マッチ・ポイント@映画2006

連休ですが、北海道は接近中の台風13号が気になります。
久しぶりにカミサンと映画を観てきました。

ウディ・アレン監督作品は「アニー・ホール」以来ですから、
随分ご無沙汰です。ざっと30年ぶりくらいでしょうか。

映画の舞台となった英国ですが、いまだに身分差別的雰囲気が
厳然として存在するのでしょうね。
その中で、上流社会を舞台にのし上がろうとするアイリッシュとヤンキー。
果たして欲望の果てには悲劇が待ち構えている…。

この映画はウディ・アレン監督が作品に出演しないこと、タイトルの暗示、
スカーレット・ヨハンソンの肉感的魅力、ラストのオチへの賛否等が話題に
なって巷間を賑わせているようです。
確かに、冒頭のテニスのラリーの様子が暗示する点は、ラスト手前の
あるものがあるものにぶつかるシーンで観客を上手にミスリードしていきます。
事実、私もまんまとひっかかりました。
そして、「これってあり!?」の展開でラストに。
主人公の複雑な暗い目が印象的。
確かに、この映画はいろいろと考えさせる興味深い映画です。
ただ、勧善懲悪の観念の強い人や女性には好まれないでしょうね。

それから「音楽」が重要な役割を果たしているようにも思いました。
チリチリ音のノイズが聞こえる旧い音源を使用した「歌劇」が使われていますが、
実際、映画でも歌劇をボックス席で鑑賞するシーンが度々。
しかも、声高にではなく、テノールによるアリアでうっとりと、しっとりと歌われる。
アンニュイなけだるささえ漂う。
この辺は上流社会の「退屈さ」の象徴なのかな。

案外、この映画の大枠は「歌劇」に見立てているのかもしれません。
映画の粗く、ステレオタイプな筋立ては歌劇のそれに似ています。
歌劇では殺人はよくあるのですが、映画でも間接的に見せています。
しかし、一番似ているのはスノビッシュなところでしょうか。
どうして歌劇は俗っぽい内容なのに、貴族や金持ちに愛されているのか。
うわべは澄ましていても、俗物性は隠しようもないからか。

主人公の元テニスプレーヤーは慎み深く、ドフトエフスキーを読み、歌劇が好き。
(そんなのいるんかい!?)
うわべは上流社会好みの好青年で、しっかりと計算しつつも、妻と愛人の間で
懊悩する様はまさしく俗物そのもの。
そして、冒頭にでてくる「罪と罰」の主人公のごとく犯罪に手を染めていく。
「ああ、やはりなぁ」
しかし、ラストの結論にウディ・アレンのシニカルな顔を思い浮かべることに。
論理としては物凄く弱点を抱えている(あんな捜査あり!?)が、観客はタイトルと
冒頭のラリーの伏線に立ち返って、自問自答し始める。
「これって、あり!? やはり、運なのか」

久しぶりに観たウディ・アレン作品ですが、娯楽性もありながら、
それなりに考えさせられたり、とバランスのとれたおもしろい作品でした。
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◆今回出演していた俳優はこれまでに誰も観た事がないと思っていたら、
 スカーレット・ヨハンソンの出演歴に「ホーム・アローン3」とありました。
 DVDを見直しましたが、当時14歳の彼女の表情に今と共通の色っぽさが
 チラリと感じられます。
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by capricciosam | 2006-09-18 17:29 | 映画 | Comments(8)
Commented by ヘンリー at 2006-09-18 21:45 x
こんばんわ。はじめまして。
オペラ=スノッブの象徴というのは確かにそのとおりかもしれませんね。なるほど、納得という感じです。
ちなみに…。余計なお世話の情報提供ですが、スカーレット・ヨハンソンは14歳当時、ロバート・レッドフォード監督の「モンタナの風に抱かれて」にも出演しています。彼女、とっても良い女優さんですよね。
では、また。
Commented by borderline-kanu at 2006-09-18 22:10
はじめまして。トラバありがとうございます。
私も2年だけですが、北海道に住んでました(^^)
スカーレット・ヨハンソン、「ロスト・イン・トランスレーション」という作品で初めて知ったのですが、個性的な役者だと思います。 カヌ
Commented by capricciosam at 2006-09-19 07:22
>ヘンリー さん、コメントありがとうございます。
>「モンタナの風に抱かれて」にも出演
情報ありがとうございます。こんど機会があったら見てみます。
Commented by capricciosam at 2006-09-19 07:30
>borderline-kanuさん、コメントありがとうございます。
>個性的な役者だと思います
ブログにも書いたようにまったく予備知識なしで観た女優さんでしたが、
まだ20歳前半なのにあの演技ですから、これからの成長が楽しみですね。
Commented by yoyogi39 at 2006-09-19 12:44
スカーレット・ヨハンソン次も楽しみですね。他も観てみたいと思います。
週末に「おいしい生活」と「地球は女で回っている」をDVD鑑賞。
どちらもウディ・アレン色が濃くて好きな作品ですが、アレンファンなら喜んでも、そうでない人には厳しいでしょうね。
コメント& TBありがとうございました。
Commented by capricciosam at 2006-09-19 20:53
>yoyogi39さん、コメントありがとうございます。
>ウディ・アレン色
ブログにも書きましたが、大昔「アニー・ホール」を観たのですが、今じゃさっぱり印象に残っていません。でも「マッチ・ポイント」で興味が湧いたので、機会があれば観てみたいと思います。
>スカーレット・ヨハンソン次も楽しみですね
次回作の「ブラック・ダリア」は当時の雰囲気に弱い私としてはなんとか機会を作って見たいと思っています。
Commented by betty at 2006-09-20 00:01 x
はじめまして。
TBありがとうございました。
北海道在住なのですね~、私も北海道民です。
この映画、とても面白く良くできてましたね。

>論理としては物凄く弱点を抱えている(あんな捜査あり!?)が、観客はタイトルと
冒頭のラリーの伏線に立ち返って、自問自答し始める。<

ほんとほんと、そうなんですよね~。
アレンは確信犯としてあのヘンな捜査をやって、私たち観客の反応をみてほくそ笑んでいるのかしら?っていう気もしちゃいました。
Commented by capricciosam at 2006-09-21 04:07
>bettyさん、コメントありがとうございます。
>観客の反応をみてほくそ笑んでいるのかしら?
最後に自問自答している時には、まさしくウディ・アレンの顔が浮かんできて、その顔が「ニヤッ」とするんですよね。その時の私は「あ~あ、やられた」てな心境でした。


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