梅原龍三郎展@大丸札幌店2006

日曜日は演奏会の後、「梅原龍三郎展」に行ってきました。
梅原が日本の画壇を代表する画家であったことや、かつて
雑誌等でみた中国での作品の強烈な印象もあったりしたのですが、
それ以上特に関心を深めることもなかったのでちょうど良い機会でした。
没後20年の回顧展とのことでしたので、生涯に渡る画業の概要を
みることができるのでは、と意気込んで足を運びました。

会場は梅原の主たる題材となった「花」「風景」「裸婦」「肖像」の
テーマに分かれていたのはわかりやすかったのですが、如何せん、
展示作品のボリュームが総体的に乏しく、もう少し画集等に収録される
代表作が観られるのか、と思っていたのでこの点は期待ハズレでした。

ただ、個人的には興味深い点もありました。
「肖像」のコーナーで普通のキャンバスではなく、金属の板に
油絵の具で描かれた2点の自画像が並んで展示されていました。
この描き方も珍しかったのですが、最初の一点は紙や眼も黒々として、
力強い眼光には創作意欲に満ちあふれているかのような
エネルギッシュさが感じられます。
ところが、翌年描かれた一点は白髪とともに目の輪郭もぼやけ、
老境に入ったありのままを描いているような「老人」がそこにいました。
当時、梅原は80歳間近。
この年あたりで心境や体調の変化があったのか、
創作のテンションが落ちたのか、と思わず推測してしまいました。

その他関わりのあったルノワール、ピカソ、マチス、白樺派の作家との
作品や書簡が同時に展示されていましたが、
中でもマチスの女性を描いた素描は簡潔な表現ながら素敵な一品でした。
また、ルオーの作品を日本に持ち込んだ初めての人が梅原だったことや、
ルノワールやルオーと生前交流できたとは、想像もできませんでした。

それと書簡ですが、例えば梅原に宛てた武者小路実篤の手紙に
書かれた字なんて正直ヘタなんですが、読んでみるときちんと
気持ちが伝わる感じで、手紙の原点はやはりきれいな字や美辞麗句よりも
ここなんだなぁ、と改めて思い直しました。
(そう言えば、電話、メールばかりで最近「手紙」も書いた記憶がありませんね。)

今回の展覧会は展示はイマイチの感があったのですが、画業周辺も
多く展示されたことで梅原の人となりの一端を知ることができたような気分
になりました。
余談ですが、梅原龍三郎の風貌は谷崎潤一郎にチラっと似ているところが
あるなぁ、と思いました。
c0007388_19475961.jpg

[PR]
by capricciosam | 2006-10-31 19:48 | 展覧会 | Comments(2)
Commented by itabashi_1 at 2006-11-10 05:24
いい展覧会をご覧になられましたね。
>梅原龍三郎の風貌は谷崎潤一郎にチラっと似ているところがあるなぁ、
鋭いご指摘、同感です。作風も官能的というか、日本人離れしているところなど、うまくいえないのですがあるやに感じました。
Commented by capricciosam at 2006-11-10 18:48
>itabashi_1さん、コメントありがとうございます。
>作風も官能的というか、日本人離れしている
風貌が似ているのは「他人の空似」の典型ですね(^^)でも官能的とか日本人離れについては、梅原は若き日にルノワールと交流があったことで、その影響が画風にも表れているという会場の説明を読んで、「なるほどなぁ」と妙に納得してしまうくらい、裸婦や色づかいにそんな感じを受けました。しかしながら谷崎はあまり西洋からの影響を受けたようには思えませんので、アプローチは違えど、人間の官能へ働きかける作品を残した、という共通点は確かにあるように思われますね。


<< 初氷 999人の第九・2006年@K... >>