2回目を迎えたPMF-GALAですが、昨年の1回目と違って開幕時から趣向を凝らし、
昨年の1回目のような手探り感も薄れ、企画内容を深めていることが感じられました。 そして、聴く側にもGALAらしい「祝祭」の雰囲気を楽しむ余裕が生じてきた気配が。 双方が響き合いだしたのかな。だとしたら良い傾向ですね。 夏の音楽の祭典を楽しむ習慣として、この方向性を維持してもらたいものです。 さて、そんな今年のPMF-GALAを振り返ってみたいと思います。 構成は昨年同様の2部構成。 第1部は司会進行が昨年同様ソプラノの天羽明恵さん。 さらに第1部は休憩をはさんで前半と後半に別れます。 前半のトップバッターはカナディアン・ブラスが登場し、以下の曲を演奏。 1 シャイト:音楽の諧謔 第1部-第21番 戦いのガイヤルド 2 J・S・バッハ(ロム編):フーガ ト短調BWV578「小フーガ」 3 ガーシュイン(ヘンダーソン編):It Aint't Necessarily So 4 R・コルサコフ(ライデノー編):くまんばちの飛行 たった5人の、しかも管楽器だけとは思わせない超絶技巧で、実に楽しいステージ。 白いスニーカーが実利を考えてのことらしいですが、ユニーク。 次は、期待していなかった組み合わせで、ワデム・レーピンと小山実稚恵さんが登場。 5 チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ 作品34 早くもレーピンの腕達者ぶりを味わうことに。 それを支えるのが小山さんとは、なんとも贅沢なひととき。 終わってからの司会は天羽さんに代わりPMF生のお二人が務めて、 天羽さんの歌とダニエル・マツカワ指揮のPMFオーケストラメンバーで。 6 ベリオ:「フォーク・ソングス」から7曲 ベリオは20世紀の現代作曲家。しかし、取っつきづらさはまったくなく、 聴きながら「ノマド」とか、「吟遊詩人」と言った類の言葉が思い浮かんだ不思議な味わい。 好きな人はやめられないでしょうね。 第1部前半最後は再び小山さんが登場。 7 リスト:「巡礼の年 第2年 イタリア」から第7曲「ダンテを読んで:ソナタ風幻想曲」 リストが好きだったダンテの「神曲」、その地獄編を描写したものらしいのですが、 天羽さんが小山さんに聴いたところによれば冒頭は地獄の門が開く様子だとのこと。 確かにそんな雰囲気があるが、逆に終盤に聴かれるのは地獄の門が閉じるという意味なのかな。 第2年の中では最も長い曲ですが、それでももっと聴きたかったな。 休憩を挟んで後半はPMFオーケストラと4人のソプラノが共演。 この段階で指揮に準・メルクルさんが早くも登場。 全員が新国立劇場オペラ研修所の修了生で今春終了したとのこと。 音大や音大大学院を終えてから、さらに3年間研鑽されているとのことですから、 すでに一定の技量は身につけていらっしゃるのでしょう。 以下( )内は歌われたソプラノ歌手。 8はバロック歌劇のせいかオケの編成も小さかったのですが、9以下はフル編成で。 8 ヘンデル:歌劇「エジプトのジュリアス・シーザー」から クレオパトラのアリア「難破した舟が嵐から」(吉田和夏さん) 9 モーツァルト:歌劇「魔笛」から 夜の女王のアリア「私は苦しむために選び出されたもの」(倉本絵里さん) 10 マスネ:歌劇「エロディアード」から サロメのアリア「美しくやさしい君」(立川清子さん) 11 プッチーニ:歌劇「つばめ」から マグダのアリア「ドレッタの美しい夢」(柴田紗貴子さん) 普段からこの分野はあまり聴かないのですが、ひとくちに「ソプラノ」と言っても 実に多彩ですね。しかも、曲自体の個性と歌い手の個性が醸し出す雰囲気が さらに違いを際だたせているようで楽しめました。 まだオケをバックに歌うのも初めての様子ですが、これからの4人のご健闘を期待。 そして、後半最後は客席も「にわか平原綾香」状態でホルストの木星をベースにした 12 PMF賛歌を合唱です。2回目の方も多かったせいか、昨年よりスムーズに立ち上がり、 声高らかに歌っていたと思います。 第2部は午後5時35分からスタート。 午後3時開演ですから相当時間が経っていますが、休憩も2回合計1時間弱あるので そんなに疲れません。むしろ、ゆったりと時の経過を楽しむ非日常的雰囲気が心地よい。 第2部は通常の演奏会形式で、以下の曲が演奏されました。 13 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26 14 ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14 13のブルッフのこの曲はクラシック音楽の入門当時は、実演でも度々耳にして ヴァイオリン協奏曲の中でもいち早く親しんだもののひとつでしたが、 思い返してもKitaraでは聴いた記憶がありませんでした。 魅力的なメロディと劇的な展開が素晴らしい曲ですが、ソリストのレーピンは 実に楽々と弾きこなしていく感じで、あっと言う間の25分でした。 Kitaraでレーピンを聴くのは今回で3回目ですが、毎度のことながら満足度は高いですね。 PMFオーケストラはPMF生のみでしたが、アンサンブルの乱れは感じられません。 14はメルクルさんにとっては自家薬籠中の一曲なのでしょう、暗譜です。 PMFオーケストラの各パート首席には教授陣が座り、いよいよ総仕上げです。 第3楽章までは慎重な運びでオケに目一杯歌わせようとはしていない感じでしたが、 第4楽章からは押さえていたエネルギーを一気に放出させて、 メリハリをつけた見事な大団円となり、会場からは万雷の拍手となりました。 前売券完売で、当日券も発売と同時に即売り切れとのこと。ほぼ満席。 28日のピクニックコンサートで札幌での演奏はラストとなりますが、 今年の「新酒」の熟成も上々のようです。
by capricciosam
| 2013-07-27 21:35
| 音楽
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