有元利夫~10年の絵と譜@札幌芸術の森美術館2016

DENONから発売されていた有田正広さんのCDのジャケットにはある作家の作品
が使われていた。画像は所有する一枚だが、どことなく中世を連想させる女性が
非現実的な空間に佇んでいる。スカート丈が長く足が隠れているため、
果たして地に足がついているのかどうかすらわからない。
一種浮遊しているようにも見える。不思議な絵だな、と思っていた。
そのわざとらしい作りや構えがバロック音楽には不思議とあっていた。
この作家の方はどなたなんだろうとは思ったものの、特に調べることもなかったが、
先日偶然有元利夫さんという方だと判った。
ちょうど札幌芸術の森美術館で回顧展が開催されていたことから足を運んでみた。
c0007388_20421939.jpg
サブタイトルが「10年の絵と譜」とあるが、38歳で早逝したため作家としての
活動は約10年余りと短く、その間の作品が年齢を追って約120点展示されていた。
絵画作品のテーマはCDジャケット同様、非現実的な空間に佇む一人の女性というのは
共通している。それが手を替え品を替え様々なバリエーションで作られている訳だが、
同一テーマの飽くなき追求というと聞こえは良いとは思うが、
どの作品からも何かを訴えようとした気配は感じられない。
むしろ同一素材をいかに表現するかを楽しんでいる風に思えてくる。
つまり、表現することに熱中していて作品を作成するに至ったモチーフが感じられない、
との穿った見方も可能なのかもしれない。そういう点では表層的として片付けられそう
にも思えるが、それにしては、どの作品も何かを触発される不思議な感覚に陥る。
ただ、晩年には作風を変える気配を感じさせた作品も残されていただけに、
もっと長生きしていたら果たしてどんな有元ワールドを見せてくれていたのだろう、
との思いも残った。

作家はまめに日記をつけていたようで、会場にはそれらの断片が所々掲示されていた。
読んでみると、作品を作る時は素材の組み合わせによる偶然性を楽しみ、風化に関心があり、
作品を見て違和感から立ち止まって考えてもらうことを狙っていたというようなことも
書かれてあった。まさしく、作家の術中にまんまとはまってしまった訳だ。

会場にはバロック音楽を愛した作家が作曲した作品も流されていた。
また当日は第17代Kitara専属オルガニストのジョン・ウォルトハウゼンさんによる
チェンバロによるミュージアムコンサートが約60分開催された。
用意されたイスが足りずに立ち見の盛況だった。
演奏された曲は次のとおり。

1 クープラン クラヴサンド曲集 第1巻 第3組曲より5曲
2 有元利夫 RONDO
3 J.S.バッハ パルティータ第4番ニ長調
アンコールに先日米国で起きた悲劇的な銃乱射事件を悼み一曲(曲名不明)。
c0007388_20311062.jpg

<追記6.21>記事の一部を加筆修正しました。


[PR]
by capricciosam | 2016-06-19 20:31 | 展覧会 | Comments(0)


<< フランス国立リヨン管弦楽団@K... 札響名曲~ウィーン:華麗なるヴ... >>