さようなら緒形拳さん

ぐっと凝視していた顔が、一瞬にしてとてつもない人なっこい顔に。
視線をはずして、視線がさまよいながら表現する様の見事さ。
語り口の暖かさ…
緒形拳さんの芸に対する真摯な姿勢から発する表現には
見る者を引きつけて止まないものがありました。

ところで、何年か前に札幌三越で「榊莫山展」を観ました。
榊莫山さんの個性的な作品が主だったのですが、最後のほうには
莫山さんと交流のある方の作品が展示されていました。
その中で強烈な印象だったのが、緒形さんの作品。

やや武骨な四角張った字で丁寧に一字一字書き上げてある作品の
醸し出す雰囲気は強烈な磁場を放射しているように感じられました。
しかも、その雰囲気は暖かい。
まるで、目尻を下げて微笑んでいる緒形さんが佇んでいるようでした。
人柄が滲み出る、とはこういう場合に当てはまるのかもしれません。

臨終に立ち会った俳優の津川雅彦さんは

「歌舞伎役者のように、虚空を睨みつけながら、
静かに、静かに、息を引き取った。」(以上、ORICONSTYLEより)

と、最後の場面を語っていらっしゃいますが、
目に浮かぶようです。
最後の最後まで、まぎれもなく名優でしたね。

緒形拳さんのご冥福をお祈りいたします。
<10.9追記>
「風のガーデン」初回をみました。
緒形さん、痩せていましたが、存在感がありますね。
死んだなんて、やはり信じられません。

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by capricciosam | 2008-10-07 20:23 | 時の移ろい | Comments(2)
Commented by むぎ at 2008-10-10 07:47 x
おはようございます。

私も昨日、風のガーデン、見ました。
緒形さん、そう思って見るので余計なのでしょうが、痩せてましたね。
撮影中、かなりつらかったらしいと聞きましたが、そんなこと微塵も感じさせない演技ですね。
本当に、この方が今はこの世にいないなんて、信じられないですね
Commented by capricciosam at 2008-10-10 22:09
>むぎさん、コメントありがとうございます。
>そう思って見るので余計なのでしょうが、痩せてましたね
緒形さんの場面では、まったく同じ感想でした。
ネットでいまだ流れる関連情報をみると、亡くなる5日前の9/30には完成記者会見に臨んでいたとのことです。やはり、急逝だったんですね。
まったく、惜しいことです。

倉本聡さんが、緒形さんを評して
「あの“人間たらし”の笑顔にやられっぱなしでした」
と評していたのを発見して、「そう、そう」とうなずいていました。
記事で言いたかったこともこの辺りでした。


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