リンクさせていただいている佐々木譲さんの原作の映画化だけに
本日の初日は、昨年から楽しみにしておりました。 <珍しく、ネタバレはありません。安心してお読みください。> 主人公佐伯たちの裏捜査本部がおかれる 「JAZZ&BAR BLACK BIRD」 は映画ではすすき野にあることになっているが、原作では 狸小路8丁目にある3階建ての古いビルの一階にある。 道警を訳あり退職したマスターの経営するその店は 奥行き六間ほどで、床は硬い板張りで、フロアには 丸テーブルが7つ並んでいる。 「確かに、アーケードのない狸小路のはずれあたりならありそうだな…」 映画で気になったのは、この店の天井の高さ。 まるで倉庫並なのだが、札幌中心部ではちょいと無理だろう。 そして、映画でも女性巡査殺しの真犯人が判明するまでは 司令塔となる佐伯と小島百合がこの店に陣取ることで印象深い。 全編通じて挿入されるメローなジャズが耳から演出する ジャージーな雰囲気を、視覚的に決定づける役割を果たす。 これだけで観ている方としてはストーリーを追うという緊張感の割には くつろいでいる訳だが、さらに画面が長まわしをすることで役者の語りが 多くなり、どうしてもメリハリに乏しく、流れ気味となる。 その分、タイムリミットものの原作の「緊迫感」、「切迫感」を 薄めているのは弱点かもしれない。 また、派手なシーンも少ないため、単調さを感じる向きもあるやもしれぬ。 しかし、事前に原作を読んでいた者としては、その分丁寧に 作り込んだ制作者側の一種のきまじめさも好感される訳でもある。 じゃあ、ただくそ真面目で翻案のひとつもないのか、となると、 いやいや、やはり映画化です。 原作と異なる伏線のはり方、つながり、そして結果が随所に見られ、 「う~ん、こう来たか…」 と、原作とは異なるテイストも堪能できて、仕上がりがりとしては そんなに不満はない。 ただし、割と地味な仕上がりなので少々損かもなぁ…。 また、ラスト数分の場面の評価は分かれるか。 <追記> 札幌ロケの場面がかなりあるのかと思っていたのですが、 残念ながら、車のナンバーと道路標識と大通り以外は 多分本州なんだろうということが露骨にわかり、 地元人としては少々がっかり。 例えば、植えられている植物が露骨に道外なのですから、 「う~ん、勘弁して!?」 <追記2> 道警シリーズとしては第2作が写真の「警察庁から来た男」 この時も道警組織に巣食う巨悪と戦うことになるのですが、 この2作目を読まれた方なら、これを原作とした映画化があるとしたら、 その巨悪は見事に置き換えられて、この映画1作目とつながるんだろうな、 という予感が終盤でピンとくるのでは!? <追記3> これは、追記というより蛇足かな。 原作の「うたう警官」が文庫化されるにあたり改題されたというのは 文庫版の佐々木さん自身の後書きをご覧ください。 私の中では「笑う警官」と言えば、やはりマルティン・ベックシリーズなんですね。 こちらは無差別殺人事件に潜む謎ときで、佐々木さんの原作のタイムリミットもの とは異なるテイストなんですが、これはこれで当時の一世を風靡したものです。 私も当時は背伸びしてセッセッと読んだものでした… <追記4> アジトとなるのが「BLACK BIRD」ときたので、 「ひょっとしたら…」と思ったら、 案の定「bye-bye Black Bird」が挿入されていた。 エンドロールで確認したら、JULIE LONDONでした。 「いいなぁ~」
by capricciosam
| 2009-11-14 23:27
| 映画
|
by capricciosam
お気に入りブログ
佐々木譲の散歩地図 代々木よもやま クリオネのひとり言 ちょっと休憩中。。。 falcon's eye 馬耳Tong Poo 盲導犬アイデンとの日記 ... Chocolates 虹の彼方のひとりごと お気に入り続き
◆道内在住の作家
2010年直木賞受賞 佐々木譲資料館 ◆札幌在住8年、 2007年秋京都へ 2014年木更津へ 志水辰夫めもらんだむ ◆「蔵吉」さんのブログ メニューはクラシックCDア・ラ・カルト ◆「ぼくてき」さんのブログ 昭和30's生まれの普通の日々 ◆「むぎ」さんのブログ さや すか くちん ブログパーツ
最新のトラックバック
カテゴリ
以前の記事
タグ
その他のジャンル
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||