会場で配られた定期演奏会誌の記事に「定期会員アンケート集計結果」
というのがあり、07年12月-08年12月までの定期演奏会で 評価の高かったランキングが掲載されていました。 目についたのは「期待順位」つまり、予想です。 9月の「ピーター・グライムズ」を押さえて期待度が一番高かったのが 今回の3月定期。 「やはり、なぁ~」 この辺は私も会員の方と御同様でした。 さて、注目度のひとつめは、神尾真由子さん。 ご存じ07年チャイコフスキー国際コンクール優勝者です。 優勝後に放送された彼女のドキュメントを観て、その一途に追求する 姿勢の力強さ、真摯さに俄然興味が湧いたのですが、 実は、Kitaraで彼女の演奏に接するのは今回で2度目でした。 04年のノセダ指揮BBCフィルのソリストとして来札していたのです。 あの時は20歳前の、若いが故のがむしゃらさが正面にでた ような印象の方が強く、はっきりいって感心しませんでした。 (もっとも、オケの演奏自体も感心しなかったのですが…) 当時は演奏曲がメンデルスゾーンだったので、今回のブラームスなら、 成長した彼女にふさわしいのでは、という期待です。 聞き終えての感想は、期待は裏切られなかった、というところです。 端正ではあるが、この曲の持つ躍動感とか、力強さを あますところなく描写しており、着実に力を蓄えている様子が伺えました。 まだ、20歳とちょっとですから、もっと伸びていかれるでしょうね。 鳴りやまぬ万雷の拍手に応えてアンコール。 パガニーニ:カプリース13番 ところで、対峙する札響の演奏には少々「?」が。 でも、それは次の「田園」でなんとなく理解できたような気がしました。 注目度のふたつめは、指揮者のハンス=マルティン・シュナイトさん。 神奈川フィルの音楽監督もこの3月まで。 高齢で、歩行も少々覚束ない感じであることを考えれば、 札響とは「一期一会」の可能性大でしょう。 さて、田園を聴き進むうちに、ブラームスで感じた印象がますます深まりました。 音自体はよく整えられていて、決して悪くはないのですが、伸びやかさというか、 放射される熱というのが、イマイチ感じられないのです。 まあ、それは演奏の遅さ、という点にもあるのかな、とも考えたのですが、 昨秋のラトル/ベルリンフィル演奏会でこの曲に感じた「うねり」というものの 対極にあるようなスタイルです。 なにか、そのままで終わりそうな気配でしたが、 あきらめずに集中していたら、突然感動がきたのにはびっくり。 そこで、シュナイトさんの方向性は演奏そのものよりも、曲自体の持つ力で 感動を引き出すタイプなのではないか、と思い至ったのでした。 まあ、これなら地元で熱心なファンがいらっしゃるというのも わからない訳ではないな、というところです。 08/09シーズンの掉尾を飾る定期演奏会にふさわしい内容でしたが、 2日ともチケットは早々に完売で、当日券売場にも長蛇の列ができていました。
by capricciosam
| 2009-03-21 23:38
| 音楽
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