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東本願寺の至宝展@大丸札幌店2009

信徒でもないし、これといった美術品も展示されていないようだったが、
襖絵はなかなかみられないな、と思い直し、用事のついでに覗いてみる。

私には東本願寺も西本願寺も区別がつかないので、
歴史のお勉強のような感じであった。

解説によれば東本願寺は幾多の火災に遭っていた。
「蛤御門の変」
江戸末期に京都御所で起きたこの武力衝突事件では、
火災により本堂等が焼失していた。
解説では歴代の門首が徳川家と友好関係にあったことにより
放火されたとあり、思わず「へーっ」
時の権力と友好関係を保つ宗教としては
時勢が時勢だけに裏目にでた、ということか。
こんな因果関係を知っていたら、歴史の勉強ももう少し楽だったかな…

興味をそそられた「襖絵」
中でも円山応挙作の「稚松図/竹雀図」と「竹図/老梅図」
順路に沿って老梅図、竹図、竹雀図、稚松図 と鑑賞することになる。
老梅図は大胆なタッチで一気に仕上げたであろう様が感じられ、
右側の一枚に若い梅が描かれ、ほぼ中央に描かれた老梅からは
伸びた枝が左側の2枚に向かって伸びていき、可憐な花を咲かせている。
大胆な構成ながら、見応えがある。
竹図と竹雀図はともに金地に墨の濃淡を活かした竹林が
さわやかな印象を与え、雀が描かれた竹雀図は微笑ましい感じも。
最後の稚松図では若い松が黒々とした墨でひとつひとつ丁寧に
描かれている。
ここに至り、青壮老という創作のモチーフが明確に鑑賞する者に伝わる。

一方、棟方志功の襖絵は、正直「?」
「河畔の呼吸」はなんとか、「天に伸ぶ杉木」はさっぱり、という感じだった。
対面に飾られている有名な「富褸那」や「天女」が作品としての輝きを
放出していることに比べ、なんとも解せないのだが、
棟方志功のエネルギーの奔放さがそのまま噴出したかのようだ。
こりゃ、受け取った東本願寺側もとまどったのではないかな。

しかし、襖絵を観るには会場の狭さが、どうも弱点。
作品との間に十分な距離感を置いて観たかったなぁ…

近代京都画壇の作品の数々も見応えがあったが、
没年不詳の羽田月州の作品もそのひとつ。
これだけの腕がありながら、画歴がほぼ不明というのも不思議な感じ。
また、竹内栖鳳の天女を描いた未完成の下図には、正直ドキっとした。
天女から立ちのぼるエロスの濃厚なこと。
これまで観た栖鳳のいくつかの作品とは異なる指向を感じ、
「果たして、完成していたら…」
未完成に終わったことを残念に思った。
東本願寺の至宝展@大丸札幌店2009_c0007388_7204013.jpg

by capricciosam | 2009-04-12 07:20 | 展覧会


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