片岡球子の世界@北海道立近代美術館2008

ようやく時間がとれたので「片岡球子の世界」展へ。

北海道立近代美術館(1977年開館)のコレクションのひとつに
本道ゆかりの画家の作品の収蔵があります。
今年103歳で逝去した日本画家片岡球子さん(札幌出身)の作品も
本人からの寄贈品を中心にまとまった数が収蔵されており、
現在常設展では球子さんの画業を4つの時代に区分して
系統立てて紹介する回顧展がひらかれています。

47歳で日本美術院同人となる程の遅咲きだった球子さんですが、
初期の作品を見ても、実に丁寧に描かれており、対象に迫ろう
という姿勢がひしひしと感じられます。
院展でたびたび落選していた、などとは信じられないくらいです。

しかし、横山大観から「雄渾」というテーマを与えられたことで、
祈祷する僧を描いたあたりから、作風に後期の骨太で躍動的な
趣が漂いだします。
この時期には出産時の様子を描いたりして、興味の対象の広がり
を感じるのですが、この作品はえらく酷評されたそうです。
まさしく「下手物」としての面目躍如たるものが感じられますが、
絵自体は無音の世界で淡々たる感じです。

そして、60歳前頃から球子さんを代表する「火山」や「雅楽」の
シリーズものがスタートしていきます。
「火山」の第1作となった「桜島の夜」などは作風をガラッと変えて
荒々しい一見キュビズムタッチの仕上がりとなっています。
まるで、たまりにたまったエネルギーが噴出したかのごとき
作品の様子から、作者の内面の変化の兆しを感じました。

この延長上に、繰り返し取り上げた「富士山」という代表作が
あるのでしょうが、意外だったのは「屈斜路湖」や「羊蹄山の秋色」と
いった本道ゆかりの題材にも、その雰囲気は十分感じられたこと。
「屈斜路湖」なんて「おとなしめの富士山の絵」のような感じでした。
「羊蹄山の秋色」は時間的制約の中で、一気に仕上げたかの
勢いのある作品ですが、やはり雰囲気は富士山のそれと同じ。
これも羊蹄山が「蝦夷富士」と呼ばれるせいなのでしょうか。

そして、球子さんと言えば、70~80歳代で描かれた一連の「面構」。
残念ながら、道立近代美術館はあまり収蔵していないらしく、
今回は2点のみ(正確には1点なのでしょうか)。
作品が自由に飛翔してみせることで得られる魅力とは面構にこそ
あてはまるような気がしますが、老境と言って良い年齢で、
次々とシリーズを制作していったその旺盛な創作力には脱帽です。

あと、意外だったのは80歳間近で始めた裸婦を描いた「ポーズ」
という一連の作品。解説には老境では取材へ出かけることも
ままならなくなることに備えた、というようなことが書かれていましたが、
果たしてそれだけでしょうか。
描く対象の広がりは老境においても依然持続していた、あるいは
かつて取り組めなかった対象だった、と考えることのほうが、
むしろ妥当なのではないかと思いました。

全35点で振り返る片岡球子さんの画業でしたが、
コンパクトながら見応えのある展示でした。
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by capricciosam | 2008-06-15 21:02 | 展覧会 | Comments(0)


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