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ムーティ&PMFオーケストラ@PMF2007

ムーティさんは若い頃から印象深い。
その名を初めて知ったのは、約30年くらい前のウィーン・フィルの来日の時。
ベームに率いられての来日だったのですが、いっしょに帯同されたのが
若き日のムーティさんで、その指揮ぶりをTVで観ました。
あのいかつい顔で颯爽と振り、弾むような活き活きとした音楽が聴けた時、
もっと若かった私はえらい感心したことを今でもまざまざと思い出します。
その時の印象は、
「格好いいなぁー」
でしたが、今夜休憩中には、会場の若者も同じ言葉を発していました。
「やはり、そう思うよなぁ」
今では60歳後半になろうかというのに、颯爽とした指揮ぶりは変わりません。
もっとも、当時と違って眼鏡(老眼鏡?)を手放せなくなったのが、
年月の経たことを感じさせますが…。

1曲目ヴェルディ「運命の力」序曲
指揮台に上がったと思ったら、まるで無造作に、すぐに振り始めました。
ちょっと危なっかしい出だしでしたが、オケもすぐに立ち直って
見事なクライマックスを作っていました。
さっそく「ブラボー」がとんでいましたが、これは「お国もの」への
聴衆の期待の表れなんでしょうね。

2曲目モーツァルト「オーボエ協奏曲」
今は特にポストを持っていないムーティさんですが、現在もウィーン・フィル
とは良好な関係にあるようで、PMFにいらっしゃる前の6月下旬には
ウィーンの演奏会でモーツァルトのハフナーを演奏されているようです。
(なんとコンマスは今回参加しているウェルナー・ヒンク氏です)
以前TVで観た時もモーツァルトを演奏していて、活き活きとした
天上の調べを引き出していたように感じましたが、
もともとモーツァルトを得意とされているのでしょうね。
しかも、オケは1・3曲目では各パートに加わっていたウィーン・フィルの
メンバーがおらず、純粋にPMF生のみで編成されています。
この編成を一段小さくしたオケですが、ムーティさんの指揮棒のもと
見事な調べを紡いでいたように感じました。
今年のPMFオケの仕上がりが順調との評判はどうやら当たっているようです。
もちろん、オーボエのM・ガブリエルの妙技は言わずもがなです。

3曲目シューベルト交響曲第8番「グレイト」
第一楽章から雄大さやスケールの大きさを感じさせながらも、
心に残るメロディもたくさんある不思議な曲ですが、
今夜の場合は特に第二、第三楽章が印象深いものでした。
ムーティさんは、振幅の大きいメリハリのある指揮ぶりで、
こまかい指示を盛んにだしていましたが、それに応えるオケも
まだスタートしたばかりのこの段階では、レスポンスの良さに驚嘆。
特にオーボエのソロをとった若い女性はがんばっていましたね。
PMFオケの魅力のひとつは、若い彼らに時に想像以上の腕を
見せつけられることで、毎度スリリングかつ楽しみなことなのです。
その点、今年の新酒も「うまい」と言っても過言ではないように思います。

珍しくアンコールがあり、ヨーゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」
オケの女性にアンコールを告げさせていましたが、その後マエストロが
何かを言ったようで、オケのメンバーがうけていましたね。
ムーティにウィンナ・ワルツ。
こりゃ、ニュー・イヤー・コンサートです。

終わってみれば、ムーティさん得意の選曲だったようですが、
何とも聴きやすい曲に、仕上がり具合の良いオケの響きが相まって
実に心温まる想いの、楽しい余韻に満ちた演奏会でした。
今までにない、不思議な心地よさと明るさでした。
ムーティさんは共同インタビューに答えて、

「若い人は開放的で、私の言うことをどんどん吸収する。
土に種をまき、花が咲くのを見るのはうれしいね。」(北海道新聞)

「若いファンと音楽家を育てていきましょう。」(朝日新聞)

と、おっしゃっています。
この考えが嬉しい。教育音楽祭にピッタリです。
ぜひまたPMFに戻ってきていただきたい、と心底思いました。
ムーティ&PMFオーケストラ@PMF2007_c0007388_6313994.jpg

<余録>
今回は代々木よもやまさんのブログで知ったこちらのブログも拝見いた
しましたが、ムーティさんの熱狂的な追っかけぶりには驚嘆いたしました。
by capricciosam | 2007-07-10 23:56 | 音楽


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