歓喜の歌@TV

北海道テレビ放送(HTB)開局40周年記念番組として
全国放送された「歓喜の歌」。原作が立川志の輔の落語。

年初に公開された劇場版と同様、公共ホールの
やる気のない担当者が引き起こした「ダブルブッキング」。
そのドタバタに垣間見えるコーラスにかけた団員の人生模様が
描かれ、最後は、無気力な人間がやる気をだして奇策により
このピンチをすり抜けるというあらすじはほぼ同一。
でも、テイストは異なる作品に仕上がっていた。

ストーリーも劇場版の2つのコーラスグループによる
ダブルブッキングから、市長の市政報告会と
コーラスグループのそれに変えたことで、強者と弱者という
コントラストを強める。そのためドラマティックな度合いが
高まるとともに、物語の幹となる部分がしっかりとした感じを受けた。
ただし、「いかにもありうるだろう」という「らしさ」の点では
劇場版のほうがより巧みのような感じを受けた。

主役であるが、劇場版の小林薫の「ゆるキャラ」に比べ、
大泉洋の醸し出す「基調は無責任だけれど、心まで失っていないぜ」
的キャラの方が、最終的な解決策に向かってゆく推進力があって
終盤に向けた展開には無理がないように感じた。

劇場版でも描かれていたコーラス団員の背景であるが、
田中裕子扮するリーダーが明日をも知れぬ人生を送っている
としたことで、何故日程を譲れないのか、という点に関して
説得力が増す一因になったと思う。

両作品とも団員の日常の一端を見せることで、
地味な生活を送りつつ、そんな日常を忘れてしまえる一瞬が訪れる
コーラスの発表会に賭ける団員の意気込みを描く。
もちろん、自分もその類の一人なので、アマチュアコーラスが
全員が全員そんな事情がある訳ではないし、いろんな意義や目的を
持って舞台に上がるということは承知しているつもりだが、
この辺はある程度当たりだな、と感じる。
そのていねいさでは劇場版だろうが、少々粗っぽいけれど、
より説得力があったのはTV版であったと思う。

劇場版の丁寧さやそれにともなうやや複雑な構成に比べたら、
TV版は枝葉を払って、見通しを良くした印象が残った。
しかし、逆にあじわいの単純化を招いた面もあるのかもしれない。
どちらかに優劣をつけるというより、
素材は同じでも異なる料理を提供してもらったようなもので、
どちらも「ごちそうさまでした」というところだと思う。
道内ローカル局の健闘を讃えたいと思う。
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<蛇足>
最後はアンコールと称して女声コーラスによる中島みゆきの
「時代」でしたが、うまいアイデアで、歌も良かったですね。
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by capricciosam | 2008-09-07 20:38 | みて楽しむ | Comments(2)
Commented by むぎ at 2008-09-09 09:11 x
おはようございます。

このドラマあることは知ってましたが、同じ時間に外で用事があり、見ることができませんでした。

こちらの記事を拝見すると、映画とは違う味わいの仕上がりになっているようで、観たかったです。

再放送されるとうれしいのですが。
Commented by capricciosam at 2008-09-10 06:30
>むぎさん、コメントありがとうございます。
>映画とは違う味わいの仕上がり
これは構成、演出の違いもあろうか、とも思いますが、やはり主役の小林薫、大泉洋の醸し出す雰囲気の差だろうな、と思いました。
基調となる「無気力」ぶりなんですが、2人の表現はどちらもありだな、と思います。しかし、目覚めていく後段での切り替わりは大泉洋のキャラの方がわかりやすかったですね。
HTBの健闘、再放送されたら、ご覧になってみてください。


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