札幌での演奏プログラムが発表された時、チャイコフスキーは
ともかく、ロッシーニとストラヴィンスキーという組み合わせは 「?」だった。しかし、手元にあるチラシには、ムーティさんからの コメントが書かれていて、「リズム、アゴーギクなど似ている」こと から「一緒のプロに取り上げることはよくあります」とのこと。 それでも半信半疑で会場へ。 定刻になり、コンマスのR・キュッヒルさんを先頭にメンバーが ステージに登場。PMFでお見かけした顔もアチコチに。 でもPMFの顔ともいえるP・シュミードルさんがいらっしゃいません。 「あれ?」 PMFの熱演から2ヶ月余り。しかも、ムーティさんは 一昨年のPMF首席指揮者ですから、PMFの連想でいやが上にも 親しみと期待が増します(^^) 1曲目ロッシーニ歌劇セミラーミデ序曲 相変わらずムーティさんの指揮は最初のタメを作らずに 振っていきます。 (これは最後まで変わりませんが、オケはやりにくくないのかな!?) この曲もこれから始まるオペラへの期待を高める効果満点の 聴き応えのある序曲だと思うのですが、各パートがしっかり していないと、その効果もすぐに消失してしまうのではないでしょうか。 ツアー終盤の疲れなど微塵も感じさせることなく、聴かせます。 もうこの曲から会場は盛り上がります。 2曲目ストラヴィンスキー/バレエ音楽「妖精の口づけ」による交響組曲 初めて聴く曲。これも前出のコメントによれば、「カラヤンが晩年に よく演奏していた」とのこと。 ストラヴィンスキーがチャイコフスキーの音楽に霊感を得た バレエ音楽の作曲を依頼されて作られたらしいのですが、 ディヴェルティメントとあるとおり、バレエ音楽らしく軽快で、 耳になじみ易いですね。 ここでもウィーン・フィルの名人芸は衰えることがありません。 スケルツォでのチェロ、ハープ、クラリネットの掛け合いなどは絶品。 当初、プログラムを眺めて敬遠気味だったのですが、 やはり聴いてみるものです。ウィーン・フィルもめったに演奏しない 「秘曲」らしいのですが、これは収穫でした。 3曲目チャイコフスキー交響曲第5番 この曲でP・シュミードルさんが登場。冒頭からクラリネットが 活躍するこの曲。札幌では誰を置いても、やはりこの人でしょう。 第1楽章。ムーティさんは、実に丁寧に、ゆったりとしたテンポで 「運命の主題」を開始しますが、冗長に陥ることはなく、 手綱を徐々に引き締めて闘争的展開を見事に表現します。 第2楽章。私的にはこの楽章の出来がこの曲全体の印象を左右。 ホルン、オーボエとも完璧にその役割を果たしてくれ、嬉しい限り。 第3楽章ワルツ。実にチャーミング。 第4楽章は闘争から勝利へ、というこの曲の持つ性格を端的に 表現する楽章ですが、最後まで弛緩することなく圧倒的フィナーレへ。 満員の会場からの盛大な拍手に応えてのアンコールは 内心期待していたウィンナ・ワルツ。 ムーティさんがシュミードルさんを指名し、立ち上がったシュミードルさん が伝えたのはヨゼフ・シュトラウスのワルツ「マリアの調べ」という曲。 初めて聴きましたが、ムーティさんが振ったニュー・イヤー・コンサート で演奏したことがあるのでしょうか? ムーティさんが、バイバイをして楽しくお開きとなりましたが、 鳴りやまぬ拍手に、オケもいなくなったステージに ムーティさんが再登場して、盛大な拍手に応えてくれました。 <蛇足> 公演パンフにはウィーン・フィルの来日公演一覧が載っていて、 1956年の初来日以来、今回が第26回目とのこと。 かなりの頻度ですが、それでも札幌へは1997年以来11年ぶり。 Kitaraがオープンしてまもなくの頃で、ウィーン・フィルがKitaraの 響きの素晴らしさを賞賛して、Kitaraの名が急速に世界に広まった、 と記憶しています。 今度は11年もあけずに来札してもらいたいものです。
by capricciosam
| 2008-09-22 23:52
| 音楽
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