札幌交響楽団第599回定期演奏会@Kitara2017

【プログラム】

1 シューマン ミサ・サクラ ハ短調
2 マーラー アダージェット~交響曲第5番より
3 マーラー 夕映えのなかで~無伴奏合唱のための
4 ドビュッシー 海~3つの交響的素描

シューマンの宗教曲では「レクイエム」は聴いていたが、1は初めて。
というよりもシューマンの宗教曲自体があまりなじみがない。
札響も今回が初演となる。

「シューマンは早くからルネッサンス時代やバロック時代の宗教音楽に興味を持ち
研究を重ねていたが、そうした伝統を踏まえながら、シューマン独特のロマン的な
和声をふんだんに駆使しているのが大きな特徴と言えるだろう。」
(公演パンフから引用)

この作品は全6楽章からなる約45分の大曲だが、確かに親しみやすいと感じた。
それ以上に、今回初来日したラトヴィア放送合唱団(以下「LRC」という。)の
ハーモニーの高さが第1曲「キリエ」から横溢しており、ついに飽きることなく
聞きとおすことができたのは彼らの比重が高かったと言っても過言ではないだろう。

「合唱王国ラトヴィアのトップ合唱団が初来日。ラトヴィア人にとって合唱は身近
かつ大きな存在だ。1873年から5年に1度開かれている国家行事「歌と踊りの祭典」は
1990年の東欧革命でも大きな役割を果たし、バルト三国の同様の行事のひとつとして
ユネスコ無形文化遺産に登録された。言ってみれば日本の「和食」にあたるのが
「合唱」というお国柄。当然水準は高い。その頂点が1940年創設の
「ラトヴィア放送合唱団」だ。男女12人ずつ24人からなるプロ室内合唱団で、
高度なハーモニーの純正さを保ったうえで、ときに大胆にその魂を歌い上げるような
スタイルは感動的。日本の多くの合唱ファンにも熱狂的に受け入れられるはずだ。」
(月刊「ぶらあぼ」より引用)

盛大な拍手にホリガーさんが楽譜を両手で高く掲げるのが印象的。
さらに、鳴りやまない拍手を中断してホリガーさんが英語で挨拶。
聞き取れた中では「first audience」「in Japan」とあったことから、
今回のLRC初来日での初めての聴衆となったらしい。なんと名誉なことよ。


この一曲だけでも足を運んだ価値があったというものだが、
驚きはこれだけにとどまらなかった。

2で札響とLRCが一緒にステージに登場し、LRCは着席。
まず、マーラー交響曲第5番の有名な「アダージェット」が単独で札響の弦楽パートと
ハープだけで演奏される。これだけでも十分なのだが、曲の終盤でLRCが立ち上がり、
スタンバイする。曲を終えてもホリガーさんは腕を下ろさず、引き続きホリガーさんの
指揮でLRCが3を無伴奏で歌いだす。
クリュトゥス・ゴットヴァルトが16声の合唱曲にアレンジした「夕映えのなかで」だ。
ちょうど、前回来演した時のシューベルトの「アンダンテ」と「未完成」をひとつの
作品として聴かせてくれたのと同じ趣と言ってよいだろう。


驚くべきことに、まるで楽器が鳴っているようだ。
一体どこで息継ぎしているの? 本当に発声しているの?
とても人の声とは思えぬ高度に洗練されたハーモニーが大ホールを満たし、圧倒。
鳥肌が立った。安易に使うべきではないと思うが「完璧」という言葉しか見つからない。
前代未聞の場に立ち会えた幸福感が襲ってくる。
本公演の白眉。というか、生涯に渡って忘れられないもののひとつだろう。

ブラボーが飛び、鳴りやまない盛大な拍手が続き、ついにLRCが再び登壇する事態に。
アンコールはなかったが、機会があるなら、ぜひもう一度聞きたいものだ。

4では指揮者ホリガーが絶好調。
色彩豊かなこの作品の真価に初めて触れた味わいが残った。札響も健闘。
改めてホリガーさんの才人ぶりに舌を巻く。

夜公演。7~8割の入りか。空席が実にもったいなかった。
録音はされていたが、放送用か。

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by capricciosam | 2017-05-19 23:56 | 音楽 | Comments(0)


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