ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢@映画

「A Chorus Line」は言うまでもなく、奇才マイケル・ベネットの
生んだミュージカルの傑作。
1975年オフブロードウェイでの初演以来、15年のロングランを樹立。
スターを引き立てる額縁の役割しか与えられない彼らだが、
それでもそのオーデイションにかけるひたむきで赤裸々な姿に
胸打たれない者はいないのではないか。

それが16年ぶりにブロードウェイで再制作されることになり、
8ヶ月にわたるオーディションが繰り広げられた。
選ばれるのは3000人から、わずか19人。
キャスティングに当たりオーディションシステムがとられることは
日本でも定着してきたようだが、これほど長期に渡って
厳しい選考が行われるとは想像外。

そのオーデションの様子をドキュメンタリーで追ったものだが、
再演を担当する演出家は初演の振り付けをベネットと
共同担当したボブ・エイビアン、審査員のひとりで
振り付けを教えるのは初演でコニー役を演じたバイヨーク・リー
(彼女がこれまた凄い!いまだ現役ではないのか!?)と、
初演のメンバーも含めて選考にあたる。
一つ一つの役に複数の候補が同じセリフ、ダンスを
繰り返していくが、審査員たちが率直に相談し、検討を重ねる
様子には、まるでこちらが選考の対象になっているような
錯覚が生まれかねない程の迫力がある。

特に印象深かったのは、ポールの役での場面。
ポールはコーラスラインでも重要な役。
オーデションはポールの独白の場面。
ポールはゲイバーでのショーを両親に目撃されてしまう。
しかし、両親は「息子を頼みます」と言ってくれる。
全然和解できなかった父親が初めて「息子」と言ってくれた…
ある役者の審査の場面で審査員が感動し涙を流すのだが、
観ているこちらも同じ思いにとられた。
彼(ジェイソン・タム)はうまい!
この場面だけでも、観た価値はあった。

それから、コニー役には沖縄出身の高良結香さんが挑戦する。
彼女は最終選考に進むが、結果や如何に。

また、映画はオーデションでキャストが決まる過程を縦糸に
進行するが、同時に初演当時の原点も横糸に織り込んでいる。
冒頭にマイケル・ベネットの声が録音されたテープが映し出されて、
ダンサーたちを集めて率直な声を聞いていくという「コーラスライン」の
アイデアのオリジナルが紹介される。
最初は、彼らのインタビューをどうするつもりなのか自分でもわからない
と言っていたベネットが、最後には
「作品にしようと思う、タイトルはコーラスランだ」
と断言している。この時彼には「神」が宿ったんだろうな。
そして初演にキャシー役(難しい役、これまで観た舞台、映画含めて
満足した記憶はない)で出演したドナ・マケクニーの語りや
ベネットの過去の映像でこの映画に深みを増す。
DVDのおまけのメイキング的雰囲気ながら、作品としての質が確保され、
全編コーラスラインの音楽が流れるので、観て、聴いて楽しめる作品。
(しかし、このタイトル。なんとかならなかったのか…)
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by capricciosam | 2008-11-01 22:38 | 映画 | Comments(0)


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