最近の札響の充実ぶりはめざましい。
とは思うものの、たった一人のコンマスによってさらに変わるものなのか、 というのが、今日の演奏会を聴き終えた率直な感想です。 これは現在のコンマスがダメだという意味では決してなく、 「格の違い」の為せる技なんだろう、ということです。 その格上のコンマスとはベルリン・フィルで長年コンマスを務められた安永徹さん。 今春退団後は縁あって北海道にお住まいのようですが、 地元唯一のプロオケ札響との競演はこれまで実現していませんでした。 それがやっと実現した訳です。 今日は札響はほぼ半分程度の室内オケの規模に縮小されています。 初の手合わせ故、その分、コントロールしやすさを選択されたのかな、 と推測するのですが、プログラミングされた曲は以下のとおり。 1曲目シューベルト交響曲第5番 2曲目ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲第1番 3曲目ハイドン協奏交響曲 1曲目では、曲の持つ屈託のなさ、チャーミングさは十分表現されていたものの、 札響の音に少し硬さが残っている感じ。でも、滑り出しは上々。 しかし、2曲目からは競演した札響管楽器の首席奏者の健闘もあり、 オケの音が活き活きとしてきた感じがする。 この曲では安永さんの奥様の市野あゆみさんがソリストとなられたが、 管楽器はトランペットのみで、打楽器はなし、という変則的な構成。 でも、曲自体は聴きやすいもので、ショスタコーヴィチの暗さのかけらもない。 市野さん、トランペット首席の福田さんの達者なソロのせいか、 初めて耳にしたのですが、実に楽しかった。 3曲目も実演では初めてでしたが、ハイドンの腕前を感じさせる作品。 ソロをとられる安永さんも他のソリストとともに前に出られて 時折、グイグイという感じでオケを指揮していらっしゃいましたが、 第三楽章のヴァイオリンソロでは実に優美な音を紡ぎ出されていました。 さすが、です。 鳴りやまぬ拍手とブラボーに応えてアンコールは 「マックス・レーガーの叙情的アンダンテ」 初めて耳にした弦楽合奏曲でしたが、とても素敵な作品でした。 アンコール前に挨拶された安永さんは札響との出会いを 「初めてのような気がしない。家族のようだ」 と、おっしゃっていました。 多少のリップサービスはあるにしても、 札響には自らのレベルアップを兼ねて、少なくとも年に一回は、 安永さんとのこのような演奏会を企画してもらいたいものだと思いました。 <追記> 先日のマレーシア・フィル同様三階席の販売はなく、加えてPブロックもなし。 しかしながら、空席はそれほど目立たず。
by capricciosam
| 2009-09-13 21:47
| 音楽
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