久しぶりに芝居を観ました。
地元札幌座の「霜月小夜曲(ノヴェンバーセレナーデ)」です。 「かつての同級生で大の仲良しだった3人娘が、25年という歳月を経て故郷で再会する。 (略)大きなわだかまりと誤解を抱えたまま長い年月を経て25年ぶりに開けられた タイムカプセルから、今は亡き旧友からの思わぬメッセージが届く。」 (公演パンフレットから引用) 3人はそれぞれ、世界に、札幌に、そして残る一人は地元に留まるとくれば、 例えステレオタイプと言われようが、何か「物語」が紡がれない訳がありません。 その「物語」は観てのお楽しみで、ここではネタバレはしません。 その代わりと言ってはなんですが、このお芝居を観るきっかけとなったのは、 リンクさせていただいている作家の佐々木譲さんの記事です。 それはこちらですが、さすがな感想です。 それで、小生のほうは落ち穂拾い的に。 もともと芝居の観劇数は少ないので、素人が偉そうなことは言えませんが、 これまで観た芝居と比べて意表を突く演出が多く、驚きつつ、ニヤニヤされられました。 特に、劇中劇として繰り返される「人形劇」の縦横無尽ぶりな使い方は面白かった。 最初登場した時は唐突な印象が強かったのですが、何回か使われた後では 3人娘にセリフとしてただ「人形劇」と言わせるだけの頃になると、 それだけで小生も含めた客席は受けていました。 「人形劇」は余計なモノというよりは、この芝居を構成する重要なパーツでしたね。 芝居の観劇経験が乏しいので、演出としてのオーソドックスさ加減が不明ですが、 あの演出自体は印象的で、おもしろいですね。 ただ、最初の登場場面では睦美が途中で人形劇に加わるのが客席にバレバレでしたが、 ここは一旦舞台を暗転させるなりして、突如として加わったほうが客席の頭の混乱が 長引きおもしろいのかな、と個人的には思いました。 あと、興味深かった使い方が「仏壇の鈴」。 りっぱな効果音であり、想像をかき立てる大事なファクターでした。 ただ、「人形劇」も「鈴」もやや多用気味で、もう少し使う場面を整理した方が より散漫にならず、効果的、印象的かなとも感じました。 演出で気になったのは「笑い」の取り方。 冒頭のホテルマンの馬鹿丁寧な言い方の「~ほう」の連発や、農協の加藤のTPPを巡る 説明のアルファベット略字の連発の場面などは、聴いていておかしさで吹き出したいのだが、 延々続くので客席で笑うタイミングがとれないもどかしさがありました。 この辺は演出でなんとかならないものでしょうか。 せっかくの客席側の正直な反応ができる「間」なのに、ステージ側に押し切られ、もったいない。 あと、特筆すべきは魅力的な挿入曲と主役3人の歌唱の確かさ。 あのキャンディーズを彷彿とさせる3人組になぞらえた挿入曲はどれも聴かせる上、 歌唱もTV等でよくある学芸会レベルとは違って、しっかりハモッていて、お見事のひとこと。 普遍的なテーマを扱いつつも、TPPなどカレントトピックスもありで、 やや生硬さを残しつつも、しっかり時代を呼吸していることが窺え楽しめました。 巡演予定です。 8/31 江別市・アートスペース「外輪船」 9/5~9/8 東京都・こまばアゴラ劇場 9/11 小樽市・おたる無尽ホービル3Fホール 9/13 石狩市・ArtWarm 9/15 札幌市清田区・清田区民センター 9/16 美唄市・市民会館大ホール 9/17 帯広市・北のれんが・古柏堂
by capricciosam
| 2013-08-30 22:20
| 舞台
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