根津美術館で尾形光琳をみ終わってから青山霊園を横切って国立新美術館に移動。
日帰りのため残りの時間で「ルーブル美術館展」を観ていくか、と考えていたが、 同時に開催されていた「マグリット展」が13年ぶりの回顧展とわかり、 急遽こちらをじっくり鑑賞することにした。 (もっとも、駆け足で「ルーブル美術館展」も覗いてきたのだが、これは別途記述。) マグリットについては代表作は観たことがある程度だったので、画業を俯瞰的に 鑑賞できる回顧展は願ってもないことだった。 ルネ・マグリットはベルギーの代表的画家で、かつ20世紀美術を代表する芸術家。 「言葉やイメージ、時間や重力といった、私たちの思考や行動を規定する"枠"を 飛び越えてみせる独特の藝術世界は、シュルレアリスムの範囲にとどまらず、 その後のアートやデザインにも大きな影響を与えました。」 (以上、マグリット展のちらしから引用) キュビズムの影響を受けてシュルレアリスムに至るのだが、シュルレアリスムである 以上、ひとつの作品の中が合理的に理解される訳では決してない。 むしろ、ありえない要素が詰め込まれることで、鑑賞する者の脳内が 異物感でざわつき、刺激される。そこに鑑賞するダイナミックさが生まれる。 初期は画家の観念が思うように作品に昇華していない「もどかしさ」の気配がある。 それが、のどかな田園を写生しているキャンバスが透明化してキャンバスが 風景と一体化してしまう発想豊かな作品辺りから内面の充実が作品に表現されて いき、次第に画風も安定していき、鑑賞する側も安心して作品に没入できる。 本展覧会のチラシに採用されている「ゴルコンダ」や、「光の帝国Ⅱ」「空の鳥」と いったマグリットを代表する作品の多くはこういう画風の安定した時期に製作されている。 改めて、これらの作品の不思議っぷりに魅了される刺激的な展覧会だった。 6月29日まで開催。
by capricciosam
| 2015-05-23 17:27
| 展覧会
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