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流れていた曲が

■ 終生忘れられない曲になった
  
  通勤途中はFMを聴いていることが多く、
  父が倒れた日もいつものように聴いていた。
  その日はフォーレのレクイエムが流れていた。
  今振り返ってみれば、なんとも意味深な偶然なのだろう。

  フォーレに限らず、レクイエムは嫌いではないが、
  かといってあまり好んで聴いたこともなかった。
  しかし、心身ともに疲れ切った時などは、レクイエムの
  中でもフォーレの静謐な雰囲気のただよう、透明なやさしい
  調べに身をゆだねることはあった。
  私の中では、まさしく「癒し」の一曲であった。

  父の遺体が自宅に戻って葬儀の段取りの打ち合わせが
  一段落してから、無性にフォーレが聴きたくなった。
  しかし、家に戻る余裕もなかったので、家人に頼んで
  家にあるCDを持ってきてもらい、父愛用のCDラジカセで
  音量を絞って流していた。
  葬儀の対応に追われる中、周囲の雑音が途切れ、一瞬
  の静寂が訪れた時に耳に飛び込んでくる調べの、なんと
  穏やかで、やさしいことか。どれだけほっとしたことか。
  父の死を実感できないまま、現実にあたふたしている
  だけで、心身共に消耗している身には、何よりもの
  癒しであり、慰めとなった。

  初七日、二七日…と過ぎていくことで、あの日のことは
  確実に過去の記憶として固定されていくと同時に、細部 
  は薄れていくのだろう。
  しかし、フォーレのレクイエムがあの日を振り返って
  忘れ得ぬ曲になったことは間違いない。
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by capricciosam | 2005-05-31 20:47 | 音楽 | Comments(3)

別れは

■ 唐突にやってきた
   
  「お父さんが倒れた、すぐ戻ってちょうだい」
 
  出勤途中に携帯がなる。
  妻からだった。
  「一体どうしたんだ」との思いと同時に
  「なんとかなるだろう」とあえて考えるようにして
  なんとか気を落ち着かせようとした。 
  病院に着いてみると、救急治療室の廊下に母がいた。
  不安な目を私に向けながら小声でつぶやいた。
  「だめかもしれない」
  医者も良い状況ではないことを示唆していた。
  CT断層写真を撮影するために一旦室外に運び
  出された父の顔色はすでに生気を失っているように見えた。
  「覚悟しなけりゃいけないかな」
  母に話しかけてはみたものの、自分の声も虚ろに響く。
  しかし、最悪の場合に一体どうしたら良いのか、
  さっぱり考えがまとまらないまま、じりじり時間が経つ。
  かけつけて30分も経った頃、治療室に入室を促された。
  心臓マッサージを医師が止めて、瞳孔検査をした。
  それから時計をみて死亡時刻が告げられた。
  父が倒れてから一時間ちょっと。
  あまりにもあっけなかった。
  死因の説明を受けても、実感が伴わない。
  妙にふわふわした気持ちのまま、父の遺体のあとに
  ついて霊安室に行った。
  そこの室内に設置されている仏壇に拝んだ時に、
  初めてふいに涙がこみ上げてきた。
  仏壇に向かって、父の霊に南無阿弥陀仏を唱えた
  という「形」が、否が応でも父の死という厳かな事実に
  向き合わせてくれた結果なのだろう。
  悲しかったが、一方では素直にありがたかった。
 
  父と母は二人で私の近くに暮らしていた。
  70歳も半ばになり父と母の老化ぶりは、少々気になって
  はいたが、自分でかかりつけの医者のところに行っては
  健康チェックしたり、めったに弱音を吐かないことから、
  すっかり油断していた。
  子供としてもっと何かできたのではないか、自分を責める
  言葉が頭の中をめぐった。
  それだけに暇乞いもせずにひょいと逝ってしまった父の死は
  子供としてもう何もしてあげられない私には唐突故に大きな
  悔いとして残った。
 
  慌ただしく時は過ぎ、あっという間に葬儀は終了し、父は遺骨
  となって自宅に戻った。
  葬儀を終えたのちも、新聞を見て知ったという弔問してくださる
  方の対応をしている間に時間も無為に過ぎて、十分あったはずの
  忌引き休暇も終り、仕事に戻った。
 
  父の遺骨が自宅に戻って以来、毎晩遺骨のある部屋に
  母と二人で寝ている。
  毎朝、遺影に「おはよう」と言っては起き出して、掃除をしたり、
  仏前の用意をする母の手助けをして出勤している。
  幼い頃祖父母が亡くなった時以来だ。
  怠惰で、およそ信仰とかけ離れた生活を続けてきた私自身の
  行動で示す「けじめ」のつもりなのかもしれない。
  これで気持ちが済むとは思ってはいないが、当面やれるだけの
  ことはやっておこうと思っている。
   
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by capricciosam | 2005-05-29 18:55 | 時の移ろい | Comments(0)

唐突な

■ 出来事に翻弄されて
  
  ある日を境にPCにも触れる余裕もなく日々を過ごしてきました。
  ましてブログも更新できずじまいでした。
  その間、何人もの方に訪れていただき感謝いたします。
  今日も大して時間がとれませんので、この程度でお許しください。
  近々、この間の経過も含めてブログは復活させたい、
  と思っています。
  その節はよろしくお願いいたします。
  
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by capricciosam | 2005-05-26 18:22 | 時の移ろい | Comments(0)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか@光文社新書

◆ 身近な疑問、そこには「本質」があるようだ

  遅々として進まぬ我が読書かな、との思いは変わらぬが、
  それでも一応去年以上の冊数はこなしたようだ。
  と言っても、まだヒトケタではねぇ…
  さあ、まだ半年以上ある、まだまだ読める

  最近読んだ本から
  山田真哉著「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」
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  気楽に手にとってはみたが、おもしろかった一冊。
  身近なエピソードをランダムに連ねる構成で、
  「会計」をわかりやすく解説していく。
  例えば、表題以外にも
   ・ベッドタウンに高級フランス料理点の謎
   ・完売したのに怒られた!
   ・あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか?
  等の、「つかみ」で惹きつけるエピソードが並ぶ
  それぞれ、会計の基本的概念を事例に置き換えて
  おもしろく読み進むうちに、それなりに納得。
  著者は「会計はもっと身近なもの」で、「会計の本質は
  それほど難しくはない」との信念から、この書を成した
  ようだが、「会計の本質を大まかにつかむ」という所期
  の目標は達成したように思う。
    
  
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by capricciosam | 2005-05-11 22:49 | 読書 | Comments(2)

足踏み

■ どうしたんだろう、この低温

   さくら前線も北海道に上陸し、道南ではすっかり開花したらしい
   近所の桜の開花状況が気になって散歩がてら足を運んでみる
   桜の木に近づくにつれ、ピンクに色づいてきたのがわかる
   「おっ、一輪でも咲いているかな」
   と思ったが、間近で観ると、蕾がふくらんで、その先が割れて
   花が見え始めた程度で、大半はまだふくらんだ蕾のまま
   こんなに寒けりゃ、しかたがないか
   雪も融けてから雨らしい雨もなく、昨日の雨で大地もたっぷり
   水分を吸収しただろうから、きっと温度があがったら
   見事な花を咲かせてくれるだろう、と期待しよう
   一方、庭のチューリップも蕾があがってきた
   さて、どんな花を咲かせるやら
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by capricciosam | 2005-05-08 23:51 | 時の移ろい | Comments(1)

Shall we ダンス?@TV

◆ オリジナルの出来がいいんだね

  昨夜、地上波で放送されたオリジナルを観た
  あらすじと主な配役の設定はほぼ同じながら、
  オリジナルとリメイクの差異もあちこちのブログで
  指摘されているようにないわけではない
  なかでも主人公夫婦の和解の描き方
  
  オリジナルでは子供が二人の手を取ってからダンスをする
  子はかすがい、しかも職場に遠いローンのある一戸建てで
  日本人には実にしっくりくるシチューエーション
  一方リメイクでは、子供は仲をとりもったりはせずに、
  主人公がひとり決心してバラを手にしたタキシード姿で
  妻の職場のデパートに現れてダンスする
  ありえない、と思いつつも、強く惹かれる
  ちょっとした勇気がいることって、できない人にとっては
  一種のあこがれになるためか
  何れも夫婦の間はしっとりと描かれてはいるが、
  オリジナルはもっと多湿な感じの「しっとり」
  リメイクはもっとからっと、さらっと
  これは、善し悪しではなく好みの問題だなぁ、と思い至った
  
  それにしても嗜好の分かれる点を別にすれば、
  オリジナルの作品そのものの完成度が高いことを改めて感じる
  こういう人を信じられる、心温まる映画ってのは
  いつの時もいいもんだ、と思う  
   
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by capricciosam | 2005-05-07 22:36 | 映画 | Comments(19)

Shall we Dance?@映画

◆ 成功したリメイク

  ダンスしますか?
  
  せいぜいフォークダンスぐらいかな、
  そう言えばディスコ(死語)、盆踊りもあったか、
  いや、そうじゃなくて、二人で手を取り合って踊ることだよ、
  スナックで女の子とチークダンスってのもあったよなぁ~
  ふぅ…
  まじめな話、振り返ってみても、
  うん十年前のフォークダンス経験でおしまいか、トホ
  
  別に個人的な乏しい体験がすべてと思う程傲慢ではないが、
  日本人の人生や日常で、映画でとりあげているような「ダンス」
  というのは普遍性が乏しい経験のひとつだろう
  だからこそ、日本版の主人公が含羞に満ちながら、突如ダンスに
  目覚めていくというのは、「おいおいどうなるんだ?」という興味
  本位なワクワク感とともに観客を巻き込んでいったのだと思う、
  自分じゃありえないことに踏み込もうとするんだから、当然か
  周防監督の着眼のうまさだ
  
  その点、今度の主人公が「高校の卒業パーティー以来かな」と
  口にするのを聞くと、やはり生きてるベースが違うんだなぁ、と
  改めて思ってしまった
  じゃあ、今度の主人公には含羞はまったくないのか、
  というとそうではない
  程度、中身の差はあれど、同じように通勤電車から窓外に
  目をやる彼の目には生気は感じられない
  現状に飽き、なんらときめきを感じない生活
  そして、そこから一歩踏み出ようとするとまどい、はじらい、勇気
  その置かれたシチュエーションは異なっているが、スタートは同じ  
  
  草刈民代とジェニファー・ロペス
  二人のヒロインのキャラの違いもおもしろい
  竹中直人&渡邊えり子と同様の配役も怪演ぶりでは
  日本版が上か、でもこんどの二人もなかなかウマイ
  全体に日本版をうまくブラッシュアップしてより洗練した、という
  感想を抱いたが、オリジナル同様十分楽しめた
  上映中も会場内には笑いが絶えなかった
  コメディタッチってのはいいもんだ、とつくづく思う

  これは中年以上のカップルには特にお薦め
  シネコンを出ようとする時、かみさんがいたずらっぽい目で
  「お父さん、こんどはダンスやろうと思っているんでしょう?」  
  と心中を見透かしたようなことをのたまった
  内心ダンスもいいなぁ、と心は傾いていたけれど、
  ほんとはリチード・ギアのようにバラを手にタキシード姿で現れたい
  (これはオリジナルにはない秀逸な演出、賛否は分かれる
  だろうが…)
  というのが本心で、さすがここまでは言えず、とっさに
  「それも、悪かぁないねぇ」と答えてしまった
  でも、心ウキウキになっていたのは間違いない

  おまけ:エンドクレジットを余韻に浸って観ていたら
       流れた音楽がディビット・ボウイの「レッツ・ダンス」
       女性がカバーしていたが、しゃれてるねぇ
  
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by capricciosam | 2005-05-03 08:52 | 映画 | Comments(25)

ブルッ&ポカポカ

■ 寒暖の差はあれど、春の手応えは…

  近年の春の暖かさに比べれば、今年の春は「寒い」ブルッ
  天気も曇天になると、風も冷たく、「寒い」ブルッ
  でも、一転してお日様ポカポカになると、上着脱いで
  長袖をまくりあげても大丈夫。
  どうも、風邪がいまいちスッキリなおった気がしないのは、
  このアップダウンの激しい天気のせいなんでしょう。
  
  道南にもようやく「桜前線」が到達したようで、
  松前や函館で開花が観測されました。
  GWは大にぎわいになるんでしょうね。
  このあたりではあと数日はかかるようです。
  それに先日降った雨には「黄砂」が混じっていたらしく、
  朝起きたら窓が汚れていました。
  桜に黄砂、どうやら、本格的な春が北国にも訪れたようです。
 
  今日は、夕陽がとてもきれいでした。
  デジカメの解像度は少々劣るので、その辺が伝わりますか…
 
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by capricciosam | 2005-05-02 23:54 | 時の移ろい | Comments(2)