人は仕事で磨かれる@文藝春秋

◆ 丹羽宇一郎氏の生き様に触れてみる

  盛り上がらない話続きでしたが、私的には嬉しいこともありました。
  葬儀も終えてほぼ落ち着いた頃、仕事を終えて帰宅したところ、
  怪しげな小包が自宅に届いていました。
  「エキサイトからだ、なんだろう」と訝りながら開けてみると、
  応募した本人も忘れていたプレゼント本でした。
  「やった」
  プレゼントの類は当たった試しがない私としては凄いこと。
  
  著者は現役の商事会社会長でこの6月には退任するそうですが、
  社長になってからの生き様は時々新聞やTVでも取り上げられて
  いて、常々興味をもっていました。
  中でも以前新聞に載っていた「ゴルフの本を100冊読んで
  シングルになった」という逸話は印象深いものでした。
  サラリーマンはせいぜい週一回ぐらいしかゴルフできないんだ
  から、筋肉よりも頭脳で覚えるしかない、そのためまず本を読む
  こと、読んで得たコツはラウンドで試して、うまくいったら頭脳に
  インプットする、というものでした。
  たいしたことではないようですが、ちょっとゴルフをかじった人には
  実践がいかに難しいものか、よく分かる話です。
  それでシングルプレーヤーとは凄いなぁ、というのが感想でした。

  さて、肝心の本ですが、さっそく読んでみました。
  ある仕事に取り組んでいれば、到達時間に個人差はあっても、
  その仕事のある一定の技量、地位といった「高み」には達する
  訳です。さて、その高みに達してからどのような行動をするか、
  で仕事を通じて獲得した人間性、人格の陶冶ぶりがうかがえる、
  と私は考えます。
  その点、著者には巨大な組織の頂点を極めながらも、現在の境遇
  を享受しておかなければ、という欲張った意識はなく、その境遇の
  終わった先に視線が向けられていて、むしろ「達観」の域にある
  ように思われました。
  それ故、社長、会長になってからも黒塗りの車を断って、東京近郊
  からの電車通勤を続け、自家用車は「カローラ」に乗り続ける。
  その信条は「社長を辞めたらタダの小父さん」という言葉に集約
  されているようでした。
  では、ビジネスには淡泊か、といったら、全然そうではなく、トップ
  としての果断な経営判断を次々に実行していく手腕には、
  「枯れた」印象は微塵もありません。
  身の処し方の清々しさが、濱の真砂ほどある凡庸な経営者像とは
  かけ離れた印象を与えているのでしょう。
  全編、著者の語りを文章化したようなスタイルで読みやすくなって
  います。
  単なる成功したトップの自慢話やビジネス書としてよりも、むしろ
  「いかに生きるべきか」「人生論」としての側面を強く感じる内容は
  期待に違わぬものでした。
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by capricciosam | 2005-06-18 15:23 | 読書 | Comments(2)
Commented by f16fightingfalcon at 2005-06-21 00:37
こんばんわ。丹羽さんと言えば、会社の業績が悪かったときに「社長の給料をゼロにする」と言うことを実践されたことを思い出します。「ゼロにしてしまったら、社会保険料や税金が大変だった」という感想も正直で印象に残っています。トップは、その位の姿勢で経営にあたってほしいですね。
Commented by capricciosam at 2005-07-02 07:41
f16fightingfalconさん、コメントありがとうございます。
> トップは、その位の姿勢で経営にあたってほしいですね
企業トップの不祥事を目にするにつけ、トップとしての自覚がない人も多いもんだ、と嘆かわしくなります。でも丹羽氏のような身の処し方をするトップもいるんだ、と思えばちょっと救われたような気もしました。トップに立つとは想像以上に厳しいものだと思います。


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