セザンヌ主義@北海道立近代美術館2009

セザンヌ主義という言葉自体はじめて目にしたが、
「主義」という言葉が似つかわしいくらい、セザンヌが同時代や後年の
画家たちに与えた影響は大きかったということなのだろう。

そういうコンセプトのもと展示されている多様な作家の絵には、
なるほど、セザンヌに影響されただろうな、という、よく似た画風の
感じられる作品が少なくなかった。
しかし、なかにはキュビズムのピカソやブラックのように
一見しただけでは、素人には「?」のような作品も…

中でも印象に残ったのは安井曾太郎。
2作の「婦人像」が展示されていたが、1910年代の作品には
その影響がありありと感じられた。
しかし、もう少し後年の作は、代表作「金蓉」へと通じるような
安井らしいスタイルの確立に向けた前進が感じられる作品で、
本作においてセザンヌの影響といっても、浅学非才の身にはちと難しい。
その他、横たわる裸婦像や静物画(これはセザンヌ作と言われても
間違えそうなくらい、実にタッチが酷似している)にも影響が見て取られ、
とても意外な感に打たれていた。
必死の模倣を通じてオリジナリティを獲得していく様は、
どんな分野にも通じる話か。

あと、意外と言えば、小野竹橋。
「えっ、日本画にも!?」
書き込まれている内容は、一見すると伝統的な日本画なのだが、
視線が下(手前)から上(奥)に移動することで、見事な遠近感が出現する。
ちょうどセザンヌの作品で視線の移動にともない
上方にサント=ヴィクトワール山が出現するかの如き、とでも言えばよいか。
どん欲に研究した成果なのだろう。

さらに、意外と言えば、セザンヌ「水浴」(大原美術館)のサイズ。
大原に行ってきた友人からお土産にこの作品の絵はがきをもらって
作品自体は知っていたのだが、まさか実物がタテヨコ20cm程度の
小品だったとは、まったく想像できなかった。
その割に色調といい、構図といいいよく書き込まれているのには驚いた。

展覧会の核となったセザンヌ自体の作品はそう多くはないものの、
企画が楽しく、こんな切り口もあるのだなぁ、と
感心しながら会場を後にした。
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by capricciosam | 2009-03-09 00:45 | 展覧会 | Comments(0)


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