「スターウォーズⅣ」が公開されたのが1977年。
それから13年後の1990年に「トータルリコール」は制作された。 前者がSF映画の映像へ与えた影響が大きかっただけに、後者については 「10数年後となれば‥」と期待したが、残念ながら映像としては「スターウォーズⅣ」 に及ばず。しかしながら、SF度としては原作の凝った仕掛けとサスペンスぶりを 活かしており、かつA・シュワルツェネッガーのヒーローさを強調したアメコミ風 ティストが楽しい一作だった。 従って、「トータルリコール」自体への印象は小生の中では決して悪くない。 <以下、ネタバレありますので、ご注意ください。> さて、そんな作品が22年を経てリメイクされた。 大きなストーリーの流れはほぼ踏襲しつつ、前作へのリスペクトも感じられる部分も多く、 前作を知ってると思わず「ニヤッ」とする場面があちこちにあるし、グロさも薄れている。 それから、前作ではシャロン・ストーンが演じたニセ妻は、コーヘイゲンの手下との 愛人関係にあり、ストーリー半ばで殺されて「離婚成立」となったのだが、 リメイク版ではコーヘイゲンとの愛人関係に修正されて、終盤まで執拗な追跡をしてくる タフな「鬼嫁」(この訳は秀逸、思わず笑った)に変貌していた。 これはストーリー展開上もわかりやすくて良かった。 また、ニセモノと見破られる時には手のひらの伏線が活きていたね。 22年も経てば情報通信技術の発達は隔世の感があり、CGの発達等も加味すれば、 さらなるバージョンアップを、という期待感を抱くのも不思議ではないと思う。 確かに、小道具やカーチェイスにはふんだんにその成果が感じられ、 前作の映像をはるかに凌駕するものがある。 かつスピード感もあるので、アクション映画として十分楽しめる水準だ。 ただし、支配されるコロニーの雑多ぶりが東南アジア風なのは、 ハリウッド的視線が露骨でステレオタイプなのは、やれやれという感じ。 一方、前作が地球と火星という空間的設定を広くしていたのに比べ、 リメイク版では汚染された地球内での地域的主従関係と設定自体を狭くしたことで 前作に比べSF的大胆さが小粒な印象を受けることと、 (もっとも「フォール」という地球内部を貫通する装置を設定してあるのだが、 それ程ではない)主役のコリン・ファレルのインパクトがシュワちゃんほど強烈では ないため、地味で小粒なアクション作品という印象も禁じ得ない。 何れにせよ、リメイクだけに期待が高すぎると評価が辛くなりがちかもしれませんが、 そんな先入観なしで見たほうが十分楽しめるような気がします。
by capricciosam
| 2012-08-16 22:55
| 映画
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by capricciosam
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