、と弱気になりました。ですが、あえて大滝さんに
問うてみたいと思います。」

7 君は天然色 ~歌詞の「思い出に色をつけてくれ」で画面がセピア色からカラーに

MC『5年前に高知でやった柳(ジョージ)さんの引退ライブの時、さだ(まさし)さんが楽屋に
現れて「金、女、名誉」この3つを素晴らしいミュージシャンは手に入れている。
さださんはどうなんですかと聞いたら、俺はもうちょっとうまくなりたい。
隣の楽屋で小田さんがずっと練習している。背中ごしに指差して、「なっ!」と。
そうなんです、ミュージシャンはもっとうまくなりたい、この番組は少しお見せできている
と思うんですよ。』(以上、スターダスト・レビューの根本要さん)

8 約束 ~委員会バンドの曲

松たか子登場。
MC「彼女の子供とてもなついてくれてたんですけど、ちょっと嫌われていた。
長いトンネルを抜けて、またなついてくれたんです。」それに対して松さん曰く
「小田さんのカレンダーを見て、かっくんと言ってますよ」かっくん!?(笑)

9 風を集めて ~松本隆さんが見た夢をそのまま歌詞に書いたそうです

JUJU登場。
昭和歌謡のアルバムを出し、全国ツアーのタイトルが「スナックJUJU」(笑)
「ラヴ・イズ・オーヴァー」から欧陽斐斐のお姉さんの中華料理の店になり
お腹一杯の時どうしたら最後の杏仁豆腐を食べないで済むか考えている話に(笑)

10 Both Side,now ~邦題「青春の光と影」小田さん曰く「ちょっと意味が違う」

MC「この歌は40年前くらいにNHKみんなの歌でやっていて、良い曲だなーと、
みんなも良い曲だねと言ってくれたので。」

11 赤い花白い花 ~小田、松、JUJUのトリオで

12 僕等がいた ~小田さんのソロで

MC「今年のクリスマスの約束、はじめにボブ・ディランのこの曲を選びました。
30歳を過ぎた大人を信じるな、ノーベルを受賞しましたが、あの頃のディランなら
拒絶していたと思います。」受賞してくれるな、という残念な気持ちの表れでしょうね。

13 時代は変わる ~改めて歌詞に心打たれる

収録後のインタビューで。
「最後の『時代は変わる』も良かったし、宇多田さんは贈り物みたいなものだし、
30過ぎた大人は信用するな、こっちは70歳になろうとしている、ここで自分のやるべき
音楽や付随する活動もどうなのかな、いつもの人たちががんばってバトンを渡していく、
考える良い機会だったな、この曲を選んだのも何かの因果だったのかなとも思うし。」


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# by capricciosam | 2016-12-26 20:32 | 音楽 | Comments(0)

まなみーるDEクラシック@岩見沢市民会館2016

【プログラム】
1 レスピーギ:リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲
2 ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1919年版)
3 コープランド:市民のためのファンファーレ
4 アンダーソン:ブルータンゴ,フィドル・ファドル,プリンク・プランク・プルンク
5 J.ウィリアムズ:「スターウォーズ」組曲より
         インペリアルマーチ,レイア姫のテーマ,メインタイトル
e エルガー:威風堂々第1番

今年の聞き納めは先月の札響定期演奏会の予定だったのですが、
垣内悠希さんが指揮される演奏会が岩見沢市であるとわかり、
急遽聞き納めを延期しました。
垣内さんは今年新たに札響指揮者になられましたが、
ブザンソン国際指揮者コンクール2011年の優勝者です。
これまで垣内さんが登場する演奏会に接する機会がなく、どのような指揮をされるのだろう
と興味がありました。しかも、今回は実演で聴くのは初めての1と3もあるため楽しみでした。
また、まなみーるで札響を聴くのは2008年以来のことです。

ところで、「ブザンソン国際指揮者コンクール」は1959年小澤征爾さんが優勝して
有名ですが、その後も日本人指揮者の優勝者が続いています。

松尾葉子(1982)、佐渡裕(1989)、沼尻竜典(1990)、
曽我大介(1993)、阪哲朗(1995)、 下野竜也(2001)、
山田和樹(2009)、垣内悠希(2011)
創設以来1992年までは毎年行われていたが、その翌年からは隔年開催となった。
(以上、Wikipediaから引用)

何れもプロの指揮者として一線で活躍されている方ばかりですが、その中で直近の覇者が
垣内さんということですね。

今回は名曲コンサートで、1部ではクラシック、2部では「アメリカ」をキーとした作品の
2部構成になっていましたが、10月エリシュカさんが取り上げた2もありますから、
なかなか期待の持てるプログラムでした。

恰幅の良い垣内さんはまだ三十代。全身を駆使して躍動感のある指揮をされます。
客席からみていると腕を上下左右に自在に伸ばして振られるのが印象的です。
それでも1部ではやや慎重に指揮されているようでしたが、2部ではギアを上げた感じで
より大胆に。アンダーソンの「フィドル・ファドル」では自ら踊るような指揮の場面も。
強弱や緩急のメリハリも良く、札響から見事なアンサンブルを引き出していきます。
これは楽しみな若手が札響指揮者陣に加わってくれました。

2はエリシュカさんの印象がまだ残っているのでつい比べてしまうのですが、
ややテンポが速かったものの、「火の鳥」の色彩感にも富んだ好演でした。
5は2年前の札響定期で下野竜也さんが取り上げられて改めて作品の魅力に触れましたが、
今回も札響サウンズ炸裂とばかりにクラシックの演奏会でも組曲版は全然違和感ないですね。

ただ、お客様の一曲ごとの拍手が途絶えがちだったのか少々寂しかったですね。
最後が盛大だったのはアンコール期待だとしても、札響がなかなか良い演奏をしていただけに、
一曲終わるごとの拍手はもう少しあればなお良しでしたね。
普段演奏に親しむことの少ない方も多いという証なのでしょうが、
もっとクラシック音楽が身近になれば素敵なのに、と思わせられるシーンでした。


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# by capricciosam | 2016-12-04 23:01 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第595回定期演奏会@Kitara2016

【プログラム】

1 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」
e ビゼー(ブゾーニ編) カルメン
e リスト グランド・ギャロップ・クロマティック
2 ワーグナー 「ニーベルングの指環」より
 ・ワルハラ城への入場
 ・ワルキューレの騎行
 ・魔の炎の音楽
 ・森のささやき
 ・ジークフリートの葬送行進曲
 ・ブリュンヒルデの自己犠牲

ワーグナーの代表的作品は歌劇(楽劇)のため、普段生の歌劇に縁遠い身としては
せいぜい演奏会の中で歌劇の序曲を聴くぐらいが生でワーグナー作品に親しむ機会になる。
もっと親しもうと思うと10数分か2~4時間か、という極端な選択をしなければならなくなる。
これが作品鑑賞としてのワーグナーのハードルを高くしている面もあるのかもしれない。
しかし、個人的には序曲集のようなCD一枚でも聴いていて飽きることはなく、
ワーグナー作品の持つ不可思議な魅力にからめとられてしまうのだ。
それほどワーグナー作品自体の磁場は超強力だと常日頃から感じていた。

今回指揮される飯守泰次郎さんは我が国屈指のワーグナー指揮者で、近年札響を
数回指揮されているが、ワーグナー作品は序曲1~2曲程度だっただけに、
今回のようにワーグナー作品でも長大さでは群を抜く「ニーベルングの指環」の
抜粋版演奏は久しく待っていたものだ。

また、「ニーベルングの指環」の管弦楽用の編曲版としては、ヘンク・デ・ヴリーガーに
よる「オーケストラル・アドヴェンチャー」(1992年エド・デ・ワールト指揮、
オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団で初演)があり、14曲を60分程度に抜粋、編曲
している。(以上、Wikipediaによる)
ちなみに、エド・デ・ワールトが2003年PMFに登場した時にこれをとりあげている(未聴)。

ステージ一杯に大幅増員された100名からなる札響は壮観の一語に尽きる。
札響の繊細かつ強烈な音はまるで、飯守さんの指揮にあわせて呼吸するがごときで、
織りなす響きが大ホールを満たすのは痛快至極で、聴き飽きすることはなかった。
近年力をつけてきているだけにどのパートも大健闘だったが、
特に、トロンボーンはじめ金管楽器群が印象深かった。
やはりワーグナー作品には強烈なブラスの咆吼が似合う。
ただ、トッティではオケとしての余裕があまり感じられなかったのは少し残念。

暗譜で通した飯守さんにも驚いたが、安心して聴くことができた。
待った甲斐があるというものだ。歌唱なしでも十分堪能させてもらった。
ただ、歌劇本来の鑑賞としては歌唱もあったほうが良いだろう、とは思う。
飯守さんと札響の組み合わせでワーグナーの歌劇を聴くとなれば、
やはり、2018年の札幌文化芸術劇場開場を待つことになろうか。
こけら落とし公演「アイーダ」以外は未発表だが、ワーグナーも上演されないかな、、

1のホジャノフはアンコール含め大ホールは大いに湧いた。
確かにピアノ小僧ぶりには驚いたし、きれいで迷いのない音は魅力的だとは思うものの、
オケとの一体感があまり感じられず、「皇帝」としては淡々と終わった印象。

昼公演。空席もあまり目立たず客入りは9割程度か。

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# by capricciosam | 2016-11-26 23:58 | 音楽 | Comments(0)

鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン@Kitara2016

【プログラム】

1 J.S.バッハ:ミサ曲ロ短調

バッハ・コレギウム・ジャパン(以下、「BCJ」という。)の演奏会を聴くのは
2007年のメサイア全曲演奏会以来。あの時もあまりの素晴らしさに驚いたものだが、
その後の来札では期待していたバッハの大作がなく、今回まで待ったため、まだ2回目。

今回演奏された作品は晩年のバッハが遺した宗教音楽の大作として知られている。

「(略)スコアには、1733年から死の直前1750年までの長期にわたる筆跡が見られることが
分かっている。(略)痛々しい思いをしてまでこの仕事に込めようとしていたバッハの思いが
何であったか。その目的が何であったか。それは、多大なバッハ研究の蓄積にもかかわらず、
未だ明らかになっていない。(略)この作品の制作は作曲というよりも、むしろ主に様々な
時代に書かれた作品を寄せ集め、一部改作しながら歌詞を変えていくという作業であった。
(略)この作品のなかには、野心を胸に秘めた若々しいバッハと、成熟し自信に充ち満ちた
バッハ、そして年老いて自らの衰えと闘うバッハが一体化されてひとつの人格をなしている。」
(当日配布された佐藤望氏によるプログラム・ノートから一部引用)

若い頃から晩年までに書いた作品を色々と転用しつつ、ひとつの作品としてまとめ上げられた
ものということらしい。佐藤氏はいみじくも「作業」と喝破し、「寄せ集めとパロディー」と
している。こう書くと、お手軽で、薄っぺらな作品との印象を持たれてしまう恐れがあるが、
バッハが様々な技巧を凝らした多彩な響きに耳を傾けていると時間が経つのを忘れる。

さて、作品自体の魅力に加え、演奏するBCJのうまさも加わり相乗効果!
BCJの器楽と声楽が一体となって作り出す明瞭かつしなやかな響きは、宗教的峻厳さという
よりは、むしろ作品に対して謙虚に奉仕するごとき様がしきりに頭に浮かんで仕方なかった。
誠実にして、ぬくもりを感じるという言い方が適切かもしれない。至福のひと時。

終演は予告どおり21時15分だったが、長時間を飽きずに聴かせてもらった。
PブロックとLA、RAのPブロック寄りは入場させていなかったが、それでも客入は8~9割か。
いつかは受難曲を聴かせてもらえたら嬉しいのだが、、、

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# by capricciosam | 2016-11-15 23:52 | 音楽 | Comments(0)

反田恭平×上野耕平 デュオコンサート@Kitara2016

【プログラム】 (D)…デュオ (P)…ピアノ (S)…サキソフォン 

1 シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調(D)
2 リスト:愛の夢-3つの夜想曲より第3番 変イ長調(P)
3 リスト:巡礼の年 第2年への追加「ヴェネツィアとナポリ」より第3曲「タランテラ」(P)
4 デザンクロ:プレリュード、カデンツァとフィナーレ(D)
5 ポノー:ワルツ形式のカプリス(S)
6 グラズノフ:サキソフォン協奏曲 変ホ長調(D)
7 ガーシュウィン/長生淳編曲:ラプソディ・イン・ブルー(D)
e バザン:バザンのロマンス~歌劇「パトラ先生」より

KitaraClub会員限定コンサートは低廉な価格で新進気鋭の音楽家を紹介する趣のようです。
今回はピアノの反田恭平さん、サキソフォンの上野耕平さんのデュオ・コンサート。
実は当初予定にはなかったのですが、TVでお二人を偶然続けるようにみたところ
御両人の活きの良さに俄然興味を覚え、足を運んでみました。

MCではお二人がKitaraとの関わりを話されていました。
上野さんは12年前の吹奏楽コンクールにおいてKitaraで演奏したことがあり、2回目。
反田さんはKitaraの近くに祖父が住んでいたので知ってはいたが、自分で演奏するまでは
と決めてKitaraに足を踏み入れたことがなかったそうなので、今回が初とのこと。

お二人は過去30分程度の共演はあったようですが、今回のようなデュオでの演奏会は初
とのことでした。しかし、1から二人の掛け合いはスムーズです。
バリバリと弾きこなし勢いのある反田さんと精妙な陰影を落ち着いて作り出す上野さん。
楽器の違いがお互いの個性の違いを一層浮き立たせているようでした。
特に、サキソフォンが活躍するクラシック作品はあまりないため、
改めてこの楽器は随分魅力的だなと思いました。

お二人のソロも、それぞれの達者な腕前を披露してもらい魅了されましたが、
やはり掛け合いが楽しかった。デザンクロ、グラズノフ、ガーシュイン。
グラズノフではサクソフォンがソロで、ピアノが「100人のオケ(反田さん曰く)」を
演奏します。ガーシュインでは逆にピアノがソロで、サクソフォンがオケを演奏します。
この役割の反転も楽しかったのですが、丁々発止のやりとりは、まさしく才気煥発。
実に楽しい一夜でした。

P、LA、RA各ブロックは販売しなかったようですが、他の席はかなり入っていましたね。
盛大な拍手に応えてアンコールを1曲。
演奏会終了後のサイン会は長蛇の列でした。
いや~、楽しみな才能が現れましたね。

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# by capricciosam | 2016-11-08 23:57 | 音楽 | Comments(0)

内田光子withマーラー・チェンバー・オーケストラⅠ&Ⅱ@Kitara2016

10月28日【プログラムB】

1 モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番ト長調
2 バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント
3 モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番ハ長調
e シューマン作曲:謝肉祭「4つの音符による面白い情景」 作品9より 「告白」

10月30日【プログラムA】

1 モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番ヘ長調
2 武満徹:弦楽のためのレクイエム
3 モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調 
e モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330より 第2楽章


モーツァルトのピアノ協奏曲を2晩で一挙に4曲。しかも、内田光子さんで。
近年海外オーケストラ公演が激減している札幌では願ってもない演奏会だ。

共演するマーラー・チェンバー・オーケストラ(以下「MCO」という。)は設立されて
19年目の若い室内管弦楽団であるため、歴史ある有名海外オケに比べると
一般的なネームバリューとしては期待できないだろう。しかし、クラウデオ・アバドが
設立に関わり、最近までダニエル・ハーディングが指導し、現在は内田さんや
イザベル・ファウストが友好的な関係を保っているオケとなれば、相当の水準なのだろう
と想像を巡らすことはそんなに難しいことではない。
今回のジャパンツアーでは札幌、東京、大阪、豊田の4都市だけで、室内楽含め3公演が
あるのは東京と札幌のみ。室内楽を除く2回のオーケストラ公演(10/28・10/30)に
足を運んだが、演奏会自体は期待以上で満足度は高い。

内田さんのモーツァルトは期待していた以上に絶品。所有するCDで漫然と聴いていた
各作品を、実はこうなのよ、とポンと見事に提示されたような納得感がある。
また、内田さんのモーツァルトを有名にしたテイト&ECO盤との違いには驚くばかりで
約30年経っても今なお内田さんは進化している証なのだろう。
例えば第20番のぐっとテンポを落とした冒頭からこの名作の緊迫感がひしひしと迫る。
曲を進めてもテンポを落としつつ、細部に抉りをきかせて表現の彫りを深めるかの様は
「進化」というより「深化」というのがふさわしいように感じた。
内田さんならではの説得力に溢れていた。

またMCOの高水準ぶりには驚いた。特に弦楽パートの表現力の高さには驚いた。
バルトークの作品は「ディヴェルティメント」という標題から連想される明るく、愉快な趣
とは無縁で、むしろ暗く陰のある響きが分奏や全奏で激しいリズムを伴って飛び交う。
指揮者なしでいささかの乱れもなく弾き通したが、ブラボーがあちこちから飛んだ。
恐らくこの作品については小生同様期待以上と感じた方が多かったのではないか。
1日目でバルトークを聴いた後なので、2日目の武満への期待も高まるのは当然だった。
浮かんでは消えていく響きの連なりを、案の定見事に演奏していた。
この若いオーケストラの演奏を他作品でも聴きたいものだという気持ちになったが、
今回が一期一会的な演奏会だったのかもしれない、という気持ちも浮かんだのだった。

本公演は《Kitaraワールドオーケストラシリーズ》の一環で開催されており、
チケットも国内オケより高めの設定。だからという訳ではないのだろうが、
10/28公演は空席がとても目立ち、極端な例えだが、一部の人しか入れないリハーサル見学に
近い状態だった。もちろん前売りが開始されてからのプログラムの入替という想定外の事態や
平日の夜公演、そして何よりも興行であるという点は割り引いたにせよ、それでもなお
主催者側には空席を少なくするようもっと手を尽くしてもらいたかったという思いは残る。
あれだけの秀演を展開した演奏者への主催者としてのリスペクトにもならなかったのではないか。
結果論だが、まあまあの入りだった2回目公演の空席状況と31日室内楽公演(未聴)の完売を
併せると、オーケストラ公演は1回公演ならそれほど空席は目立たなかったのかもしれない、
というあまり望ましくない方向性になるのかな、残念ながら。

海外オーケストラの2回公演で思い出すのはジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団
によるブラームス交響曲全曲演奏会
。これも《Kitaraワールドオーケストラシリーズ》の一環
だったが、空席が目立った。好企画だったと思うのだが、今回と併せて考えると札幌における
厳しい側面が浮き彫りにされたような思いも浮かぶ。
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# by capricciosam | 2016-10-29 23:58 | 音楽 | Comments(0)