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モーツァルトの誕生日によせて

昨日はモーツァルトの誕生日だったんですね。
すっかり忘れていて、帰宅してニュースを見ていたら
生誕地ザルツブルグの様子が流されていました。
一日遅れですが、生誕250年でもあるし、
メモリアルとして記しておきます。

私にとっての忘れじの一曲は「ピアノ・ソナタ第8番」です。

第一楽章の冒頭からちょっと緊張をはらんだもの悲しい
主題が展開されて一種異様な雰囲気のまま進みます。
第二楽章では第一楽章の精神的に追いつめられている
かのような切迫感から一転して、ゆったりとした歌が
しみじみと歌われていきます。まるで慰めのようですが、
時おり暗い表情があらわれ、第一楽章の気分が連想
されます。
第三楽章はまるで第一楽章に立ち返ったかのような、
悲しい雰囲気が再現され、快速気味に展開して、突如
としてピリオドが打たれ、悲劇的な余韻を残して終わります。

めったに手を出さないジャンルなのですが、この曲の
厳しくも暗い雰囲気がとても印象深く、モーツァルトに抱いていた
イメージとは異なっていました。そこで俄然興味が湧いて
その他のピアノ・ソナタも聴いてみるきっかけとなりました。
総じて典雅な、無邪気な雰囲気の感じのピアノ・ソナタが
多い中で、やはりこの曲は異質な感じがぬぐえません。
よく言われる失職して、求職中のパリで同行していた母が死ぬ、
という状況とも関係しているのかもしれません。

モーツァルトの曲は嬉々として遊んでいるかのような無邪気さ
を感じさせる曲もあれば、なにやら悲しげな雰囲気に充ちている
曲もあります。この曲は後者の中の、人を惹きつけて止まない
優れた作品だと思います。

■写真のCDはこの曲との出会いとなったマリア・J・ピリス
モーツァルトの誕生日によせて_c0007388_11304360.jpg

by capricciosam | 2006-01-28 11:35 | 音楽


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