老人と海@新潮文庫

カリブ海のバハマにあるホテルが火災にあった。
ヘミングウェイ博物館があり、ヘミングウェイ
ゆかりの写真や遺品も焼失した
ようです。

このニュースを見て、脳裏に一冊の本がよみがえり、
書棚の奥からその文庫本を引っ張り出してきました。
ヘミングウェイの「老人と海」。
青春時代に読んだ印象深い作品のうちのひとつです。
長編というより、中編程度のボリュームで、
ストーリーはご存じの方も多いと思うので、ご紹介は
文中の主人公サンチャゴの独白である

「おまえは84日の不漁を餌にして、その運を買おうとした。
相手もすんでのところで売ってくれるところだったじゃないか」
                    (新潮文庫 訳:福田恒存)

という凝縮された一文にとどめたいと思います。

私が読んだヘミングウェイの作品は、実はこれだけです。
というより、これ一冊でヘミングウェイという作家自体に
満足してしまった、という気持ちに陥いらせてくれた作品なのです。
ファーストチョイスがラストチョイスになってしまった訳ですから、
出会いというのは不思議なものです。
そのくらいこの作品はシンプルなシチュエーションの中で
自然と人間、老いと若さ、強さと弱さ、運命の皮肉、非情さを
見事に凝縮させていて、完成度の高い魅力あふれる名作です。
また、このハードボイルドタッチが、多分にその後の
私の読書傾向に影を落としているかもしれない、と
今さらながら思わぬでもないですね。
ヘミングウェイゆかりのホテルや遺品が失われたことは
本当に残念だと思いますが、この「老人と海」は
読み継がれていってどの世代においても感動を与えるのでしょう。

まったくの蛇足ですが、現在も新潮文庫で発売されています。
表紙は変わったようですが、現在の価格は420円でした。
ちなみに、引っ張り出してきた当時の文庫本(写真)は
30年以上前に発行されたもので定価100円でしたから、
ごく大雑把に言って、10年で100円ずつくらい値上がりしてきた、
という計算になるんでしょうか。
文庫本も小銭というよりも紙幣で買う、というイメージがここんとこ
ずっーとあったんですが、なんとなく納得できました。
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by capricciosam | 2006-01-15 22:15 | 読書 | Comments(2)
Commented by tokkey_0524zet at 2006-01-17 19:13
 私も読んだのは「老人と海」ぐらいですね。「日はまた昇る」は映画で見ました。

 ところで今日は阪神淡路大震災から11年目。宝塚の「手塚治虫記念館」も震災に負けず人気が再燃している様です。
Commented by capricciosam at 2006-01-18 07:12
>tokkey_0524zetさん、コメントありがとうございます。
>ところで今日は阪神淡路大震災から11年目
早いものですね。亡くなられた方がいたり、家屋を失った方には、単純な時間の経過では済まないものがあるのでしょうが、去る者は日々に疎し、で直接関係しなかった者にとっては、月日の流れの早さにただただ驚くばかりですね。


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