紀尾井シンフォニエッタ東京@Kitara2008

紀尾井ホールが開館してまもなく1周年という頃に同ホールでの
演奏会(ブロンフマンによるピアノ・リサイタル)を聴いたことがあった。
当日は四ッ谷駅から上智大学横の道路を桜並木を横目に見ながら
ホールへ向かったが、ニューオータニが見えたと思ったら着いていた。
入り口でもらったチラシの束の分厚さに東京の奥深さをかいま見た
ような気がした。今も昔も札幌はあの何分の一程度だ。
ホール内は落ち着いた色調で、ブロンフマンの力強いタッチのせいも
あろうが、よく響くホールだなぁ、という印象であった。
そうなるとよけいレジデントの紀尾井シンフォニエッタの演奏
でなかったのが惜しまれ、チャンスがあれば、と思っていた。

1曲目エルガー序奏とアレグロ
弦楽四重奏と弦楽合奏が対峙したりとけ合ったりして絶妙な世界を
作り出すこの曲。エルガースペシャリストの尾高さんの棒は、
スタートからオケをあおって力強くリードしていく。しかし、オケには
いささかの乱れも感じられず、弛緩することなくクライマックスを築く。
オケデビューに喝采を得た伝説的作品らしいが、なるほどうまい。
しかし、会場の拍手は至極あっさりとしたものだったのが意外。

2曲目メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲
ソリストのラファエル・オルグは実にあっさりと弾き通した。
自らの技巧を武器に過剰なのめりこみもなく、さりとて
つきはなした訳でもなく、適度な距離を保って淡々と弾いた感じがする。
中庸、とか教科書なんて言葉が脳裏に浮かんだが、決して悪くはない。
アンコールに応えてバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタより第一番
弾き始めを明確にさせずにさりげなく入る点はメンデルスゾーンとも共通。
オケもこの曲から管楽器が加わるが、木管に比べ金管のうまさが
目立つと同時に、うますぎる故に、全体としてみれば
ややバランスの悪さも感じる。
これは3曲目でも同様の印象だった。

3曲目ベートーヴェン交響曲第7番
この作品を一貫して貫くリズムをどの楽章でも余すところなく
表現していたように感じる。
室内オケとは言いながら、乱れないアンサンブルでやられると
迫力は十分で、会場も大満足だったようで、盛大な拍手。
アンコールはなく、尾高さんのお休みのポーズでお開き。

3階席は販売しなかったようだが、案外空席が目についた。
また公演協力の某製鉄関係者らしきスーツ姿が目立ったが、
調べてみると紀尾井ホールはこの製鉄会社が設立したもの
だったんですね。道理で前日は室蘭で公演している訳だ。
道内公演:6/20紋別、6/22室蘭、6/23札幌、6/24函館
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by capricciosam | 2008-06-23 23:26 | 音楽 | Comments(2)
Commented by yoyogi39 at 2008-06-28 23:37
紀尾井ホール、私も四谷から歩きますが、あの辺りの雰囲気もホールの味ですね。最初のエルガーは、ほんとによかったです。
Commented by capricciosam at 2008-06-29 07:47
>yoyogi39さん、コメントありがとうございます。
>あの辺りの雰囲気もホールの味
確かに、ちょっと地方にはない雰囲気でした。
ホールに向かった時は日も暮れかかっていたんですが、
桜咲く風情を楽しみました。

>エルガーは、ほんとによかったです
おっしゃるとおりで、当夜の3曲のうちでは印象が最も強いです。


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