カテゴリ:舞台 on stage( 14 )

柳家小三治独演会@六花亭ふきのとうホール2017

7年ぶりの柳家小三治独演会。
毎年のように応募するものの、人気公演だけに落選続きで、
半ばあきらめ気味だっただけに今回は望外の喜び。
当日はあいにく吹雪いていましたが、天気にめげるもんじゃ~ありません。
会場は従来の真駒内店から新築された札幌本店ふきのとうホールに。

定刻になり開演。
はじめに登場したのは柳家三之助師匠。
7年前に登場した時は真打ち直前の二つ目でした。
落ち着いた雰囲気で手話落語ネタで笑いをとって「のめる」へ。
お互いの癖を使った化かし合いの古典だが、
演じ分けと小気味のよさがしっかりと伝わる。

続いて柳家小三治師匠登場。
「寒いところ、わざわざ出向いたのは、私の方です。」(笑)
例によって長~いまくらの中で自分は77歳だと言ってましたが、
久しぶりにみると、やはり外見は老けましたね。
脳内残像の師匠は7年前だから、そりゃあ当たり前か。
一瞬言葉に詰まる場面が多くなったし、
「自分で何言ってんのか、わかんなくなっちゃった」と言っては話があちこちに。

50歳の時働いて働いて、ようやく3週間のまとまった休みをとれた。
それで英語をしゃべりたくてUCLA近くに留学した。
というより、字幕なしで映画が観たいと思って行ったとのこと。
でも「英語はベラベラのベにもならない」し、
「あの国の言葉はあの国の方に任せた方が良い」と笑わせます。
米国だと英語を話せない移住者がいっぱいいる。
中華料理店で「This one,please.」と言っても反応は「?」
それでもちゃんと生きている。
だから日本に来て英語で話しかけるオマエが間違っている、と笑わせます。

昨年天皇陛下ご夫妻に呼ばれて一席やってきた時のこと。
「良い座布団がなくてね」そこで思い出したのが六花亭。
夏用の座ぶとんを使わせてもらったというエピソードを披露していました。
(これは帯広本店での独演会で使用しているものなんでしょうね、きっと。)
そして「(これも)言ってみれば、みなさんのポイントのお陰」(笑)

40分余りの長~いまくらを終えて「宗論」へ。
浄土真宗を信仰する父とキリスト教を信仰する息子のいさかいの話。
息子のデフォルメされた話っぷりで笑いをとって、さげは定番どおりに。
落語に入ると言葉の詰まりもなく、淀みなく話の世界に引き込んでいく
その様は、さすが名人という他ありません。

中入り。真駒内では定番だった茶菓の接待がありません。
あのひと時はほんわかして好きだったんですが、少々残念。

再び小三治師匠が登場。
着物を代えて羽織は着ていません。
出る直前に鏡を見て「改めて老けたなー」と笑わせます。
「(世の中には)そそっかしいのが2通りいる」ときて、「粗忽長屋」へ。
以前聞いた「船徳」「付き馬」のようなボリュームのある古典を期待していたのですが、
古典の定番中の定番だが、ちょっとこぶり。
まあ、師匠の年齢を考えたら無理はいけません。
2席聴けただけでもありがてぇ、ってもんです。
しかも、当夜の「粗忽長屋」はお手本のような出来。
どうも、うまいねぇ~、さすがだね~。

最後にご挨拶をし、「表はすっかり晴れ渡って月夜です」と一瞬言葉を切り
破顔一笑して「だったら良いですねぇ~」と会場を再び大笑いさせ、お開きです。
師匠にも、もてなしの変化にも改めて7年の歳月が流れたことを感じましたが、
でも毎年開かれている独演会だけに、ここまで継続してきた師匠にも、
六花亭にも賛辞を惜しみませんね。
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by capricciosam | 2017-02-02 23:57 | 舞台 on stage | Comments(0)

志の輔らくご昼の部@富良野演劇工場2016

今日はPMFとファイターズを一休みして、昨年同様富良野まで足を運びました。
師匠が枕で話していましたが、今回の富良野の落語会は通算16回、連続12年になる
そうです。師匠もほめていましたが、こんなに続くのも運営されているNPO法人の
皆さんの努力の賜でしょう。

最初に登場したのは7番弟子の立川志の麿。
ほとんど枕なしで与太郎話の「金明竹」へ。(まあ、時間的制約あるだろうからね)
傘や猫を無難に笑わせ、難所の上方者の口上へ。都合4回繰り返すことになるが、
3回目は滑舌もよろしく早口気味にスーッとやってのけたから会場からは盛大な拍手。
古池やのさげは無難に。

続いて鮮やかな橙色の着物の志の輔師匠登場。
「さわやかな夏、こんな暗闇へようこそおいでくださいました。」(笑)
ホント会場は黒を基調としているから照明がなければ真っ黒だね。
「高座は普通見上げるものだが、ここでは皆さんから見下ろされている。」(笑)
階段状の底がステージだから、そうなっちゃうね(笑)。でも見やすい距離なんだ
よね。師匠は東南アジア各地で落語会を開いている話から、落語では同じところで
一斉に笑い、一斉に静まりかえる様を現地の人が「新しい宗教なのか?」とは
笑わせます。楽屋に色々な物が届けられる話では4月に梨が届けられて
ビックリした話や夏に事務所にみかんが届けられても驚かなくなった話から
「千両みかん」へ。(師匠の着物の色と枕のみかんのところでピンときたら通ですね。
小生はさっぱりです、ハイ。)
若旦那の恋患いと思いきや、実はみかんが食べたいという、しかも夏に。
安請け合いした番頭が四苦八苦するという粗筋はそのままですが、細部は自在。
困った番頭が店先で「はじめが《み》で、終わりが《ん》のものだよ。あるかい?」
とやると「水戸黄門」(笑)「みりん」(笑)と答えが返ってくると、
「ハイ、次の問題ガンバロウ」(笑)
おまけに「ある訳ないだろう、うちは床屋だよ」と笑いの波状攻撃。まいったねー。
そして、みかん問屋の蔵を調べたあげくの値付けの問答は師匠の話芸の力の見せ所。
この話は人情話のひとつなんでしょうが、下げの味わいは単なる人情話とも言えない
人間のおろかさを突く不思議な味わいの作品ですね。


15分の休憩の後3番目は三遊亭全楽師匠。
「おまえは誰なんだ?」と、立川流の落語会に混じる「不純物」扱いで笑いをとった後、
自分は5代目円楽の弟子と自己紹介して、6代目の不倫釈明会見には指南役がいたはず
だと「あくび指南」へ。粗筋は変えずに、導入の部分はじめ細部は自在にアレンジして
笑わせます。いっしょに来たカミサンはツボに入ったのか、笑いっぱなしでした。

とりは志の輔師匠。
夏には全国各地の落語会で幽霊話が取り上げられているという話から、
故丹波哲郎さんや町内とは一体どこまでなんだ?という体験話や町内でのお化け屋敷での
人間関係の中で「恐がる」ことを覚えていったのに、最近はどんどん恐がることが
なくなっているという話に。師匠じゃないですが、「こういう芸能は同じものが頭に浮かぶ
から成り立つ」という指摘は確かに当たり前だけれど大事なことです。
これらを枕に「へっつい幽霊」に。
ところが、話をはじめてすぐに話を止めて、会場を見て一言。
「お客さんの半分は《へっついって何だ?》と思っていらっしゃる顔をしている。」
とへっついの説明に。これはいち早く会場の気配をつかんだのでしょうが、適切でしたね。
後の話の理解が進みます。粗筋はそのままに登場人物の描写ややりとりが実に上手いし、
アドリブも当意即妙。「おまえは誰だ?」「へい、《みかん》の番頭さんです」(大笑)
下げたところで、そのままご挨拶に。
富良野の良さを再び話され、「ひょっとしたら来年も」と口にしたところで
会場からは盛大な拍手が。そりゃ、そうですよ。師匠、期待してます!
最後に「お気をつけてお帰りください。」と言って高座を降りられました。

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by capricciosam | 2016-07-23 23:46 | 舞台 on stage | Comments(0)

志の輔らくご昼の部@富良野演劇工場2015

久しぶりの落語会は柳家小三治師匠以来5年ぶり。
(3年前の六代桂文枝襲名公演は漫才、歌ありのバラエティショー的なものだった)
立川志の輔師匠はTV「ためしてガッテン」(以下、「ガッテン」という。)でおなじみだが、
落語は聞いたことがなかったので楽しみに出かけた。

最初に登場したのは5番目の弟子の立川志の彦。
落語の制度をカースト制度に例えて、昨春二つ目に昇進してようやく人間になれた
と笑わせる。震災ボランティアで行った石巻での老人相手の笑わない落語会の
オチは笑わせるが、高齢化社会ではちょっと考えさせられる話。
枕を終えて、夏の定番の「青菜」へ。
よどみない語り口で、動物園での見合い話も挿入して、間の取り方も悪くなかった。
通常どおりの弁慶オチだったが、同日名古屋で立川流の方が義経ジンギスカン説で
下げたという話を聞いた。「ジンギスカンにしておきなさい」と演ったのかな!?

次に志の輔師匠が登場。
「11年目になります。こんな暗闇へようこそ(笑)※シンプルの極みのセットで
ずーとこのまま。師匠がでるならマイクを黄金にすれば良いのに(笑)」
TV「世界不思議発見」ロケでシンガポールから一昨日帰国したばかりで
昨日富良野に来たとのこと。風水で物事を決めるシンガポール事情、
お盆が二つある話、と続き死後の世界へ。三途の川を渡った冥土安定所での
いろんな亡者の場合に笑わせられるが、冷蔵庫の話は意表を突かれて大笑い。
そして北陸新幹線開業から長野善光寺へといき、「お血脈」へ。
まずご自分の体験を話されたが、おばあちゃんとのエピソードには笑った。
そして「ここまでガッテンしていただけましたでしょうか?」と突然ガッテンネタ(笑)
それからは淡々とお血脈へ、とはいかずにニセ善光寺、地獄タウンページと
笑わせてオチへ。話のテンポも良く、うまいねー。

さて休憩かと思ったら、三味線を抱えた長唄の松永鉄九郎さんがすぐに登場。
三味線の「ひく」「すくう」「はじく」で川の流れる様や出語りでの大薩摩を15分程。
「うまいもんだねぇ~」
引っ込んだところで、再び志の輔師匠が登場。

「若い頃はギター最高でいろいろさわったけど、この頃は三味線が良くなる。
(人生も)晩年になったんだなぁ~」と笑わせる。
デザインの話から似てる似てないのオリンピックエンブレムの話になって
古典芸能は同じ話をみんな自由に演るという話に。確かにそうだね。
小話をいくつか演った後に、お馴染み「三方一両損」へ。
定番のオチを演りつつ、ひとひねりして別オチでさげたが、これもおもしろいね。
これは立川流独自なのかな?

もう終わりかと思ったら、「ここで15分の休憩をいただきます」とのアナウンスが。
「えっ、もう一席聞けるの!?」と驚きつつ内心大喜び。

休憩を終えて、志の輔師匠三度目の登場。
「通常は新作、古典の2席なんですが、今日はお盆特集(笑)
富良野では11年になるんですが、誰から脅迫されて演っている訳ではなくて
良い気が流れているんですね。気持ち良くて、つい11年経った。」
(スタッフの人には最高のほめ言葉でしょうね。)
旅とは良いもので、いろんな人に出会えると言って、「ねずみ」に。
鼠屋の卯兵衛が左甚五郎に事情を話すくだりは、師匠の語り口のうまさに
会場がいっとき水を打ったようになった。「聞かせるねー」
そして福鼠の評判で鼠屋が繁盛するくだりでは、
「さて、ここで問題です。××は誰でしょうか?書きなさい。」と
再びガッテンネタ(笑)緩急のつけどころも良いね(笑)
45分以上の大熱演でした。

オチでお辞儀したまま舞台はいったん暗転し、再び照明がつき師匠が最後の挨拶。
富良野との関わりを再度話して、最後に
「気象の変動が激しいのでお身体には気をつけて」
と言って降りられました。師匠の人柄がにじみでます。

初めて聞いた立川流、全部古典でしたが、なかなか自由度が高い。
しかし、きちんと本筋は押さえつつ遊び心が楽しい、そんな感想を抱きました。

<追記>
初めて訪れた富良野演劇工場でしたが、客席はベンチシート形式。
客席も傾斜があるので見やすかったですね。内部は黒一色で、
志の輔師匠が挨拶で言った※は、照明を落とすとあたかもそんな感じです。
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<追記8.18>
文の一部を加筆修正しました。

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by capricciosam | 2015-08-15 22:38 | 舞台 | Comments(0)

ジーザス・クライスト=スーパースター@千歳市民文化センター2014

会場に一歩足を踏み入れると客席側に傾斜した荒野がステージいっぱいに設置されている。
この意表をつく大胆なセットは観る側の想像を刺激して止まない。
こんなシンプルで不思議なセットではたいしたことはないな、と高を括ったら大間違い。
序曲の暗く、重いロックのビートに乗って群衆が蠢く様に始まり、次々に展開される
キリストの磔刑までの最後の7日間の物語に観る側は圧倒されて魅入ることになる。
凝縮された100分。
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この物語はキリストの後世に伝わる晩年を忠実に取り入れつつ、
そこに「神の子」としてではなく、人間としての苦悩や葛藤を浮き彫りにさせると同時に、
ユダの苦悩と葛藤をも光と影のごとく対比させて描いていく。
視点を変えて行われた大胆な解釈により宗教から離れたドラマを獲得した。
それ故、キリスト教徒以外の他宗教の者にも訴える普遍的な力を持ったとも言える。
ティム・ライスとアンドリュー・ロイド=ウェバーが着想し、オリジナルを発表したのは
1960年代末。ミュージカル化されたのが1970年代初頭。
劇団四季の初上演は1973年。以来劇団四季でも再演が繰り返されてきたが、
時の篩いにかけられても本作品の持つ原初的エネルギーと輝きは色あせることはない。
今回久しぶりに観てなお一層この思いは強まった。

ティム・ライスとアンドリュー・ロイド=ウェバーの骨格は活かしつつも、
さらにエルサレム版としてブラッシュアップさせている
演出:浅利慶太
訳詞:岩谷時子
美術:金森馨
振付:山田卓
照明:沢田祐二
の力が大きいことは言うまでもない。

実は、劇団四季ミュージカルとの最初の出会いがこの作品だった。
出会ったのが、30年前の千歳市民文化センター。
「キリンミュージカルシアター'84」(26公演・5月~7月)の全国巡演の一環。
主要な役は次のとおり。

・ジーザス・クライスト:山口祐一郎
・イスカリオテのユダ:沢木 順
・マグダラのマリア:野村 玲子
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今振り返っても良い配役だった。もう一度同一キャスティングで観たいものだが、
山口さん、沢木さんはすでに退団され、野村さんは今では幹部俳優。
時の経つのは是非もないこと。
ベテランの沢木さんに対して、当時の山口さん、野村さんは売り出し中の若手。
今回の配役も似ている。ユダ役の芝清道さんの「彼らの心は天国に」の熱唱に
始まる数々のソロの安定感はまさしくベテランの味。安心してユダ役に共鳴できる。
ジーザス・クライスト役の神永東吾さんは、瞬間的に山口さんを彷彿させるところがあり、
懐かしく観た。決して大仰な演技ではなかったが、苦悩するジーザスを的確に演じていた。
マリア役は目立つ場面は少ないがこの苦悩に満ちた作品のオアシスとして重要。
観月さらさんの「私はイエスがわからない」のソロは収穫だった。
若い神永さん、観月さんのお二人のさらなる精進に期待したい。
ベテランのお二人、ピラト役の村俊英さん、ヘロデ王の下村尊則さんは「うまい」の一語。
特にヘロデ王の場面は内心の怯えと焦りを隠しつついかに能天気に演じられるか。
かつて観た市村正親さん同様、下村さんはハマリ役で見事だった。
この作品はソロだけでなく、アンサンブルもとても重要。
いかに意味ある動き、演技ができるか。高める余地はあるのだろうが、十分な出来だった。

全国巡演(8/29~12/2)のため道内公演は4カ所のみ。
9/30千歳 10/1旭川 10/3帯広 10/5七飯
千歳では客電がついても立ち上がった客からの拍手が鳴りやまず
アンコールが繰り返された。
いかに客席を巻き込んだかの証明として至極当然な反応だったと思う。
久しぶりにエネルギーを注入された思いで会場を後にした。
<追記10.5>
七飯町の公演は日本初演から1500回目だそうです。

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by capricciosam | 2014-09-30 23:33 | 舞台 on stage | Comments(0)

霜月小夜曲@北広島市芸術文化ホール2013

久しぶりに芝居を観ました。
地元札幌座の「霜月小夜曲(ノヴェンバーセレナーデ)」です。

「かつての同級生で大の仲良しだった3人娘が、25年という歳月を経て故郷で再会する。
(略)大きなわだかまりと誤解を抱えたまま長い年月を経て25年ぶりに開けられた
タイムカプセルから、今は亡き旧友からの思わぬメッセージが届く。」
(公演パンフレットから引用)

3人はそれぞれ、世界に、札幌に、そして残る一人は地元に留まるとくれば、
例えステレオタイプと言われようが、何か「物語」が紡がれない訳がありません。
その「物語」は観てのお楽しみで、ここではネタバレはしません。
その代わりと言ってはなんですが、このお芝居を観るきっかけとなったのは、
リンクさせていただいている作家の佐々木譲さんの記事です。
それはこちらですが、さすがな感想です。

それで、小生のほうは落ち穂拾い的に。
もともと芝居の観劇数は少ないので、素人が偉そうなことは言えませんが、
これまで観た芝居と比べて意表を突く演出が多く、驚きつつ、ニヤニヤされられました。

特に、劇中劇として繰り返される「人形劇」の縦横無尽ぶりな使い方は面白かった。
最初登場した時は唐突な印象が強かったのですが、何回か使われた後では
3人娘にセリフとしてただ「人形劇」と言わせるだけの頃になると、
それだけで小生も含めた客席は受けていました。
「人形劇」は余計なモノというよりは、この芝居を構成する重要なパーツでしたね。
芝居の観劇経験が乏しいので、演出としてのオーソドックスさ加減が不明ですが、
あの演出自体は印象的で、おもしろいですね。
ただ、最初の登場場面では睦美が途中で人形劇に加わるのが客席にバレバレでしたが、
ここは一旦舞台を暗転させるなりして、突如として加わったほうが客席の頭の混乱が
長引きおもしろいのかな、と個人的には思いました。

あと、興味深かった使い方が「仏壇の鈴」。
りっぱな効果音であり、想像をかき立てる大事なファクターでした。
ただ、「人形劇」も「鈴」もやや多用気味で、もう少し使う場面を整理した方が
より散漫にならず、効果的、印象的かなとも感じました。

演出で気になったのは「笑い」の取り方。
冒頭のホテルマンの馬鹿丁寧な言い方の「~ほう」の連発や、農協の加藤のTPPを巡る
説明のアルファベット略字の連発の場面などは、聴いていておかしさで吹き出したいのだが、
延々続くので客席で笑うタイミングがとれないもどかしさがありました。
この辺は演出でなんとかならないものでしょうか。
せっかくの客席側の正直な反応ができる「間」なのに、ステージ側に押し切られ、もったいない。

あと、特筆すべきは魅力的な挿入曲と主役3人の歌唱の確かさ。
あのキャンディーズを彷彿とさせる3人組になぞらえた挿入曲はどれも聴かせる上、
歌唱もTV等でよくある学芸会レベルとは違って、しっかりハモッていて、お見事のひとこと。

普遍的なテーマを扱いつつも、TPPなどカレントトピックスもありで、
やや生硬さを残しつつも、しっかり時代を呼吸していることが窺え楽しめました。

巡演予定です。
8/31 江別市・アートスペース「外輪船」
9/5~9/8 東京都・こまばアゴラ劇場
9/11 小樽市・おたる無尽ホービル3Fホール
9/13 石狩市・ArtWarm
9/15 札幌市清田区・清田区民センター
9/16 美唄市・市民会館大ホール
9/17 帯広市・北のれんが・古柏堂
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by capricciosam | 2013-08-30 22:20 | 舞台 | Comments(0)

六代桂文枝襲名披露公演@札幌市教育文化会館2012

「年末恒例の『2012 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)が
3日発表され、今年大ブレイクしたピン芸人スギちゃんの持ちネタ「ワイルドだろぉ」が
年間大賞に選ばれた。芸人による大賞受賞は2008年のエド・はるみ「グ~!」以来4年ぶり。」
(以上、オリコン12/3付けより引用)

この頃はほとんどバラエティ番組は見ないので、どの程度の凄さなのかは
知るよしもないのですが、ホントに大賞にふさわしいの!?
そう言えば、エド・はるみさんも、小生の中では「あの人は、今」状態。

こんなこと書いてると、えらい堅物のように思われそうですが、
いえいえ、決してそんなことはございません。
若い頃はバラエテイ番組やお笑い番組は好きでよく見てたものです。
語呂合わせやダジャレを言っては周囲の笑いをとっておりましたが、
この歳まで生きてくると、やはり自分の「好み」というのができあがってますし、
そんな自分なりの尺度で判断すると、最近のお笑いはつまらない。

例えば漫才なら、オール阪神・巨人さんのような、しゃべくりのおもしろさで
楽しませてくれるタイプは大好きなんですが、TVではなかなかお目にかかれない。
同様のタイプで言えば、宮川大助・花子さんも好きですね。
一度生で楽しみたいなぁ、と思っていたら、最近ひょんなことから実演を楽しむことができました。
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久しぶりの落語会は桂文枝襲名披露公演。
チケットをプレゼントされたので、ホイホイ出かけてきました。
当日の出演順に振り返ってみます。

◆桂三段
札幌出身。鮨やでの短い枕から、古典落語「松山鏡」へ。
三段が初めて師匠に稽古をつけてもらった思い出の作品とのこと。
鏡に写ったおのが顔を都合良く解釈していく頓珍漢ぶりを無難に演じたが、やや平板。
もう少し登場人物が浮き出てくればなお良しという感じ。
まだ、会場は暖まりません。

◆桂枝光 
師匠が北海道に住んでもう20年になるそうですが、
特徴的な北海道弁を取り上げた小話を繋げて会場を暖めていきます。
生活実感あふれる地元ネタを繋げて聴かせる力は、さすがです。

◆桂米團治
父親の桂米朝との絡みをいろいろ枕にしていましたが、
小米朝時代に初めて独演会を開いたのが札幌だったとのこと。
独演会当日、名ビラを見ると「子米朝」となっていた。
「確かに、間違ってはいない。」と笑わせます。 
落語は「七段目」(芝居道楽)。
仮名手本忠臣蔵からで、若旦那と定吉のドタバタを巧みに活写し愉しい。
ちなみに、ここの下げは通常は「てっぺんから落ちた。いいえ、七段目から」
となるらしいのですが、「七段目から落ちた。いいえ、てっぺんから」と、
桂一門では通常と異なるらしい、とのネタを検索で見つけました。
さて、あの夜はどうだったかな~!?

休憩を15分はさんで口上です。
舞台下手から上手に向かって、桂きん枝、桂米團治、桂文枝、宮川花子、宮川大助が
緋毛氈の上に並びます。宮川花子さんと大助さんが大いに笑わせるうちに
桂文枝本人が挨拶せずに終わってしまいました。
本人が正式に挨拶しない口上というのもありなんですか!?
口上に出くわした経験が少ないのでびっくりです。

◆宮川大助・花子
毎度おなじみの夫婦ネタなれど、聞き飽きしません。会場は大笑いです。
お二人の会話のテンポ、間が抜群で、漫才を依然磨き上げてる感じがします。
会場が大いに暖まったところで真打ち登場。

◆桂文枝
上方落語では見台、小拍子、膝隠付きで演られるらしいのですが、ここで初めて登場。
小拍子が載っていたので、どんな風に使うのかと思っていたら、
場面転換でカチッと鳴らすんですね。
枕から本題へ、本題の中の場面転換で、そんな風に師匠は使われていました。
創作落語一筋の師匠故、落語のタイトルはわかりません。
「親父のCDデビュー」とでもつけたい内容でしたが、
要は道楽親父が財産を使い果たすんじゃないかと心配する子供達の話。
すでにネタになっているのか、襲名に向けて新たに作られたのかは不明ですが、
兄弟間の会話などやや冗長で、もっと刈り込んでくれたらわかりやすかったな、
という印象を持ちました。
それに、下げも何秒か前に読めちゃったよ。あちゃ~
この段階では、今後はネタを変えたらいかがでしょうか、とよけいな老婆心も起きます。

師匠が挨拶もそこそこに引っ込んだところで、上手に桂きん枝が再登場し、
会場にカラオケが鳴り響きます。
すると、衣装換えして再登場した文枝師匠がマイク片手に歌います。
歌うは、先ほどの落語に登場した「浪速恋サブレー」
「そうか、こうくるなら、ネタは変えられないな」と得心。
吉本新喜劇風に内心ではズッコケましたが、こういう演出も初めて。
お笑いの方の襲名公演というのは、なんでもありなんですね。驚きました。

終演は21時40分とゲルギエフ同様、遅かったなぁ~。
道内は前日の伊達公演と翌日の音更公演のみでしたが、
12月にはパリでも公演し、来年の5月まで公演は続くようです。
TVで見るとお若いと思っていましたが、師匠も69歳。
長丁場を無事終えられることを。
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by capricciosam | 2012-12-03 23:41 | 舞台 | Comments(0)

ライオンキング@北海道四季劇場2012

5月ももうすぐ終わり。
地上の緑豊かになりつつある景色と分厚くたれ込める雲と冷風に、
ちょっとバランス感覚がおかしくなりそうな気分を感じたりしています。
そんな折、こんな記事が目に入りました。

「劇団四季は28日、札幌の北海道四季劇場(中央区大通東1)で
9月下旬からミュージカル「マンマ・ミーア!」を上演すると発表した。
昨春からロングラン公演中の「ライオンキング」が
同月8日に終わった後の作品で、道内初上演となる。」
(以上、北海道新聞5/29より引用)

「ライオンキング」の後に、四季は一体どんな演目を持ってくるんだろうと
気になっていたんですが、そうですか、「 マンマ・ミーア!」ですか。
東京汐留の四季劇場のこけら落とし公演で観た感動を思い出して、
思わず、ニンマリしてしまいました。
肩すかしを食らった映画版に比べると、明らかに四季版のライブが楽しめます。
楽しみだなぁ~

それで、思い出したのが、現在ロングラン中の「ライオンキング」です。
スタートから一年以上経ちましたが、先日ようやく観てきました。
JRシアター以来の北海道での専用劇場での公演です。
当時から楽しんできた者の一人としては感慨も一入でした。

物語は王様の子ムファサの成長を縦糸に、身内の陰謀、他の動物との友情等を
横糸にして、勧善懲悪な古典的物語がアフリカの大地に描かれていく。
子役も話題になっていたので、子供向け指向が強いのかな、と思っていたのですが、
いえいえどうして、大人も十分楽しめるステージに仕上がっていました。

冒頭の「サークル・オブ・ライフ」から圧倒されてしまいましたが、
中でもラフィキ役の茜りなさんが光っていました。
彼女の圧倒的な声量は魅力的だな。
それから、スカー役の渋谷智也さん(札幌出身)は演技巧者に成長されましたね。
失礼ながら、四季入団当時のアンサンブル時代の印象しかありませんでしたので、
きっと精進されたのだと思います。ブラボーものでした。

それに、ティモンとプンバァの方言入りセリフ。
ライオンキングの地方公演ではおなじみらしいので、どんな北海道弁が飛び出すかと、
楽しみでした。池田英治さん、川辺将太さんのお二人ともよくこなされていて、
小生くらいの年代だと、思わず笑ってしまうものもあったりして楽しめましたし、
同時によく調べ上げたものだと感心しました。
しかし、残念ながら若い人も目立った会場の受けはイマイチな感じでした。
確かに方言なんですが、現代では使われなくなりつつあるものも含まれていたから
共鳴できずに、反応にとまどいがあったのではないか、と推察しました。
会場の反応を良くするには、「生きてる」方言を多くしたほうがいいんでないかい。

東京四季劇場「春」でのロングラン公演も今年で14年目に突入しています。
ディズニーとの提携公演では「美女と野獣」以来でしたが、どちらも
大人から子供まで楽しめるスタイルは取りつつも、「ライオンキング」のほうが
シンプルに構成してある分ストレートに楽しめる度合いも強いように思いました。
9月8日がラストとなりましたが、チャンスがあればもう一度行きたいところです。
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by capricciosam | 2012-05-30 05:35 | 舞台 | Comments(0)

父と暮らせば@北広島市芸術文化ホール2011

3年ぶりに観るこまつ座公演です。
前回の「太鼓たたいて笛ふいて」は「戦争」がテーマでしたが、
今回の「父と暮らせば」はテーマがさらに絞られて「原爆」です。

原爆が投下されてから3年後の広島。
復興も進まない中、主人公の福吉美津江はバラック同然の家に住んでいます。
美津江は被爆しながらもなんとか助かったのですが、
父・竹造は、実は3年前の原爆ですでに死んでいますが、何故かこのところ同居しています。
そして二人の会話に耳を澄ますうちにその訳は判明してくるのですが、
果たして、何故死者がよみがえったのか。
実は、その辺の作者の意図が知りたくて、公演終了後会場で原作を求めて読んでいました。
それで感想がおそくなってしまいました。あいすまんこってす。
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「ここに原子爆弾によってすべての身寄りを失った若い女性がいて、
亡くなった人たちにたいして、「自分だけが生き残って申しわけがない。」と
考えている。このように、自分に恋を禁じていた彼女が、あるとき、ふっと恋におちてしまう。
この瞬間から、彼女は、「しあわせになってはいけない」と自分をいましめる娘と、
「この恋を成就させることで、しあわせになりたい」と願う娘とに、
真っ二つに分裂してしまいます。
(略)美津江を「いましめる娘」と「願う娘」にまず分ける。
そして対立させてドラマをつくる。しかし一人の女優さんが演じ分けるのはたいへんですから、
亡くなった者たちの代表として、彼女の父親に「願う娘」を演じてもらおうと思いつきました。」
(以上、「父と暮らせば」(新潮文庫)劇場の機知-あとがきに代えて、より引用)

これで合点がいきました。
すごい着想だな、と思うと同時に、井上ひさしさんの創造力の一端を知る興味深い話です。
そして、作者は1場4景の舞台に作り上げてしまった訳ですが、
そこには惨禍を経て幸いにも生き残った者の魂を鼓舞する作者のメッセージが読み取れます。
端的に表れるのが、竹造の次のセリフです。

「おまいは病気なんじゃ。病名もちゃんとあるど。
生きのこってしもうて亡うなった友だちに申し訳ない、
生きとるんがうしろめたいいうて、そよにほたえるのが病状で、
病名を「うしろめとうて申し訳ない病」ちゅうんじゃ。
気持ちはようわかる。じゃが、おまいは生きとる、生きにゃいけん。
そいじゃけん、そよな病気は、はよう治さにゃいけんで。」
(以上、「父と暮らせば」(新潮文庫)P.98より引用)

いつまでもうしろめたさにとらわれずに、幸せを求めて生きるんだ。
恐らく、舞台でお二人の役者さんが演じられることから発せられるメッセージは
この点につきるのでしょうが、美津江が恋心を抱く相手、木下正(登場しません)の
意向(原爆資料の保管)を考えると、惨禍を忘れてはいけない、後世にきちんと伝える
ということが作者の隠された別のメッセージだったのかな、と思わずにはいられません。
そして、東日本大震災と福島第一原発事故に遭遇したタイミングでは、
十分我々の心に響き、共鳴するメッセージでもあるな、と改めて思い至りました。

最後に、演じられる辻萬長さん、栗田桃子さんのことについて。
お二人のコンビでは2008年から続いていて、今回で3回目だそうですが、
よどみない広島弁のセリフに聞き惚れ、立ち振る舞いに見とれているうちに
引きこまれてしまい、芝居の頂点となる4景では涙壺が満水になりました。
幸い決壊せずに済みましたが、まわりから多くのすすり泣きが聞こえてきて
いかに共感している人が多かったことか、と改めて感じたところです。
これは、作者の力はもちろんですが、演じられるお二人の力がなくては
如何ともしがたいところだと思います。

今回の公演も7月から全国巡演を重ねられて、道内は9/22伊達を皮切りに、
音更、士別、深川と巡回されて、北広島公演は道内巡演の最後でした。
そして9/30、10/1の埼玉県大宮で千秋楽です。
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<蛇足>
井上麻矢さん(こまつ座社長・井上ひさしさんの三女)も公演会場にいらっしゃいました。
会場には井上ひさしさんの笑顔の大きなパネルが。
カミサン「ホント、亡くなられたなんて信じられないですね。」
麻矢さん「臨終に立ち会いましたが、ほんとうにそうなんですよ。
どこかからふっと現れてきそうで。」
亡くなったのが昨年春でしたね。早いものです。
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by capricciosam | 2011-09-28 22:33 | 舞台 | Comments(0)

柳家小三治独演会@真駒内六花亭ホール2010

どうも、驚いちまったねぇ。
何がって、小三治独演会が当たったんだよ。ホントだよ。
あ~、今年も春から縁起がいいぜぇ。

てんで、また足を運んでまいりました。

まずは、今月21日に真打ち昇進を迎える二つ目の柳家三之助登場。
軽い枕から「代り目」へ。
酔っぱらった亭主と車屋のやりとりから、家に戻ってのカミサンとのやりとりへ。
途中話っぷりが一本調子になりかかったが、なかなか聞かせる。
表情がやや荒削りなところはあれど、楽しみな雰囲気がある。

次に登場は真打ちの柳家はん冶師匠。
昨年に続き登場です。
知らないのに知ったかぶりの話で、枕を終えて「千早振る」へ。
ご存じ、この話の典型。
百人一首の
「千早振る 神代も聞かず竜田川 から紅に 水くぐるとは」
の意味を聞かれた知ったかぶりの絶妙な解釈とは?
実は、会場へ向かう道々小三治師匠の「千早振る」を聞いていたので、
この話が始まった時の、内心の驚きたるや。「ええーっ!?」
やはり、試験は諦めちゃいけません。直前のヤマが当たるんですよー
なんて、訳のわからないことを言っちゃいましたが、
はん冶師匠、相変わらず汗をふきふきの渋い声での熱演で
会場は大笑いでした。

三番目は、お目当ての柳家小三治師匠。
体重が減ったそうで、やはりやせて見えますが、体調は良いそうです。
ちょっと間をおいて話し始めたのが、「水」の話。
先月九州で旅公演やっていたら、サントリーの天然水の中身の水が
「南アルプス」「大山」「阿蘇」と3種類のものが出回っていることに
気がついたそうです。中でも「阿蘇」はうまいそうです。
エスカレータの立ち位置も東京と大阪、神戸は違うと言う話から、
アレっと思うことを見つけて歩くと結構おもしろいという話へ。
そして、世の中は皆変人なのに、他人と同じだと安心していられる
という話から30年前はスキーファッションが皆同じだったのに、
イタリアでスキーをしたら、小っちゃい子でもオシャレだという話へ。
その時目覚めたことが、同じ人はいないということ。
自他共に認める親友なんてものより、正反対の方が仲がよい
と、長い枕から「長短」へ。
せっかちと呑気の描き分けの巧みさは、もう見ているだけで楽しい。
緩急の間の取り方の絶妙ぶりは、さすが名人芸です。

20分の休憩の後は羽織を茶系から青系に替えて登場です。
昨年は枕なしで「船徳」を熱演。私にとっては、ありゃ、一生モノでした。
しかし、今年は枕がありました。
歌のリサイタルが今秋2ヶ所(石川県、埼玉県)であるそうですが、
そもそもこの真駒内ホールでやったのが初めてだったそうです。
それで取り上げる一曲をご披露してくれました。
「あぁ、プランタン無理もない」
作詞サトウハチロー 作曲中田喜直
師匠の歌と解説を聞いて、なるほどと思っていたら、歌詞の2番へ。
歌い終えてから、ようやく郭話へ。
吉原の説明をしているうちに、なんの脈絡もなくこんな話を。
「まあ、年取ったから言うわけではないけれど、
生きてるうちです、生きてるうちですよ、楽しいのは。」
そして、「付き馬」へ。
この長い噺は初めてでしたが、退屈のつけいるスキがない。
師匠の表情を見、噺に耳を傾けているだけで、
時間があっという間に経っていた。
いやー、お見事の一言に尽きます。
しかし、また一生モノが増えました。
満足、満足。
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by capricciosam | 2010-02-02 23:52 | 舞台 on stage | Comments(0)

柳家小三冶独演会@真駒内六花亭ホール2009

噂には聞いていた「六花亭ホール」
普段は六花亭のお店として使われているその空間が、
小ホールに変身して演奏会等に使われているらしい。
一回体験したいなぁ、と思えども、なかなかチャンスがなかった。
それが、今回だ。
そうだよ、落語だぁ。
しかも、小三冶だよ。
「ちきしょう、ついてるなぁ~」、てんで、
熊の野郎がいそいそと出かけてまいりました。
おっと、熊五郎になっちゃった。
だいぶ影響されています、ハイ。
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まず、登場したのは二つ目の柳亭こみち。
前座時代は一切嗜好品禁止だったので、甘い物が楽しみで
仕方がなかった、という枕から始めたのが「四段目」
芝居好きの定吉が仕事をさぼって芝居見物したものの、
お店に戻ったら旦那にばれて蔵へ閉じこめられた。
空腹を満たそうと始めたのが好きな芝居のまねごと。
「仮名手本忠臣蔵」四段目の塩治判官切腹の場面。
淀みない語り口でそつなくまとめているが、人物の立体感は
もう少しほしい感じも。さらなる成長に期待。

続いて登場したのは真打ちの柳家はん冶。
落語の世界におなじみの粗忽者が登場する「粗忽長屋」
粗忽者ひとりでもおかしいのに、二人も登場してのトンチンカン。
何しろ行き倒れの死体を隣に住む熊公と思いこんじゃう勘違いぶり。
「おい、おめぇ死んでるんだよ。」
「えっ、オレが!?」
言われた方も否定すりゃいいのに、その気になるから、またおかしい。
短い枕に続く熱演に、しばし大笑い。
語り口はやや渋いのですが、安心して話の世界に浸れます。
3/12(木)18:30~豊平館で師匠の札幌初の独演会があります。

最後は真打ち登場で柳家小三冶。
枕は先日のTV放送の話。あれ以来、顔色の話ばかりされる。
「顔色が悪い」それから「顔が赤い」という話へ。
白雲にかかり、近所の皮膚科へ行ったが、治らないので医大へ。
加齢が原因の脂漏性炎症との診断。
また診てもらいたくて行ったら退職していた。
そんなことから、人というか、縁というか、という話へ。
男女の縁なんてのも出雲の神様がテキトーにやってるんだよ、
なんてことを言って「厩火事」へ。
女髪結とその亭主の話。夫婦ゲンカのあげく女房が仲人に
いつものごとく愚痴をこぼしにきます。
仲人が孔子と麹町の殿様の大事なものをめぐる話をして
亭主の気持ちを確かめさせようとする。
昔から師匠の味のある語り口には魅了されていましたが、
枕といい、「厩火事」といい、相変わらずうまい。
少し言葉が詰まり気味のところもあり、聞いてるこちらも
ちょっとハラハラしたのですが、大事に至らず一席終わります。
師匠はまだまだお若いなぁ、と思っていたのですが、実は
もう70歳になろうかというのですから、こりゃ、生理現象です。

30分程の休憩の後、再び登場しますが、
羽織と羽織ヒモを替えています。
休憩前は羽織の裏地が青、ヒモも青。
今回は裏地が赤、ヒモも赤。
粋ですねぇ~。手を抜いてない。
最後は枕なしの「船徳」
勘当された若旦那が船頭になったはいいが、お客を乗せて
危なっかしい腕前を披露する羽目に。さて、無事目的地に着けるのか。
若旦那の汗したたる様、二人の客のおびえっぷり。
描き分けの見事さ、話の絶妙の間。
熱演でした。
絶品。

休憩前の気になった言葉のつかえなんて微塵もありません。
一席終えて、ウォーミングアップ終了といったところでしょうか。
さすが、名人。
満足な時って、自然に顔がゆるみます。
心がほっこりしてくるんでしょうね。
気がついてみれば開演から3時間近く。
合間にいただいた六花亭のお菓子もおいしかったし、
なんて贅沢なひとときだったことか。
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<2.7追記>
写真を追加、差し替えました。中でも、「満員御礼」ポスターは
当日会場で撮ったものです。今でも、素晴らしい古典落語を
体験できたことに、思い出してはニンマリしています。

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by capricciosam | 2009-02-02 23:20 | 舞台 on stage | Comments(0)