尾形光琳300年忌記念特別展@東京・根津美術館2015

今年は尾形光琳没後300年忌にあたるということで、根津美術館所蔵(東京)の
「燕子花図屏風」(国宝)とMOA美術館所蔵(熱海)の「紅白梅図屏風」(国宝)が
56年ぶりに一堂に展示された。2点とも美術の教科書ではよく掲載される
有名な作品であるし、国内にあることからいつかは観たいものだと思っていたが、
東京、熱海と少し距離があるためおっくうが先に立つ悩ましさがあった。
それだけにこの機会を逃すと後悔するなと思い、急遽出かけてきた。

この2点は先に展示されたMOA美術館では対面で展示されたようだが、
根津美術館では並列して展示されていた。実物を観るのは初めてだったが、
「燕子花図屏風」が六曲一双であるのに対して「紅白梅図屏風」は二曲一双と
大きさの違いに改めて気づかされるが、この辺りは印刷物ではわかりにくい。

「燕子花図屏風」は右隻と左隻では様子が異なり、一般的に有名なのは右隻だろう。
右隻では画面一杯にほぼ水平に燕子花がリズミカルに繰り返されるが、左隻では
右肩下がりにフェードアウトするように画面から消えていくため金地の余白が目立ち、
余韻を生んでいる。いずれも金箔に限られた色と単純化された描写が心地よい韻律
を生み出していることは間違いない。今回の展示会のタイトルに「光琳デザイン」とある
のが合点される現代にも通用する優れた意匠性を獲得しているのではないかと思う。

本作品が光琳40歳代の作品であるのに対して、一方の「紅白梅図屏風」は晩年の作品。
真ん中に黒々とした川を配置して、右側には若さを象徴する紅梅が描かれ、左側には
老いを象徴する白梅が描かれている。幹はどちらもたらしこみ技法で味わいがある。
作品解説には「拮抗」と「調和」というキーワードが見られたが、静と動の対比も鮮やかで
黒々とした川の配置も含めて緊張感とともに謎めいた奥行きの深さを感じさせる。
どちらかと言えば「燕子花図屏風」見たさが強かったのだが、見終わると
「紅白梅図屏風」の凄みが強く印象に残ることになった。

本作品以外にも尾形光琳の多様な活動の成果が展示されていた。
中でも、「紅白梅図屏風」の流水の表現に通じるような2つの「流水図乱箱」や「香包」が
印象に残っているが、尾形光琳の画業を広範に紹介する充実した展示であった。
北海道から足を運んで正解だった。
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<蛇足>
チケットを買おうと入口に並んだら、団体が入場するらしくちょっと待たされた。
すると案内する人が「エムオーエーの方はこちらから入場してください。」と言っていたが、
なるほどね。当日は東京でも今年初の夏日ということで、日傘を差したご婦人が目立った。
庭園の燕子花は見頃をやや過ぎていたが、見事な手入れには感心した。
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by capricciosam | 2015-05-14 07:53 | 展覧会 | Comments(0)


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