国家戦略が見えない

久しぶりにNHKスペシャルを観る。
今夜は中国を舞台とした日本、韓国の環境ビジネス競争。

「激烈な工業化で世界最大の汚染発生源ともなった中国を舞台に、
将来の80兆円市場と言われるグリーンビジネス(環境ビジネス)の
主導権を争う“緑色戦争”の火ぶたが切られた。先陣を切ったのは、
半導体、液晶と、日本から次々に盟主の座を奪った韓国。
「低炭素・緑色成長」を国策に掲げ、環境産業でも市場制覇を目指す。
韓国政府は、中国政府と太いパイプを作り、環境関連企業を現地に
送り込んで中国側が抱える具体的な問題を次々に解決。(略)
一方、日本も中小企業を中心に韓国企業の厚い壁に阻まれながらも、
得意の自社技術を活かし中国の環境分野に続々と打って出る。」
(以上、NHKスペシャルサイトから引用)

韓国は環境省の次官がトップセールスを展開する国家ぐるみ。
対する日本は中小企業の孤軍奮闘。
番組では日本企業が中国で地歩を築いていくところで終わるから
健闘ぶりにほっと一安心してしまい、大丈夫そうな錯覚を
起こしがちだが、実は深刻な示唆を与えていることに気づく。

国家ぐるみVS一私企業

競争力の差があり過ぎる点だ。
日本の政府、環境省の影さえ見えない。
巨大な市場を前にして、日本国としての戦略はないのか、
と思わず歯がゆい思いにとらわれてしまった。
自民党政権の「構造改革」の名の下に進められた
官から民へという市場任せ主義のツケであり、
民主党政権の国家戦略の立ち遅れではないのか。
まあ、政権交代後は、ハブ空港、新幹線技術の売り込み等、
国際競争力の強化という戦略を前面に打ち出していることから
放置はしないのだろうが、立ち遅れ感は否めない。

ところで、今話題のTPPも韓国は将来的には参加する予定らしいが、
まずは、米国やEUとのFTA、EPAという個別交渉しやすい
ところから取り組むという戦略・戦術を選択している。
国内の食糧自給率確保につながる一次産業保護をどのように
進めたのか不明だが、少なくとも対策を講じつつ、
歩んできたことは間違いないところだろう。

日本が貿易立国としてこれからも歩む上では、
競争力のある分野での関税障壁を取り払いたいとの考えを
否定する訳ではないが、
TPP参加の一方で一次産業への具体的対策が見えないまま、
「とにかく乗り遅れるな」
という前のめり気味の姿勢優先では、
一次産業が壊滅的打撃を受けるという予測がもっぱらの中、
万一対策が不発に終わった場合に、安心安全とは無縁な、
素性の知れない、怪しげな食糧を食べさせられる可能性大な
一国民としては、TPP参加に不安な眼差しを向けざるを得ない。
この点でも国家戦略が見えない、というのは如何なものか。
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by capricciosam | 2010-11-15 00:12 | 時の移ろい | Comments(0)


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