D・ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管@Kitara2014

演奏されたのは以下の曲。

1 R・シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
2 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調
3 ブラームス 交響曲第4番ホ短調

ソリストアンコール
1 イザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタ第5番より第1楽章

アンコール
1 ブラームス ハンガリー舞曲第1番
2 スイス民謡 「エヴィヴァエソチ」

ジンマンがチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の首席指揮者に就任したのが1995年。
それから4年後の1999年に、当時開館して何年も経っていないKitaraに来演した。
ちょうど、ARTE NOVAでリリースしたベートーヴェン交響曲全集が話題になっており、
Kitaraでもベートーヴェン交響曲第7番が演奏された。

新版による演奏では古楽風演奏が話題になっており、期待して出かけたものの、
ステージを見て一部の楽器にそれらしいものが使われていることはわかったが、
素人の耳にはノンビブラート気味でリズムを強調しているな、程度で、
新鮮ではあるが、それほど奇を衒ったものではなかった。
その時、ある意味「中庸」とでも言ったところがジンマンの持ち味なのかな、
という印象が残った。

15年を経て、改めて聴いてみると、まずオケの楽器だが、全てモダン楽器のようだ。
もう、当時のこだわりからは前に進んでいる、ということなのだろう。
また、管楽器の各パートが上手い。当時よりも一層うまいような気がした。
また、ヴァイオリンがエキストラなのだろうが、もの凄く増強されている。
そんなオケを自在に操るジンマンだが、小生が一番楽しめたのはR・シュトラウスの1。
気分としては、相性の良さ的なものがある、という言葉が適当なのかもしれない。

ジンマンは決してオケのパワーを解放させない訳ではなく、
鳴らすべきは十分鳴らしているのだが、それでもしっとりとした、落ち着きを
与えてくれるという印象が残った。先ほどの「中庸」というイメージが蘇る。
これはプログラムも大いに預かっているのかもしれないが、ブラームス晩年の3も
このコンビとしての最後を愛おしむような味わいのある響きが大ホールに満ちた。

2では編成をぐっと小さくして、室内オケ程度に。
ギドン・クレーメルは以前スイス・ロマンド管弦楽団と来札した時に聴いたことがあるが、
激しく身体を動かして、目一杯表現しようという、外に向かってエネルギー放射する
ようなイメージが強くあった。しかし、依然身体全体で表現しようという気配は残る
ものの、当時とは比べものにならない位の穏やかさで、この名曲を丁寧に奏でていく。
先ほど「落ち着き」という表現を使ったが、2を聴いたことがより一層その趣きを
強めたかもしれない。でも、安心して耳を傾けられるだけの腕が衰えたという訳では
決してない。むしろ、逆に当時と比べものにならない位の「深み」を感じたのは
気のせいか。盛大な拍手に応えアンコールを一曲。
これも、ヴァイオリン一丁からいくつもの響きが飛びたす技巧が冴える一曲。凄い。

オケのアンコールは2曲。
1はよく聴く定番なのだが、おもしろかったのは2。
鳴りやまない拍手に応えて指揮台に上がったジンマンが、くるりと客席に振り向いて
なにやらスピーチ。聞取れたのは最後の「‥‥very very Swiss」という言葉だけ。
そして始まるスイス民謡。ホールに響くカウベルの乱打から始まる楽しい一曲で、
これは楽しめました。なるほどスイス気分を味わわせていただきました。
15年前もアンコールが3曲でしたが、ホント、サービス精神溢れる皆さんです。感謝。

客の入りは6~7割といったところか。空席が目立った。
15年前はほぼ満席だったのだから、なんとも寂しい限り。
以前のフィルハーモニア管の時も満席には程遠く、そのうち海外オケでも、
超有名オケ以外の有名オケの来札が途絶えるのではないか、と心配になってくる。
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【はみだし】
3日前に札響定期演奏会を指揮されたエリシュカさんご夫妻も客席で聴いて
いらっしゃいました。
チケットセンター方向から歩いて入場されるのを目撃したのですが、
途中見失い座席まではわからずで、前半は演奏に集中していました。
前半が終わり休憩に。休憩も終わりそうな頃、ホールを見渡していたら
客席のお二人を偶然に発見しました。
エリシュカさんは各楽章とも途中まで身体を前に乗り出されたり、
耳に手をあてたりして実に熱心にステージに集中されているご様子でした。
秋にはブラームスを取り上げられるので、よけい気合いが入ったのかもしれません。
終了後、帰ろうと館外に出たところで、戻られるご夫妻を発見してガラス越しに
写真を撮りましたが、撮っているのに奥様が気付かれ、にこやかに手を振って
いただきました。小生も撮り終えてスマイルしながら手を振って
お返しさせていただきました。
写真はtwitterをご覧ください。
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by capricciosam | 2014-04-15 23:13 | 音楽 | Comments(0)


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