危機に立つオーケストラ★TV

今夜放送されたNHK特集では、我が国オーケストラの危機的状態が
レポートされていました。さっき録画を見終えたところです。

危機的というのは、要はチケット等の収入だけでは財政が慢性的に赤字で
経営的に成り立たない、そのため行政や財界からの支援が欠かせない実態
にあることを指しています。でも、財政危機や不景気から支援額が縮小され、
まさに存亡の危機にある、ということでした。

番組ではその例として昨春の関西経済連の在阪オーケストラへの提言
(4つを1つに)を皮切りに、関西フィルの現状や千葉県にあるオケの
35%賃金カットが取り上げられていました。最終的にはカットを受け入れる
のですが、「生活できない」という楽員の話は切実です。
一方、そこから立ち直った例として札響が取り上げられていました。
札響の努力が認められたことは道民としては嬉しい限りです。

ゲストの堺屋太一氏の話も納得できるものもあれば、納得できないものも。
納得できるものは、例えば近年の札響の自主講演では当たり前に見られる
ようになった、終演後出口で楽員の一部が勢ぞろいして客を見送りする光景。
氏は「宝塚等のプロではとうの昔から取り組んでいたこと」とさりげなく指摘。
ファンを獲得しようとするなら、自らがもっと接近しなさい、ということなのだが、
これは頷ける。ファンがいてこそのプロなのだ、という点はやはり原点なのだろう。
それから、企業や個人がオケへの支援や寄付が出来にくい現行税制の不備を
指摘していたがまさしくその通りだと思う。欧米は文化的活動への支援には
税の面で優遇されるのではなかったか。支援しやすい仕組みが必要だろう。

しかし、「10年後には自立しなさいという目標を持たせて行政は支援しなければ
ならなかった」という話は、あまりにも短絡的で、経済偏重的考えで賛成しかねた。
世界中の歴史あるオケでも支援なしで成り立っている例というのは、そんなに
あるのだろうか。もっと長い目で支援を継続する姿勢が必要なはずではないか。

今回の番組を見て、札響の危機当時に思ったことを改めて思い出していた。
「ファンならば有料公演に一回でも多く足を運ぶことが何よりの支援なのだ」
個人でやれることには限界があっても、これならサイフと相談しつつ、
取り組みやすいのではないか。
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by capricciosam | 2007-01-17 23:58 | 時の移ろい | Comments(2)
Commented by syunpo at 2007-02-18 19:21 x
私もこの番組を興味深く観ました。
私は大阪在住で、札幌交響楽団の演奏は一度も聴いたことがないのですが、機会があれば是非聴いてみたいと思っています。
大阪では、触れられておりますように、関経連会長の楽団合併案が波紋を呼びましたが、大半のファンはブーイングをしています。楽団当事者からも批判の声があがりました。
オーケストラをどうするかは、オーケストラ当事者が決めることで、お金を出しているからといって財界の人間が安易に口出しすることではないでしょう。(会長自身、クラシック音楽にさして関心はないものと思われます)
関西財界の文化に対する意識の低さを露呈した、お恥ずかしい話です。
堺屋太一氏のコメントも、おっしゃるようにオーケストラ全般に対して、どれほど理解をしたうえで喋っているのか、些か疑問を感じるところもありました。
ベルリン・フィルでもウィーン・フィルでも、企業の援助や公的支援なくしては、やっていけないはずです。

私の関心分野と重なる話題が多く取り上げられていますので、また、おじゃまさせていただきます。長文失礼いたしました。
Commented by capricciosam at 2007-02-18 22:47
>syunpoさん、引き続きTB&コメントありがとうございます。
>お金を出しているからといって財界の人間が安易に口出しすることではないでしょう
この話は寡聞にして知らなかったのですが、syunpoさんの記事を拝見して、最後のほうに書かれている、会長がどのようなビジョンを描いているのか、私も怪しいと感じました。もっともらしい理屈は並べても、結局資金負担がしんどいから、というのが見え見えですよね。文化育成のためには一般市民が支援するんですが、形としては、入場料負担という形で直接的に、企業利潤(市民がもうけさせてます)の社会還元や税金(納税しています)による支援という間接的な形の両方があります。そして世代を超えるくらいの息長い支援という社会的合意が形成されていくことが必要でしょう。
>また、おじゃまさせていただきます
よろしければ、またおいでください(^^)


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