存在の美学@だて歴史の杜カルチャーセンター2014

伊達市噴火湾文化研究所同人は野田弘志、永山優子、廣戸絵美の3名で
構成されている。招待作家をまじえた同人展は隔年で開催されてきたが、
第3回(2014年)は東京、大阪を経て伊達市、札幌市で開催される。

現在の写実主義を先頭で牽引してきた野田さんの話を直接聞くことが
できると知って、高速道路をひた走って伊達展の初日に足を運んできた。

大きな一室に約20点が展示されていた。初日にもかかわらずそれ程
混雑しておらず、ちょっと拍子抜けだったが、お陰で時間をかけて鑑賞する
ことができた。丹念に対象に迫ろうという画家の意気込みのようなものが
多くの作品から感じられ、見応えがあった。もっとも、ギャラリートークの
始まる時刻が近づくにつれ、会場が混雑し始めたのは言うまでもない。
作品鑑賞もさることながら、みなさん同じ思いの方が多かったようです。
野田さんはじめ写実主義を志されている画家から肉声で思いの丈を
聴くことができるのはめったにない機会ですからね。

トークは同人の野田さん、永山さんに、野田永山塾出身の若き2人
(今村圭吾、松永瑠利子)を加えて4人で行なわれた。
コーディネーター役は永山さん。
トーク自体はメモをとって聴いていたが、帰宅して振り返ってみると、
野田さん、永山さんのプロ作家のボリュームが多かったのは予想どおりか。

「これまでは展覧会では観る人が喜んでくれる作品を描こうと思っていた。
そのこと自体はもちろん大事なのだが、自分自身が美しいと感じていることを
はっきりと見つけ出したいと考えるようになった。」
という永山さんの発言で開始された。
永山さんは4点出品されていたが、「共通して感じたものは「生命(いのち)」、
美しいというのは生命に対する愛情なのだと思う。」と続けられた。

次に野田さんは永山さんの発言を受けて、
「存在というものをどう考えるか。生まれて死んでいく、その束の間生きている。
その生命を美しいと感じるように我々はできている。哲学者は小難しく言うが、
美しいと感じる、それを表したいと考えるのが絵描きなんだ。」
とおっしゃる。

対象に心動かされて絵を描かれる画家にとって、その気持ちをどのように表現する
のか、という技法の選択はいろいろあるのだろうが、とかくうわべの細密さばかりで
評価(誤解?)されがちな写実主義をプロ作家として貫いて来られているお二人の
この発言が聞けただけでも来た甲斐があったというものだ。

この他、存在の美学以前、デパートの違い、生と死に関して、現在の人気について等
会場からの質問に対する回答含めて興味深い話が展開されました。
ギャラリートークは伊達展では今回限りでしたが、札幌展では2回企画されている
ようなので、本記事で詳細に書くことは避けたいと思います。
関心のある方はトークに参加されて直接聴かれることをお薦めします。

伊達展 5/18~6/3 だて歴史の杜カルチャーセンター
札幌展 6/21~7/6 札幌芸術の森美術館
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<追記>
伊達展は観覧無料です。近くにお住まいの方は、この機会に。
トーク開始前に野田永山塾の塾生の方から色々お話を聴くことができた。
塾ではお二人は「ああしなさい、こうしなさい」という指導はされず、塾生が自ら気づき、
そして納得するような指導をされているとお話されていたのが印象に残った。
<追記5.20>
札幌展は有料ですが、招待作家がさらに9名増えて見応えが増します。

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by capricciosam | 2014-05-18 23:57 | 展覧会 | Comments(0)


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