小樽文学館

「中村善策の全貌展」の開かれている市立小樽美術館の建物には
市立小樽文学館も同居しています。
両方共通の鑑賞券があることがわかり、「中村善策の全貌展」の前に
文学館を先に鑑賞しました。
c0007388_21513288.jpg

小樽に由来の作家と言えば小林多喜二(写真奥)と伊藤整(写真手前)。
c0007388_2213520.jpg

前者は代表作「蟹工船」がリバイバルヒットとかで、書店にも平積み。
写真は若かりし頃読んだ文庫本。
c0007388_23223133.jpg

「おい地獄さ行くんだで!」
描かれたのは昭和初期。
今は21世紀。アトムの時代のはずなのに…
当時と状況は違えど、時代を覆う「閉塞感」は似たようなものか。
展望のない状況を生きざるを得ないのは、つらいことに変わりはない。

小林多喜二のコーナーで、気になったのは「田口タキさんへの手紙」
c0007388_23403293.jpg

カミサンがこの手紙が何年か前にマスコミで紹介されていたのを
覚えていて、今回も熱心に読んでいるので、私もつられて読んでみました。
当時苦境にあったタキさんへの恋愛感情を秘めたと思われる、
おもいやりにあふれた心情が全文に満ちあふれています。
そのこまやかな気遣いには感心するばかり。
プロレタリアート作家というイメージからくるギャップに戸惑いましたが、
多喜二はタキさんを結婚相手と真剣に考えていたのでしょうね。
「蟹工船」しか読んだことがなく、付随するイメージで形作られていた
多喜二像の意外な側面を見た思いでした。

伊藤整は自伝的小説「若い詩人の肖像」しか読んだことがない
のですが、自筆原稿も展示されており、なにやら懐かしい思いに。
写真は同じく若かりし頃読んだ文庫本。
c0007388_2343087.jpg

当時はこの本を含めて10冊文庫化されていましたが、いまではゼロ。
かろうじて「チャタレー夫人の恋」が次男の方の補訳で一冊あるのみ
(逆に、当時は発禁本扱いのため発売されていません)
時の流れなんでしょうか…

あと、意外な作家も展示されていましたが、誰でしょう。
    ↓
    ↓
    ↓    
    ↓
    ↓
答えは、「石原慎太郎」です。

あってましたか?
彼は弟ともども小学生時代を小樽で過ごしています。
「太陽の季節」で芥川賞を受賞した当時のこと、
小学校時代の恩師へのサイン本、その恩師への手紙などを
中心に展示されていました。

独身の頃とか子供の小さい頃、ちょくちょく小樽には遊びに来ていた
のですが、小樽はいまでも、懐かしさを感じさせる心惹かれる街です。
今回もたまたま、駐車場から美術館までちょいとあったので、
坂道をカミサンとブラブラ歩きました。
結局、花園銀座街を中心に歩いた格好にはなるのですが、
小路には色とりどりの看板が見え、八百屋さんなどの
昔ながらの専門店があちこちに見られ、そのレトロさ加減が
なんとなく小さい頃を思い出すのでしょうか。
<蛇足>
写真はあるお店で目に止まったポップ(表現に注目)
c0007388_052324.jpg

「ねまりつよい!?」
道産子の私も、さすが目を白黒させる「ねまり」とは!?
これは「ねまり=ねばり=粘り」
のことだろうなぁ、と勝手に推測しました。
[PR]
by capricciosam | 2008-07-06 21:57 | みて楽しむ | Comments(2)
Commented by むぎ at 2008-07-09 21:27 x
私の短大時代の担任が多喜二と整の専門でした。
なのでゼミを取ったのですが、多喜二のことはよく覚えていません・・・
今、またブームになっているのがびっくりです。

整は私も「若い詩人の肖像」を愛読しました。
そして合唱をやっていたので、当時小樽商大グリークラブが歌っていた組曲「雪明りの路」から、彼の詩も読みました。
そのためか、現在小樽市で毎年冬に行なっている「雪明りの路」にも違和感を感じてしまいます。本来の、雪で白くぼうっと明るい夜の道こそ本物の「雪明り」だと思うのですが・・・

小樽文学館、私も行ってみたくなりました。
Commented by capricciosam at 2008-07-09 23:45
>むぎさん、コメントありがとうございます。
>今、またブームになっているのがびっくりです
同感ですね。描かれている当時の悲惨な労働環境が、現代のワーキングプア層の共感を呼ぶのでしょうか。それに、販売戦略が当たったのかな、とも考えられるのですが、文庫本はカバーデザインを一新することで売れ行きが違う、という現象があるようですね。

>雪で白くぼうっと明るい夜の道こそ本物の「雪明り」
これも同感。あの素朴さを味わってこそ良さもあろう、とは思うのですが、まあ、観光依存の現在では、「雪明かり」という語呂の良さだけが残ったんでしょうね。


<< 1690万分の1です、ハイ。 中村善策の全貌展@市立小樽美術... >>