小椋佳・歌談の会@札幌ニトリ文化ホール2011

前半は小椋さんの語りを交えて7曲。
1 しおさいの詩
2 さらば青春
3 少しは私に愛を下さい
4 シクラメンのかほり
5 恋語り
6 甘いオムレツ
7 愛燦燦

曲間の小椋さんの語り。
淡々、訥々とお話になるのですが、これがおもしろいんですね。
開演前のアナウンス(飲食は禁止、携帯の電源を切るetc)をネタに
どうぞ自由に食べてください、こんな時代何があるかわかったもんじゃないから、
携帯の電源は入れてかまわないですよ、なんてことを平気で言って会場を和ませます。
傑作だったのは3のネタばらし。
作家というのはいろんな感情をこめて愛や恋の作品を作るんだけれど、
詩の一節「一度も咲かずに散ってゆきそうなバラが鏡に映っているわ」は
自分の事だというんですね。
当時、日本勧業銀行から派遣されてシカゴの大學に留学していて、
3日遅れの日経新聞を読んで日本の情報をつかんでいた。
ある時、一面トップに日本勧業銀行と第一銀行の合併が載っていた。
「えっ、俺どうなっちゃうんだろう。僕に知らせず勝手にやって」
という困惑や恨み節を愛の歌にしたというんですね。
帰ってから歌詞全体を読んでみたのですが、確かにそういう風にも解釈できます。
これが創作のおもしろさであり、解釈の多様さを生むんですね。

「小椋佳は作家と言っているけれど、作家じゃない。
何故なら、全部自分で歌っているじゃないか。
作家は誰かに提供して初めて言えるんだ。」
なんてことを言われだして、初めて他のアーティストに提供したのが4。
布施明さんの大ヒット曲で、一世を風靡した曲です。
布施さんがお礼しますからと言ってくれたが、いつまで経ってもお礼が届かない。
変だなと思っていたら、布施さんの事務所の方から先日しましたから、と言われた。
実は、勤務先の銀行に預金したから、ということだった。
いや、そういうことじゃないんじゃないか、と言って笑わせます。

楽器も弾けない、オタマジャクシも読めない自分が、ここまでやってこれたのは
数々の出会いのお陰だし、さらにルーツは両親だと思う、とおっしゃいます。
飲食業を営む両親が音楽好き。父は琵琶を、母は三味線を弾く。
5は父を、6は母を歌ったものだそうです。
特に、百貫デブ、よく殴られたとお母さんをこき下ろし気味に話されていましたが、
甘いカレー、甘いオムレツのエピソードには母を追慕する気持ちが溢れていました。
戦中戦後は砂糖は貴重品。そんな中を生き抜いてきただけに、
家族への愛情の表れとしての砂糖だったんでしょうね。
我が母も砂糖を多用する口なので、このエピソードには共感できました。

来年1月には67歳になられる小椋さん。
勤めていた頃、企業の社長室にはウルマンの青春なんてよく掲示されていたけれど、
いくら「こころの若さ」だと言っても、この歳になるとそうは言ってられない。
最近同窓会に出ても、若い頃の天下国家やどう生きるべきかなんて話題じゃなく、
病気や墓といった加齢による話題ばかり、といって会場を笑わせます。
ほぼ満席に近い会場もほぼ同年代中心ですから、身近で共感できるんでしょうね。

後半は三味線の高橋考さんやバックメンバー4名も参加して歌綴り「轍(わだち)」。
小椋さんは語りなのですが、他の方は纏火消し、一膳飯屋の娘、桶職人、米問屋
といった登場人物になって、セリフ入りで30分程の物語を。
みなさん、しっかり話されて良い人情噺に仕上がっていました。
合間に何曲か歌が入るのですが、小生がわかったのは「ただお前がいい」だけでした。

最後に「組織化から個へ」なんて少し固いお話をされていました。
「組織へ帰属」なんて言ったりなんかして、小椋さんの素の知性が。
8 流されはしなかった

<アンコール>
まず、高橋さんが一曲「合歓の恋歌」
終えて登場した小椋さん
「アンコールは日本の悪しき慣習ですね。僕、もう67歳ですからね。
おいしいお酒とカニが待っているんですよ。」
と、言って笑わせます。そして、良寛さんの「散る桜 残る桜も 散る桜」と
山岡哲舟の「蝸牛 登らば登れ 不二の山」を紹介。
後者については、果たしてかたつむりが富士山に登れるのか、と考えちゃうけれど、
「その姿こそ美しい」のが含意ではないか、とおっしゃっていました。
そして最新アルバムから「祭り創り」を歌ってお開きに。
ここで20時30分。
18時30分開演ですから2時間ちょうどですが、楽しい一時でした。
c0007388_23155997.jpg

[PR]
by capricciosam | 2011-10-07 23:16 | 音楽 | Comments(1)
Commented by 謎の三文字☆村石太 at 2012-05-13 22:03 x
さらば青春 小椋 で プログ検索中です
動画で さらば青春を 聞いています いい歌ですね。私的に最高です。小椋さんというと 東京キッドブラザースを 思い出します。音楽同好会(名前検討中 小椋ケイを 語る会
小椋さん 名曲 多いですね。


<< クマとリンゴ 父と暮らせば@北広島市芸術文化... >>