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カラヴァッジョ展を鑑賞した後、六本木の国立新美術館へ移動した。 印象派の大家ルノワールは日本人にもなじみ深く、これまでも数え切れないくらいの展覧会が開催されてきたことだろう。本展覧会ではオルセー美術館とオランジュリー美術館が所蔵する作品が100点以上の作品が展示されているだけにルノワール好きにはたまらない。 小生もルノワールやセザンヌ等の印象派から西洋美術に親しんでいった訳だが、ルノワールは良いなとは思えど、大好きという訳でもないという位置付けだ。しかし、彼の代表作「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」は別格。 屋外で音楽、踊り、おしゃべりと社交に興じる楽しげな群衆のひとこまをこれほど色鮮やかに切り取った一枚はルノワール作品の中でも郡を抜く。シンプルに楽しさを追求するルノワール故に、その印象を巧みに絵にした完成度の高さが共感を呼ぶのだろう。ルノワールを語る時に欠かせない作品であるにもかかわらず、これまで来日したことはなく、今回が初来日とは驚いた。実際、本作品の前が一番混雑しており、入場者の関心の高さがうかがい知れた。 その他にも見比べて楽しい作品が展示されていた。①「都会のダンス」と「田舎のダンス」②「ピアノを弾く少女たち」と「ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」 ①は前者で描かれている男女が正式なたたずまいというのは言うまでもないことで女性もとりすまし、画面全体が一種の冷たさを醸し出すのに比べ、後者の男女は服装も正式とは言い難く、あまつさえ女性の口を半開きにした笑顔が素朴さを強調する。ルノワールがどちらに好意的な視線を向けていたかは明らかで、事実この女性は生涯の伴侶となる人であった。他にも「母性 乳飲み子(ルノワール夫人と息子ピエール)」で赤ちゃんの息子にお乳を含ませる夫人の肖像画と、そばに彼女が亡くなった時に作られた彫像も展示されていた。ルノワールの暖かくやさしいまなざしを感じずにはいられなかった。 ②は前者はルノワールの代表的な作品のひとつ。後者はそのモデルとなった二人の少女の5年後を描いているが、構図も異なり平板な印象。モデル、構図含め前者のほうが観る者を惹きつける。 その他、「私は人物画家だ」というコーナーが設けられるくらい、改めてルノワールの肖像画は魅力的だなと感じられた。ルノワールの生涯にわたる画業を俯瞰的に観賞する絶好の機会だった。
by capricciosam
| 2016-05-29 23:12
| 展覧会
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北海道在住の雑食系オヤジです。心に浮かぶよしなしごとを書き散らしていましたが、最近はツイートの記録置き場です。※記事に関係のないTBやコメントは削除します
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