札幌交響楽団第538回定期演奏会@Kitara2011

エリシュカさんによるチェコ音楽シリーズ第4弾は
ドヴォルザークの声楽曲「スターバト・マーテル」。
詩は磔刑に処されたキリストの十字架の下に佇む聖母マリアの悲しみを
思いやる3行詩からなるが、それを独唱と合唱が重層的に歌い上げていく。
悲劇に直面した悲しみ、鎮魂そしてそれを経ての浄化といった趣きは
東日本大震災後の日本には時宜に叶ったものだ。
エリシュカさんは配布されたパンフ冒頭で次のようにおっしゃっている。

「ドヴォルジャークの「スターバト・マーテル」に決定したのは昨年のことでした。
この悲しみと痛みに満ちた宗教曲を、日本の悲劇に捧げることになろうとは、
当時、誰が想像できたでしょう。(略)今回の「スターバト・マーテル」の演奏は
この大震災の犠牲者の方々へ捧げたいと思います。私だけでなく聴衆の皆様と共に。」
(以上、公演パンフp.3より引用)

実は、今回の定期演奏会を聴きに行くまでは聴いたこともなかったが、
子を次々失なうという悲劇に見舞われたドヴォルザークの慟哭と悲しみが
伝わるかのように感じられる名曲に仕上げられていると思われた。
冒頭の「四重唱と合唱」から声楽陣とオケが絡み合って劇的な効果を高めていくが、
20分あまりのこの一曲だけでも聴き応え十分。
その位この曲は魅力的だと思ったのだが、数多あるスターバト・マーテルとしては
他曲に隠れているらしく、意外だった。
しかし、エリシュカさんの棒の下、札響と独唱陣と3団体による合唱団は
見事に再現していたのは嬉しい限りだった。
独唱陣ではバリトン青山貴の朗々たる歌声が印象に残った。

配布されたプログラムでは休憩なしの約100分と記されていたが、
終わってみると約90分と、かなりテンポよく演奏されたようだ。
80歳になるエリシュカさんは相変わらずきびきびした棒さばきだったが、
例え早足でも演奏にはいささかの手抜きも感じられず、
むしろ緊密な構築ぶりだったように思う。

プレトークでは曲が終わってから、すぐ拍手をせずに余韻を味わった後に
拍手をしていただければ、と言われた。さて、どうなるのかな、と思ったが、
余韻をあまり味わうことなく拍手が始まってしまったのはちょいと惜しい。
2日目。入りは8~9割か。
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by capricciosam | 2011-04-23 23:04 | 音楽 | Comments(4)
Commented by at 2011-04-24 21:39 x
某コンサートの払戻金を握り締めて(中止、二日分、泣)一日目のキタラに行きました。同じプログラムでも生ですから・・・少しずつ違うのが何とも言えない。個人的には大変感動したコンサートでした。三階席からも見て取れる、毅然とした指揮。渾身の合唱。オーケストラの調和。そして、観客の皆さん・・・静かに、静かに、思いを深める時間がありました。
Commented by capricciosam at 2011-04-25 21:04
>のさん、コメントありがとうございます。
>払戻金
そう言えば、クレーメル、ムター、ピリスと大物アーチストの
キャンセルが続いてますね。
残念ですが、原発が安定しないことには
これからもあり得るのかもしれません。

>思いを深める時間
エリシュカさんの思いに叶った理想的な鑑賞のひとときだった
のではないでしょうか。
Commented by よのにょ at 2011-04-28 19:26 x
静けさを持って、マエストロの思いに応えられたとしたら、幸いです。 追伸、ロビーソファでロビーコンサートを待っていたら上田市長がお見えでした。激務の間を縫っての息抜きだったのかな・・・。
Commented by capricciosam at 2011-04-29 22:58
>よのにょさん、コメントありがとうございます。
>上田市長
小生も札響定期で何回かお姿を拝見したことがあります。
やはり「札響くらぶ」の会長ですから、多忙を極める身としても
愛する札響の演奏会には足を運ばれるのでしょうね。


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