小田さんのなかでは
「日本の音楽がいまいち前進しないのは、(お互いを)認め合っていない からじゃないのか」という考えが根底にあるようで、 「同じ時代に歌を作ってやってきたんだから、お互いを認め合おう」 という強い動機が、今年の 「大勢のアーティストが一堂に会して、一気に歌い倒す」 という企画になって具体化していったようです。 これまでにも歌番組では類似企画はあったようにも思うのですが、 多忙な参加者の数、事前練習の豊富さ、本番での長時間に渡るメドレー というのは、やはり空前絶後なのかもしれません。 参加をしてくれた何人かのアーティストとの小委員会での議論を重ねるが、 結論はなかなかでない。逆に、厳しい声が相次ぎ、その上スタッフからも 疑問の声「何をやろうとしているのか見えない」 しかし、小田さんは 「言葉にすることを越えて、何かをしようとしている企画なんだよ」 と反論する。 それでも、とりあえず声を出して練習を重ねていき、 本番前日には小田さんが 「各々が物語りを作り始め、各々が完結にむかっている。 (聴いている)お客さんの中にもいきなりストーリーが生まれるはずだ。」 との手応えを感じるまでの到達具合に。 結団式で決まったメドレーのタイトルは、曲の長さそのままの「22'50"」 曲は順番に 1 この日のこと 全員によるユニゾン 2 TRUE LOVE 藤井フミヤ 3 今夜だけきっと スターダスト・レビュー 4 ロマンスの神様 広瀬香美 5 明日がくるなら JUJU 6 明日、春が来たら 松たか子 7 友達の詩 中村中 8 LaLaLa 佐藤竹善 9 恋に落ちたら Crystal Kay 10 Story AI 11 夢で逢えたら 鈴木雅之 12 ハナミズキ 一青窃 13 翼をください 山本潤子 14 HOME 清水翔太 15 YES-YES-YES 小田和正 16 LIFE キマグレン 17 虹 Aqua Timez 18 全力少年 スキマスイッチ 19 Jupiter 平原綾香 20 涙そうそう 夏川りみ 21 青春の影 財津和夫 22 帰りたくなったよ いきものがかり 会場で聴かれた皆さんの感動は相当なものだったのでしょうね。 拍手はしばらく鳴りやまなかったようです。 これだけの数をメドレーした参加者のみなさんの 達成感はいかばかりのものであったか。想像に難くありません。 小田さんも 「言葉を失います。驚いたね。 言葉にして語るとこぼれ落ちそうなのでグッと我慢します。」 「ホント、今日は語りたくないんだ。みんな持ち帰ってほしい。」 と、その感動ぶりを語っています。 最後に、全員が当初の思いどおり 「たしかなこと」をユニゾンで歌い倒して終えました。 小田さんのソロは、わずかに「風のように」のみ。 あと、小委員会メンパーの根本さん(スタレビ)、大橋さん(スキマ)、 吉岡さん(いきもの)と4人で歌った「きよしこの夜」(アカペラで) そして「クリスマス・イブ」ぐらい。 圧倒的に時間を割いたのは、このメドレーとメドレー制作の舞台裏。 従来型の「クリスマスの約束」とは、異なる企画になったのですが、 これはこれで成功したのではないでしょうか。 私もまるでスポーツでもした後のような高ぶりと感動を味わっていました。 <追記12.30> この記事を書いてから当日参加された方(含むアーティスト)の記事を 読みましたが、会場での感動の共有感というのは圧倒的だったようですね。 びっくりしたのは「22'50"」が2回行われていたこと。 事実上のアンコールだったのかもしれませんが、 なんとも豪勢なアンコールです。 関連して、2001年「クリスマスの約束」開始時のエピソードも目にしました。 7人(組)のアーティストへの自筆の手紙を書いて出演依頼すること から始まります。彼らは「SMAP、桑田 佳祐、松任谷 由実、宇多田 ヒカル、 桜井 和寿、福山 雅治、山下 達郎」 結果的には誰も出演してくれず、小田さんだけで番組は進行していくことに。 そうでしたね、すっかり忘却の彼方です。 今年の番組冒頭でも手紙を書いていましたね。 ただペンを持たずに、MACでカチャカチャしていたのが、 時の流れを感じさせます(^^) でも、今回の番組でも根底に流れていた 「同じ時代に歌を作ってやってきたんだから、お互いを認め合おう」 という気持ちは小田さんの中では一貫して変わらなかったことが 当時差し出された手紙でわかって納得しました。 以下、「犬猿の仲」と思われていた山下達郎さんへの手紙です。 長くなりますが、山下さんの返事も併せて引用しておきます。 ☆小田さん→山下さん 突然の勝手な手紙を出す無礼をお許しください。 ある日、TBSから現在あるものとは違う音楽番組をやれないか? という打診があり、そして考えました。 自分の歌を歌えばファンの人は喜んでくれるだろうけれど、 それは目指すものではなく・・・。 僕等のような音楽をやって来た者にとって、今、大切な事は何だろう。 で思ったのです。 それは同じ時代を生きてきて、音楽を創った人達を認め、愛し、尊敬すること なのではないだろうかと。 それをこの番組で表現できないかと。それなら引き受けてみようと。 これは、僕の主観でやろうとしている番組です。 偏見を承知で、批難を覚悟の上で、無数にある名曲から一方的に7曲を選びました。 時代を創ってきた素敵な音楽達を。 それで、あなたの曲をその一曲に選ばせてもらいました。 この曲を一緒に演奏してもらえないだろうか? というお願いの手紙だったのです。 これは、"もしダメだったら他の人に"という企画ではなく、 もし残念ながらあなたの不参加が決まったら、自分ひとりで演奏する つもりで望んでいます。 アーティスト同士が直に触れ合うことで進んでいける場所がある。 音楽としても、音楽という文化の確立としても。 そう信じています。それが見ている人に伝わるように全力で尽します。 たとえ出演を断られたとしても、あなたへの尊敬の気持ちは些かも変わりません。 秋も深まるばかり。風邪などひかぬよう、充実した活動を続けてください。 ☆山下さん→小田さん 前略 小田和正様 ご丁寧な直筆のお便りを頂き、ありがとうございました。 小田さんを始め、TBSのスタッフの皆様方の番組に対するご趣旨は 十二分に理解いたしておりますが、如何せん、私はこれまでテレビの番組 というものに一度も出演したことがありません。 二十年以上前にCMに一度、レコード大賞の授賞式に二度ほど出ましたのが 私のテレビ経験のすべてであります。 もともとご縁が無かった上に、キャリアが加わって、今ではテレビメディアとの関係は 完全に音楽的な部分のみとなっており、こうなりましては今さらどうにもなりません。 小田さんを始め、諸先輩が今なお堂々たる現役としてご活躍されてるということは、 私のような者にとりましては大きな励みであり、目標でもあります。 従いまして、小田さんのおっしゃるアーティスト同士が認め合うという発想にも 十二分共感できますし、できますなら何かお手伝いさせていただければとも 思うのですが、こういうときにはいつも申し訳なく感じております。 もともとこの曲(クリスマス・イヴ)はオフコースに触発されて作ったものです。 青山のアパートの一階がオフコースカンパニーで、二階に私の所属事務所が あった時代でした。あの頃は、私も30歳になったばかりの尖がった盛りでした。 バンドで挫折した私にとって、オフコースはとても重要なライバルで、 敵(失礼!)がバンドのコーラスなら、こっちは一人でとか、 そういったしょうもないことを若気の至りでいろいろと考えたものでした。 長い時を経て、小田さんにこの曲を歌っていただける時代になったとは 本当に感慨無量です。 今後とも一層のご活躍を陰ながらお祈り申し上げております。 まずは取り急ぎお詫びならびにご挨拶申し上げます。 草々 (以上、Music Avenueより引用) 今年の記事の更新は、この追記にて終了です。 (つぶろぐは不定期更新の予定ですが、これとて怪しいモノです、ハイ。) それでは、良い年をお迎えください。
by capricciosam
| 2009-12-26 23:52
| 音楽
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