信徒でもないし、これといった美術品も展示されていないようだったが、
襖絵はなかなかみられないな、と思い直し、用事のついでに覗いてみる。 私には東本願寺も西本願寺も区別がつかないので、 歴史のお勉強のような感じであった。 解説によれば東本願寺は幾多の火災に遭っていた。 「蛤御門の変」 江戸末期に京都御所で起きたこの武力衝突事件では、 火災により本堂等が焼失していた。 解説では歴代の門首が徳川家と友好関係にあったことにより 放火されたとあり、思わず「へーっ」 時の権力と友好関係を保つ宗教としては 時勢が時勢だけに裏目にでた、ということか。 こんな因果関係を知っていたら、歴史の勉強ももう少し楽だったかな… 興味をそそられた「襖絵」 中でも円山応挙作の「稚松図/竹雀図」と「竹図/老梅図」 順路に沿って老梅図、竹図、竹雀図、稚松図 と鑑賞することになる。 老梅図は大胆なタッチで一気に仕上げたであろう様が感じられ、 右側の一枚に若い梅が描かれ、ほぼ中央に描かれた老梅からは 伸びた枝が左側の2枚に向かって伸びていき、可憐な花を咲かせている。 大胆な構成ながら、見応えがある。 竹図と竹雀図はともに金地に墨の濃淡を活かした竹林が さわやかな印象を与え、雀が描かれた竹雀図は微笑ましい感じも。 最後の稚松図では若い松が黒々とした墨でひとつひとつ丁寧に 描かれている。 ここに至り、青壮老という創作のモチーフが明確に鑑賞する者に伝わる。 一方、棟方志功の襖絵は、正直「?」 「河畔の呼吸」はなんとか、「天に伸ぶ杉木」はさっぱり、という感じだった。 対面に飾られている有名な「富褸那」や「天女」が作品としての輝きを 放出していることに比べ、なんとも解せないのだが、 棟方志功のエネルギーの奔放さがそのまま噴出したかのようだ。 こりゃ、受け取った東本願寺側もとまどったのではないかな。 しかし、襖絵を観るには会場の狭さが、どうも弱点。 作品との間に十分な距離感を置いて観たかったなぁ… 近代京都画壇の作品の数々も見応えがあったが、 没年不詳の羽田月州の作品もそのひとつ。 これだけの腕がありながら、画歴がほぼ不明というのも不思議な感じ。 また、竹内栖鳳の天女を描いた未完成の下図には、正直ドキっとした。 天女から立ちのぼるエロスの濃厚なこと。 これまで観た栖鳳のいくつかの作品とは異なる指向を感じ、 「果たして、完成していたら…」 未完成に終わったことを残念に思った。
by capricciosam
| 2009-04-12 07:20
| 展覧会
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