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「異国の丘」リハーサル見学会・朗読会2006

昨日の「蔵出し」の続きです。
今日はミュージカルのリハーサル見学体験の話です。

劇団四季のミュージカル「異国の丘」が道内巡演した時に
見学会・朗読会が行われ、ひょんなことから開演前の
リハーサルを見学することができました。珍しい体験でした。

この作品は「李香蘭」「南十字星」とともに第二次世界大戦を舞台にした
四季オリジナル作品で、「昭和の歴史三部作」として知られています。
昭和は一言で言えば戦争の時代、と何かで読んだ記憶がありますが、
この三部作も戦争抜きには作りえなかった作品でしょう。
戦争による惨禍の最大の犠牲者は一般国民であることは
これまでも、そしてこれからも変わらないでしょうから、
国民は戦争回避の動きをこれからも支持していくべきなのでしょう。
ただ、単なる戦争反対だけでは、直接的に安全を脅かそうとする勢力
への対抗策としては極めて弱いことも否めないことです。
テロや不穏な隣国を考えると、「戦争と平和」という重いテーマに
真剣に向きあわざるを得ない時代でもあるのでしょう。
ちょっと脱線してしまいました。話を戻します。

会場に一歩足を踏み入れると、もうリハーサルが始まっています。
ステージを見ると、出演者が皆私服で立っています。
ちょうど作品中のいろいろな場面での「立ち位置」の確認を
演出家の指示で次々に行っているところでした。
会場が変わることによる立ち位置の微妙なズレを修正している
のでしょうが、結構てきぱき、あっさりとやっていました。

印象的だったのは、主役を中心とした男性パートが
ひとかたまりとなって歌う場面。
群像の顔を部分的に出させたり、背筋をのばしたりして
全体の修正をかけていくのですが、修正を終えてみると
一群が見事なシンメトリーを成していたのには驚きでした。
後で判ったのですが、これは開幕冒頭のシーンらしく、
この段階の男性合唱による歌だけでもちょっとジーンときました。

また、NYのバーでのダンスシーンも音楽なしで、手拍子だけで
踊っていくのですが、四季のダンス力はさすがです。
それでも演出家の方は部分的にもっとメリハリをつけるよう
ダメ出しをしていました。なるほどグッと良くなります。
演出ってすごいなぁ、と改めて感心しました。

リハーサルが一旦終わった後に役者の方が何人か出てきて、
会場からの質問を受けていました。
そのうちのひとつ「出演する予定はどのくらいまで判っているのか」
との質問には、「せいぜい一週間ぐらい」との答えでしたが、
これは意外でした。その理由が、急遽別なステージに
でたりすることがしょっちゅうあるからなのだそうです。
四季はロングランシステムを大々的にとっていることは有名なので、
たとえダブル、トリプルキャストでも、出演者は割と固定して
腰を据えているのかな、と思っていただけに予想外な答えでした。

最後に「異国の丘」を作るに当たって参考にしたという
体験者や関係者の文章を各出演者が朗読して、見学会は終了しました。
時間にして45分程度の短いものでしたが、
演出することの意義を改めて発見させてもらったと思います。

見学会・朗読会では、進行を勤めた方が最後に、
「このミュージカルは重い内容を扱っていますが、エンターテイメント性
も十分にあるので、ぜひご覧になっていただきたい」ということを
おっしゃっていました。
だいぶ以前に「李香蘭」を観た時も、その扱っているテーマや
素材の重さの割に十分な娯楽性も確保してある作品だなぁ、
と感心した覚えがありますが、今回のリハーサルを見学して、
同様な印象を抱きました。
機会があれば、一度本番を観たいと思ました。
「異国の丘」リハーサル見学会・朗読会2006_c0007388_20194886.jpg

by capricciosam | 2006-12-22 20:20 | 舞台


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