安永徹,市野あゆみ&オーケストラHARUKA@Kitara2011

1曲目:モーツァルト/ピアノ協奏曲第22番
2曲目:ウラディミール・マルティノフ/カム・イン!(北海道初演)
3曲目:モーツァルト/交響曲第41番
アンコール:エルガー/弦楽セレナーデより第二楽章

2曲目の「カム・イン!」は全6楽章、約25分の作品であるが、
楽器構成が弦楽パート+独奏ヴァイオリン+チェレスタ+ウッドブロックと変則的。
演奏を聴く前は、ちょっと及び腰の気分もなきにしもあらずだったが、
聴き出すと、たちまちその癒されるが如き不思議な旋律の虜となった。
第一楽章の変奏が繰り返されていくごとに、リラックスしていきながらも、
何故か心の奥底からは泣き出したくなるような感情がフツフツと湧いてくる
という不思議な気分に捕らわれていた。
こんな状態に陥ったのは初めてだっただけに、正直とまどった。

この演奏が終わると、楽器の配置を変える合間に
安永さんがマイクを持って現れ、この曲にまつわる話をしてくれた。

「10年ほど前から二人で室内楽活動をしているが、その一環で40人程度の
室内オケともたびたび演奏している。でも、(市野さんの)ピアノはモーツァルトはじめ
いろいろな協奏曲があるのに対し、独奏ヴァイオリンの数は極めて少ない。
それで、(男性の)みなさんもそうだと思うのですが、私は無精なんですね。
その点、彼女はパッとやっちゃう。何か良い曲はないか、とすぐに楽譜を集めてくれる
のですが、私はぐずぐずして見ようともしない。すると、次はCDです。
そのうちの一枚にこの曲「カム・イン!」が入っていたのですが、
この曲を聴いて二人とも固まっちゃった。」

なるほど、そうだったんですねぇ~。
この曲なら、曲自体に力ありますものね。
今夜の演奏会の白眉でした。
静寂を破りウッドブロックとともに語りかけるがごときチェレスタ。
時にやさしく、時に力強く語る独奏ヴァイオリンに比べ、弦楽パートが
総体的に遠慮したような雰囲気があったが、もう少し包み込むがごとく
半歩前に出ても良かったのではなかったか。

2つのモーツァルト。
ピアノ協奏曲の出だしで管楽器がふらついた時はちょっと心配したが、
それ以降は立ち直り、まずは無難な演奏であった。
しかし、ピアノを含め、淡々と終わったという印象があるのが惜しまれる。
それに比べ、3曲目の「ジュピター」は堂々とした演奏で、この曲が内包する
スケール感を十分感じさせる活き活きとした音が飛び出してきていた。

今回初めてHARUKAの演奏を聴いたので、ゲストコンマスに安永さんが
いない時の音づくりは知らない。だから比較のしようがないのだが、
過去、札響が安永さんをゲストコンマスに向かえた演奏会を聴いた体験から
推測すれば、恐らく今回の演奏はHARUKAの演奏を数段高めた可能性はある
ように思われた。
札響もあの演奏会以来安永さんとの共演がないのが惜しまれる。
もっと積極的に機会を設けてもよいのではないか。
たとえ定期は無理でも、名曲コンサートで企画することなんかができないのだろうか。
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by capricciosam | 2011-06-26 21:40 | 音楽 | Comments(0)


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