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笑う警官@映画2009

リンクさせていただいている佐々木譲さんの原作の映画化だけに
本日の初日は、昨年から楽しみにしておりました。

<珍しく、ネタバレはありません。安心してお読みください。>
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主人公佐伯たちの裏捜査本部がおかれる
「JAZZ&BAR  BLACK BIRD」
は映画ではすすき野にあることになっているが、原作では
狸小路8丁目にある3階建ての古いビルの一階にある。
道警を訳あり退職したマスターの経営するその店は
奥行き六間ほどで、床は硬い板張りで、フロアには
丸テーブルが7つ並んでいる。

「確かに、アーケードのない狸小路のはずれあたりならありそうだな…」

映画で気になったのは、この店の天井の高さ。
まるで倉庫並なのだが、札幌中心部ではちょいと無理だろう。

そして、映画でも女性巡査殺しの真犯人が判明するまでは
司令塔となる佐伯と小島百合がこの店に陣取ることで印象深い。
全編通じて挿入されるメローなジャズが耳から演出する
ジャージーな雰囲気を、視覚的に決定づける役割を果たす。
これだけで観ている方としてはストーリーを追うという緊張感の割には
くつろいでいる訳だが、さらに画面が長まわしをすることで役者の語りが
多くなり、どうしてもメリハリに乏しく、流れ気味となる。
その分、タイムリミットものの原作の「緊迫感」、「切迫感」を
薄めているのは弱点かもしれない。
また、派手なシーンも少ないため、単調さを感じる向きもあるやもしれぬ。

しかし、事前に原作を読んでいた者としては、その分丁寧に
作り込んだ制作者側の一種のきまじめさも好感される訳でもある。
じゃあ、ただくそ真面目で翻案のひとつもないのか、となると、
いやいや、やはり映画化です。
原作と異なる伏線のはり方、つながり、そして結果が随所に見られ、
「う~ん、こう来たか…」
と、原作とは異なるテイストも堪能できて、仕上がりがりとしては
そんなに不満はない。
ただし、割と地味な仕上がりなので少々損かもなぁ…。
また、ラスト数分の場面の評価は分かれるか。
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<追記>
札幌ロケの場面がかなりあるのかと思っていたのですが、
残念ながら、車のナンバーと道路標識と大通り以外は
多分本州なんだろうということが露骨にわかり、
地元人としては少々がっかり。
例えば、植えられている植物が露骨に道外なのですから、
「う~ん、勘弁して!?」

<追記2>
道警シリーズとしては第2作が写真の「警察庁から来た男」
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この時も道警組織に巣食う巨悪と戦うことになるのですが、
この2作目を読まれた方なら、これを原作とした映画化があるとしたら、
その巨悪は見事に置き換えられて、この映画1作目とつながるんだろうな、
という予感が終盤でピンとくるのでは!?

<追記3>
これは、追記というより蛇足かな。
原作の「うたう警官」が文庫化されるにあたり改題されたというのは
文庫版の佐々木さん自身の後書きをご覧ください。
私の中では「笑う警官」と言えば、やはりマルティン・ベックシリーズなんですね。
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こちらは無差別殺人事件に潜む謎ときで、佐々木さんの原作のタイムリミットもの
とは異なるテイストなんですが、これはこれで当時の一世を風靡したものです。
私も当時は背伸びしてセッセッと読んだものでした…

<追記4>
アジトとなるのが「BLACK BIRD」ときたので、
「ひょっとしたら…」と思ったら、
案の定「bye-bye Black Bird」が挿入されていた。
エンドロールで確認したら、JULIE LONDONでした。
「いいなぁ~」
by capricciosam | 2009-11-14 23:27 | 映画


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