国家の罠@新潮文庫

今日東京高裁で鈴木宗男衆議院議員に再び有罪判決があった。
鈴木氏はすぐに控訴する意向を表明したことから、最高裁まで
争われることは確実だろう。
先におことわりしておくが、私は支持者でも非支持者でもない。
よって、この判決についてどちらかに与して論じようなどとは思わない。
今回の報道で昨年読んだ一冊の本を思い出したので、
その感想を少々書いておきたいのだ。
思い出したその本とは「国家の罠」。

時間とともに記憶も風化しつつあるが、小泉内閣を思い出す時に、
田中真紀子外務大臣を巡る一連の騒動はなんとも華々しいシロモノ
だったように思う。そして、この騒動は田中大臣の追放だけではなく、
鈴木議員の逮捕、何人かの外務省職員の逮捕も引き起こした。
その職員の一人が「国家の罠」の著者佐藤優氏だった。

氏に関わる裁判もまだ終わっておらず、判決も確定していないが、
釈放後に出版されたというこの本の迫力には正直圧倒された。
佐藤氏の語り口には嫌味・恨み等のネガティブなものは感じられず、
読み進むうちに一種感動を覚え、ごくごく単純に、素直に
心が揺さぶられるが如き読後感に襲われる。
報道で知り得た話の肉付けや騒動の裏面が氏の驚異の記憶力で
詳細にかき込まれ、読む者を捉えて離さない力があるのだ。
特に、裏面的側面には瞠目すべき話がある。
次が象徴的か。

「これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。
あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は時代の
けじめをつけるために必要なんです。時代を転換するために、
何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです。」(P.366)

上記は担当検事の発言として本書に登場するが、
「国策捜査」
「時代のけじめ」
「象徴的な事件」
案外、この辺りが今回の裁判のキーワードなのかもしれない。
もちろん、佐藤氏は鈴木氏シンパなので表現には、ワンサイド的
側面が多いという点には注意すべきなのは言うまでもない。
に、しても自己を弁護する気配もなく、実にたいしたものだ。
この辺は著者のクリスチャンとしての面目躍如たるところか。

その他にも現代外交の先端の一面、外務省の勢力争い、
東京拘置所内の生活等なかなか知り得ない興味深い話が多く、
希にみるノンフィクションとなっている。
c0007388_21482014.jpg

[PR]
by capricciosam | 2008-02-26 21:48 | 読書 | Comments(0)


<< NYフィル平壌公演@2008 大雪ビフォー&アフター >>