M・ロストロポーヴィッチにまつわるささやかな思い出

慌ただしく4月が過ぎ去り、明日からはGW。
「ふーっ、やっと一息つける」
そんな気分でブログに向かっています。
とは言っても、明日からの3日間は小旅行もあり、まだ気は抜けません。
予定も入れず、身体を休めるのは後半の連休までお預けです。
何もしないことが待ち遠しいなんて、ほんと歳ですね。

ぼんやりネットを見ていたら、M・ロストロポーヴィッチの死去を伝える
ニュースが目に飛び込んできました。
晩年は日本で小澤征爾さんとともに音楽活動をされる姿をしばしば
TVで拝見していました。高齢とは言え、お元気そうにみえたのですが。
チェリストでもとりわけ親しみを感じたのは、そんな姿とともに、
彼からサインと握手をしてもらったせいなのかもしれません。
私がもっと若かった頃、演奏会後に楽屋を訪ねてサインをもらったことが
何回かありますが、そのうちのひとつです。
もっとも今はやりません。演奏でクタクタになった人にさらにサービスを
求めるのは酷なような気がしてならないからです。

彼は15年程前に札幌でチェロ・リサイタルを開きました。
J・S・バッハの無伴奏チェロ組曲の第一番から始まって、
ベートーヴェン、シューマン、グリーグのチェロの作品が演奏され、
アンコールにJ・S・バッハの無伴奏チェロ組曲から「サラバンド」
というものだったように記憶しています。
響きの劣る厚生年金会館でも十分聴き応えのある音で、
力強いタッチであったことが印象にあります。

終演後楽屋に向かうと、もう列ができていました。
並んで待つこと10数分。長机の前にロストロポーヴィッチと
伴奏ピアニストのL・オーキスが座りました。
いよいよ、私の番です。
ロストロポーヴィッチと目が会い、すかさず
「お目にかかれて光栄です」と言いました。
彼はそれを無表情に確認すると、差し出した公演パンフレットに
マジックでサインをしはじめました。
その姿に向かって「よい演奏会でした」と言ってみました。
すると、書き終えてからマジックを机において、じっとこちらを見つめて
無言で右手を差し出してくれたのです。
私も右手を出して握手したのですが、強く握りかえしてくれ、しかも
手が想像以上に柔らかかったことにびっくりしました。
あの感触は今でもよみがえります。
「ありがとうございます」
とお礼を言って、次にニコニコして待っているオーキスのサインをもらい、
パンフレットを大事に抱えてその場を離れました。
数少ない体験だったからこそ、よけい印象深かったのでしょうね。
心からご冥福をお祈りいたします。
c0007388_2332798.jpg

[PR]
by capricciosam | 2007-04-27 23:34 | 音楽 | Comments(4)
Commented by 蔵吉 at 2007-04-28 12:11 x
ロストロポーヴィチは私がクラシックを知ったころから名前になじみのある演奏家でした(初めて聴いたドヴォルザークのチェロコンはロストロ&カラヤン)。
ソロを聴かれ、握手されたこともあるとはうらやましい限りです。私も一度でいいから彼の力強い音に直接触れたかったものです。
Commented by capricciosam at 2007-04-29 07:58
>蔵吉さん、コメントありがとうございます。
>初めて聴いたドヴォルザークのチェロコンはロストロ&カラヤン
私もドヴォコンはこの盤で、依然愛聴しています(^^)ソロがオケと対等に張り合うかのような雰囲気はダイナミックで、すっかりこの曲のとりこになってしまいました。最後のロシア的巨匠がいなくなったような寂しさを感じます。
Commented by f16fightingfalcon at 2007-05-05 09:55
こんにちは、ご無沙汰しております。遅ればせながら、TBさせて頂きました。やはり皆さん、このドボコンの印象が強烈だったようですね。
ロストロポーヴィチ/小澤版というのも聴いたことがありますが、やはりカラヤン版の方が迫力があって良いですね。
Commented by capricciosam at 2007-05-06 08:39
>f16fightingfalconさん、TB&コメントありがとうございます。
>ロストロポーヴィチ/小澤版
小澤版は私も聴きましたが、録音のせいか音がこもりがちで、到底カラヤン版には及ばない出来ではなかったかと思いました。もっともロストロポーヴィチはこの小澤版に満足して以降は録音しなかったということですから、実際のマスターテープでは十分な仕上がりだったのかもしれません。不思議な話です。


<< 札幌交響楽団第498回定期演奏... ガイドドッグオープンデー200... >>