エトロフ発緊急電@新潮文庫

沖縄普天間基地移設を巡り、日米関係がぎくしゃくし始めているようだ。
そんなタイミングの今日、12月8日は「今日は何の日」的に言えば、
太平洋開戦の日である。

68年前の昭和16年12月8日、日本海軍機動部隊は米国
ハワイ真珠湾を奇襲し、日米が全面衝突する太平洋戦争が勃発した。
日米にとってもお互いの歴史を語る時、欠かせない「何の日」なのだ。

この時、日本海軍は機動部隊を一旦エトロフ島の単冠湾に
秘密裏に集結させ、洋上数千キロ離れたハワイに向けて進攻した訳だが、
本書ではその動きを事前に察知しようとする米国が送り込んだスパイの動きに
焦点があてられて、開戦前夜の緊迫した重苦しい気分を活写している。
しかも、配された登場人物がそれぞれ陰影深い性格を与えられて、
絡み合う中で物語は次第に緊迫の度を高めていく構成のうまさ。
終盤のクライマックスに向かう様は、まさに極上のエンターテインメント
としても成功している、と言っても過言ではないと思う。
発表当時、数々の賞に輝いたのも頷ける話で、
時代を越えて読み継がれる作品だろう。
c0007388_2365684.jpg

<追記>
後年の情報開示により、作品に登場する「グーフーボーイ」「フォックス」
が実在したことがわかっている。
果たしてどんな人が担い、実際はどうだったのか、興味深いところだ。
<追記2010.2.26>
19日に直木賞受賞式があったのですが、24日は地元中標津町でお祝いの会。

「祝う会は佐々木さんと親しい町民有志が企画した。
友人による直撃インタビューで「一番気に入っている作品は?」の問いに、
佐々木さんは「思い入れがあるのは『エトロフ発緊急電』。
それに『武揚伝』。これは中標津に仕事場を移して最初の作品です。
それと『警官の血』」と、3作品をあげた。」
(以上、朝日新聞より引用)

どれも愛着がある、と言っても許されるのかもしれませんが、
3作品を挙げたのは、常々のココロの準備が出来ていたせい!?
それとも、佐々木さんの律儀さ故!?
でも、哀惜能わざる本作品を筆者自ら挙げていたのは
私としては嬉しい限り。

[PR]
by capricciosam | 2009-12-08 23:05 | 読書 | Comments(0)


<< 白鳥の歌 子供はいらない >>