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北海道現代具象展@北海道立近代美術館2012

昨年放送された「日曜美術館」で野田弘志さんが特集されているのを見た。
超写実主義という分野で活躍されていること、そして
この分野において多くの作家が多様な作品を生み出していることを知った。
どの作品も油絵ながら、写真で写しとったかのような鮮明さ、細密さで描かれている。
まるで、対象そのものの見に見えぬ本質までをも描き出そうとしたかのような
作者の意気込みや迫力を感じるのだ。
中でも、野田さんはこの分野において現代日本を代表する一人なのだという。

番組では、北海道のアトリエにおける創作活動が披露される。
起床してから、食事以外はアトリエに籠もって創作活動に打ち込んでいる姿は
とても70歳過ぎとは思えない。
その中で野田さんはインタビューに答えている。
「人間の生から死に至る存在そのものを描きたいんだ」と。
やはり、この執念が作品に滲むということなのだろう。

作品では、様々なモデルを対象に描いている。
風景、刈り取られた小麦束、動物の頭骨、裸婦、赤ちゃんetc
作品は、まずモデルを写真に撮って、写真を元に仕上げていくようだ。
番組では、雪のある中を一人の妙齢の婦人がわざわざ東京からやってきて、
ドレス姿でモデルとなる様子が紹介される。
その写真撮影や作品として仕上げていく過程を放送するが、
番組では作品の完成形までは放送されなかったのが、心残りだった。

ちょっと前置きが長くなったが、今回訪れた第5回北海道現代具象展で、
実はこの時の作品が「崇高なるもの Op.1」として展示されている。
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野田さんの作品は2点だけだが、会場に足を踏み入れるまで知らなかっただけに、
対面した時には心底驚いた。

「あの時の作品だ!」

番組では野田さんが拘っていた手も含めて、まじまじと接近して見ることができたが、
決して細部まで綿密に描かれ、塗られている訳ではないことに驚いた。
番組で細部に拘って綿密に描写していたと思われた野田さんの姿から
勝手に想像していただけのようだ。
しかし、どうみても油彩そのものなのに、ちょっと離れて見ると、
見事に活き活きとモデルが立ち現れてくる不思議さ。
技巧的にはなにも目新しいものではないのかもしれないが、
完成された作品を前にすると、鑑賞者は言葉を失い、その迫力に圧倒される。

もう一点の裸婦を描いた作品「聖なるもの THE-Ⅲ」は、性器が見えるくらい
膝を深く曲げて横たわった姿態が明るく浮かび上がる中、逆に顔は影の中にある。
しかし、目は見開かれ、鑑賞者から逸れた目線は一体何を見つめているのか。
鑑賞者の想像を刺激して止まない。
わずか2点だが、他の作品群の中にあっても目に飛び込んでくる一揃いだった。

具象とは、
「はっきりした姿・形を備えていること」
(以上、コトバンクより引用)
という意味らしい。
抽象画のように単純化された点、線、面等で構成されていない画なので
鑑賞に無理な想像力を求めませんが、鑑賞者の想像が刺激されることがない訳ではありません。
また、作品とは本来そういうものなのでしょう。
野田弘志さん以外では、道内に縁のある作家や招待作家含めて多くの作家が
2点程度ずつ出品しており、多種多彩で、なかなか見応えのある展覧会でした。
今回が最終回とは残念なことですが、ぜひ形を変えてでも復活されないものか、と思います。

実は、佐々木譲さんが今回の展覧会に野田弘志さんが出品されていることを
つぶやかれていたことから、初めて足を運んだ次第です。
佐々木さんはすでに初日にご覧になったようで、いくつかのつぶやきを残されています。
中でも、本展覧会のHPに取り上げられている笠井誠一さんの作品を巡る発言には賛成ですね。
小生も探してしまった口ですから、なおさらです。
それにしてもアーチスト・トークは聴きたかったな。
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by capricciosam | 2012-03-22 22:40 | 展覧会 | Comments(0)

見せよう底力

今日からセンバツが始まった。
本音を言うと、夏の甲子園に比べ関心は薄い。
やはり、3年生まで含めた総力戦に比べ、やや恣意的に選ばれてるのではという疑念が残り、
ひっかかるからなのだが、だからといって出場するチームにはなんの偏見もない。
今年の選手宣誓は被災地石巻工業高校に。
前日のリハーサルを休んで、思わず不安を感じたが、本番では見事な宣誓だったようです。

「宣誓。東日本大震災から一年、日本は復興の真っ最中です。被災をされた方々の中には、
苦しくて心の整理がつかず、今も、当時のことや、亡くなられた方を忘れられず、
悲しみに暮れている方がたくさんいます。
人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。
しかし、日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、
その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。
だからこそ、日本中に届けましょう。
感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう、日本の底力、絆を。
我々、高校球児ができること、それは、全力で戦い抜き、最後まで諦めないことです。
今、野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。
平成24年3月21日、選手代表、宮城県石巻工業高等学校野球部主将、阿部翔人」
(宣誓全文、以上読売新聞3/21より引用)

帰宅してTVで観たが、阿部選手の宣誓には素直に感動した。
齢17歳から発せられるメッセージの力強さに。
ちなみに、石巻工高は校舎1階まで津波をかぶり、グラウンドも暑さ11cmのヘドロが堆積。
野球部員が泥かきをはじめたものの、悪戦苦闘している中、自衛隊や米軍、ボランティアら
延べ1000人が手伝いに駆けつけてくれ、約1カ月で、2トントラック300台分の泥やがれきを
撤去したとのこと。その甲斐あってか、努力が稔って、昨秋の県大会で準優勝し、
21世紀枠で甲子園出場を果たしたとのこと。これだけでもグッとくる。

「甲子園に出発する際、父克彦さん(46)から、宣誓に当たった場合に備えて
文案を託されていた。。
「お前には『震災に負けない』という被災者の思いを全国に伝える義務がある」。
選手宣誓が決まり、石巻工ナインは宿舎の2階の広間にホワイトボードを置いた。
「東北、宮城、石巻を代表するものをみんなで作り上げよう」と、
ナイン一人一人は思っていることを率直に書き込んでいった。
「勇気」「感謝」「底力」「あきらめない」……。
阿部主将は「笑顔」という言葉にこだわった。「自分たちにできるのは笑顔のプレー。
いろんな支援を受け、元気で頑張っている姿を全国に見せることだ」と。
克彦さんの案をベースに文章を練り、17日夜に完成した。」
(以上、毎日新聞3/21より引用)

そうか、みんなで練り上げたからこその宣誓文だったのですね。
だからこそ、より気持ちの込められた力強いメッセージだったのだと思います。
石巻工業高校は明日の大会第2日第3試合で神村学園(鹿児島)と対戦します。
みなさんのご健闘を祈ります。
<追記3.22>
神村学園(鹿児島)9-4石巻工高(宮城)
一時は逆転した粘り強さは、地元のみなさんを奮い立たせるものが
十分にあったはずです。
選手の皆さん、お疲れ様です。

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by capricciosam | 2012-03-21 21:50 | 時の移ろい | Comments(0)

北の土偶@北海道開拓記念館2012

1975年道南の旧南茅部町の自家野菜畑で、それは発見された。
確か、主婦の方がいもを掘ろうとしたはずだ。
2007年に北海道初の国宝となった「中空土偶」である。
国宝指定当時、道内では大いに話題になったのでご記憶の方も多いと思う。
偶然とはいえ、ほぼ無傷らしいから実に幸運だったと言わねばならない。
現在の愛称は「カックウ」という。
南茅部の「茅(カヤ)」と「中空(クウ)」からとったものらしい。

当時、「機会があればみたいものだな」とは思っていたものの、遠方だけに
わざわざ出かける気力もなかったが、今回他の2点の国宝土偶とともに展示される、
しかも期間中本物展示は期間限定(期間後は複製)とのことだったので、
どうせ見るなら本物を見ておきたいと思い、出かけた次第だ。

ところで、「土偶」ってどんなもの!?なのでしょう。

「世界各地の先史時代を中心に広くみられる人間をかたどった土製品。
乳房や臀部を誇張した女性像が大部分で,男性を表すのはまれである。
動物をかたどったものは動物土偶と呼ばれ,素材に石を使ったものは岩偶という。
日本における動物土偶は,縄文時代後期から晩期にかけて,おもに東日本でみられ,
猪が最も多く発見される。他に犬,猿,熊,ムササビ,亀,ゲンゴロウなどがあり,
いずれも食糧などとして生活に密着した動物が選ばれた。」
(以上、コトバンクより引用)

確かに、それほど広くないスペースに展示されている
大小様々の約130点の外観上の形はこの定義にあてはまるようだ。
しかし、その多様さには、改めて驚いた次第だ。
例えば、他の2点の国宝土偶のうち、長野県で発見された「縄文ビーナス」は、
腕の解釈がなんとも不思議なのだが、そのフォルム含めた紋様もないシンプルさが
逆に想像力を刺激して惹き付ける。
一方、先ほどの「カックウ」や青森県で発見された「合掌土偶」には一定の紋様が施され、
いかにも土偶らしさが感じられる。
「カックウ」のちょいと小首を傾げた立ち姿には愛らしさ、さえ感じる。
しかし、合掌土偶の体育座りして、その腕を膝の上にのせて組み、必死に願うがごとき様には
なにやら一心不乱的なものを感じていたが、展示の解説を読んでさらに驚いた。
当時の出産は「座産」といって座って出産したようで、安産を願う妊婦との解釈ができるらしい。
子孫を生むという、当時の母子の生存をかけた必死さが凝縮されているんだな、
と捉えなおして、改めて見つめ直してしまった。
産院での出産が当たり前と捉えている現代に生きる小生には驚き以外の何ものでもないし、
悠久の時を経て、当時とは比較にならない安全な環境で出産できる子孫がいかに恵まれているか、
ということに思い至ったのはごく自然なことと思う。
まぁ、出産環境と言っても、単に産むだけでなく、そこに至る諸条件もあるから、
一概には言えないのかもしれないが、少子化が進み、人口減少に悩まされる現代日本社会を
見たら当時の人はどう思うのかな、とも考えてしまった。

縄文時代後期、晩期とは、Wikipediaによれば、
「後期(紀元前約4,500 - 3,300年前)、晩期(紀元前約3,300 - 2,800年前)」
とある。想像を絶する程の旧い、旧い時代であることは間違いない。
当時の彼らの営みがあったればこその現代に生きる我々なのだから、
遠き祖先に思いを馳せて、謙虚に足もとを見つめ直す意味でも
とても興味深い展覧会だった。
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<追記>
この企画展は昨年4月に予定されていたらしいが、東日本大震災の影響で
展示物の輸送が困難になり、一年延長されたとのこと。
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by capricciosam | 2012-03-20 07:02 | 展覧会 | Comments(0)

足踏みとロケット

もうすぐ4月だというのに冬将軍が立ち去りがたいようで、
この週末はどんより曇って肌寒く、今日は横なぐりの雪でした。
まあ、春を前にした足踏みのようなものですね、毎年のことですが。
でも、季節が逆戻りするなんて心配はいりません。
今日だって、一時は吹雪で視界も悪化する程だったのですが、
あっという間に溶けていってしまいました。
そして、着実に道路の道幅がどんどん拡がってきています。
お陰で随分歩きやすくなりました。
こんなところからも本格的な春の到来が近いことを感じています。

昨日は、何十年ぶりかで北海道開拓記念館に足を運びました。
確か、中学生か高校生の時に亡父に連れられて一回行った記憶しかありません。
考古学や歴史民族資料なんてのに興味があれば足繁く通うのでしょうが、
あいにくありませんので、全く久しぶりとなりました。
でも、小生のようにあるのは知っているけれど、ほとんど行ったことないという
道民も多いんじゃないのかな、と都合良く思っていますが‥
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写真は駐車場に向かう途中から撮った「百年記念塔」です。
ここも開拓記念館同様で、高校生の時、遠足の集合地点で行って、
ずっと経ってから、結婚してまもなくカミサンと原始林を歩いた時に行ったきりだから、合計2回。
しかしながら、どちらも随分利用していないものです。
野幌原始林の中に、ゆったりと配置されていて、それなりに快適なんですが、
案外利用しない所というのは、そんなものなんでしょうね。
ちなみに、左上の影は指が写りこんでしまったものです、ハイ。

今日は、家族のアッシーとなって札幌市内をウロウロしていましたが、
ちょうど北海道立近代美術館の近くまで行ったので、ちょいと寄ってきました。
それで昨日含めたこの辺りの事は明日以降に改めて記事にしてみます。

ところで、帰宅して覗いたファイターズのHPに、
思わず「おっ!」となる記事が掲載されていました。

「昨シーズン1日限定で解禁され大好評だったロケット風船が、
ファンの皆様からの熱いご要望にお応えして、
今シーズンより札幌ドームで開催される全試合で解禁となります!
さらに開幕シリーズの3日間はご来場の皆様にロケット風船をプレゼント!
札幌ドームをファイターズカラーに染めて、相手チームを圧倒しよう!」
(以上、北海道日本ハムファイターズHPより引用)

やはりねぇ、「もっと風船飛ばしたい~」なんて要望の声は上がるだろうな、と思っていました。
ただ、昨年は小生もドームにいて飛ばしましたが、正直、膨らませ方としては
少々物足りなかったし、それにタイミングなんかも2回目は揃っていなかった。
まぁ、改善点はありますね。
後日、風船飛ばしが常のような球団の試合を見ると、やはり見事にお祭り騒ぎ的で
圧倒されますから、札幌ドームでもこの辺の辺りを狙っていくのでしょうか。
そのうち、他球団並にパンパンに膨らませた風船が林立するようになるのかな。
今年は、まだ観戦予定はないのですが、まぁ、楽しみが増えました。
そう言えば、あの時のポンプはどこにしまっておいたかな~

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by capricciosam | 2012-03-18 23:57 | 時の移ろい | Comments(0)

心ひとつに

午後から外出したのですが、目的地まではFMを聴いていました。
すると、午後2時に山下達郎さんの番組が始まりました。
ちょうど大震災発生から一年が経過しようというタイミングだったので、
番組冒頭から大震災に関する発言がありましたが、
次の発言には共感です。

「(略)今一番優先されるべき課題は、この内憂外患の国内を如何に克服するかであり、
それには挙国一致、大同団結が不可欠です。
こんな時に民主も自民も、またどこぞの省庁もへったくれもありません。
それなのに、政治や官僚たちの、特にリーダーシップを発揮すべき上層部の人々ほど、
相変わらず"ああだこうだ"と百家争鳴で、方針決定は遅々として
なかなか建設的な方向に向かいません。
彼らに更なる自覚と自戒を求めずにはおられません。(略)」
(以上、「未来の自分が振り返る」より引用させていただきました)

そして、発生時刻には某所にて小生も黙祷を捧げておりました。

夜には、ボブ・ジェームスさんの岩手ジャズ2011出演を巡る大船渡市の
アマチュアジャズバンド「サンドパイパーズ」との交流の番組を見ました。
ボブさんが被災地に立ってみて思い浮かんだメロディを急遽作曲し、
当日の演奏会で彼らと共演するというものですが、練習はたった2日しかありません。
さて、どうなることかとハラハラしたのですが、本番は見事な演奏でしたね。
番組では被災されたメンバーの身上に涙するボブ・ジェームスさんの様子も。
CTI時代は大好きな人でしたが、こんなナイーヴな方とは知りませんでした。
改めてファンになりました。
それから、明日へと歩む力を音楽が与えてくれる、ということも共感できました。

作られた曲のタイトルは「Put our hearts together」というのですが、
「心ひとつに」と訳されていました。
大震災がつらい出来事であることは間違いないのですが、
だからこそ「Put our hearts together」の気持ちが大切であり、必要なのでしょう。
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by capricciosam | 2012-03-11 23:51 | 時の移ろい | Comments(0)

あれから一年

今日は、東日本大震災が発生した2011年3月11日から満一周年。
「早いものだな」という感慨とともに、この一年を振りかえざるを得ない。
被災地、被災者への救済対策の進み具合、がれき処理に代表される被災地への協力具合、
原発に通じる原子力政策の修正具合、いろいろある中で全体としてどうなのか。
進捗しているものもあれば、遅々として進まぬものもあるのでしょう。
もちろん、一気にことが進展しているとは考えにくい原因の一端が中央の政治状況にあるのは
百も承知なのですが、一年経っての政策実現としてのスピード感、達成感はどうなんでしょうか。
被災者の立場に立った政治を与野党ともに「実現している」と胸張って言えるのでしょうか。

明日を迎えれば、もっと賑々しくなるのでしょうが、それとは別に
満一周年という節目に開かれた今夜のプロ野球東日本大震災復興支援試合にも
それなりの意義を感じる小生でした。
相手チームは、震災後、国を挙げて募金に多大な協力をしてくれた台湾。
恐らく国家単位としては、一、二を占める位置にあるのではないでしょうか。
勝敗を抜きにして、日本国民の一員としてこの友情は忘れたくありません。
台湾のみなさん、本当にありがとう。

しかし、勝負は勝負です。
結集した侍ジャパンは、来年のWBCを見据えての布陣と思われますが、
圧倒的大差はとは言え、まずまず順当な勝利。
試合に沿っての折々のつぶやきは小生のTwitterをご覧ください。
しかし、豪華メンバーでの布陣は来年への期待を膨らませます。
楽しみだぁ~

で、今夜のTV観戦のお供は写真の塩釜のお酒。
大したこともできない身としては、せめて支援の気持ちだけでも長く持ちづけたい、と
これからも心がけていきます。ガンバロウ、東北!!
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ハナサケニッポン

<追記3.21>
バナーが変更になったようです。
そんなに控えめにしなくても良いのに‥

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by capricciosam | 2012-03-10 23:57 | 時の移ろい | Comments(0)

ヤクブ・フルシャ&プラハ・フィルハーモニア管弦楽団@Kitara2012

1 ドヴォルザーク 弦楽セレナーデ
2 モーツァルト ホルン協奏曲第1番
3 モーツァルト ホルン協奏曲第3番
アンコール1 モーツァルト ホルン協奏曲第3番より第3楽章
4 ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
アンコール2 ドヴォルザーク 交響曲第8番より第3楽章
アンコール3 ドヴォルザーク スラヴ舞曲第1番

プラハ・フィルハーモニー管弦楽団は設立されて20年の若い楽団で、指揮者も弱冠31歳。
つまり、「チェコ」という中欧に位置するオケなんだ、というイメージ(先入観?)で、
いわゆる中欧チック、スラブチックな「民族臭」なんてのを期待しても、
現代に生きるオケは、その軸足を完全に外さないまでも、それなりに変貌を遂げているんだ
という、当たり前と言えば当たり前のことを聴き進むうちに思い至った。

札響より一回り小型で、室内楽オーケストラよりは大きいようだが、
どの演奏も指揮者のリードに忠実に、誠実かつ的確に演奏されていたことは間違いない。
それは1曲目の弦楽セレナーデからも明らかで、いわゆる「チェコ」らしさ
(これもあいまいな言い方になってしまいますが、中東欧=スラブ=土臭さor民族臭なんて
連想の類です)なんて、小生はこれっぽっちも感じなかった。
むしろ、客観的(というか、インターナショナル的というか)に「良い音だなぁ~」という印象である。
オケの存在する地にまつわることは大事にしつつも、時代を呼吸しつつ「良い音」を追求していく
指向性を指揮者のフルシャ含め彼らが有するためなのでしょう。
従って、3曲目の「新世界」も同様の傾向の演奏であったように思う。

ところで、当夜のお目当ては2曲目、3曲目でソロを務めたラデク・バボラーク。
完璧な技巧に裏打ちされて、自在に吹きまくるのですが、
ホルンの柔らかい響きが大ホールに満ちた一時は、幸福感に満たされた一時でもありました。
今回の日本ツアー全6回でラデク・バボラークさんが演奏されるのはたった2回、
しかも札幌が最後とは。もうこの2曲を聴けただけで大満足でした。
サイトウ・キネンや水戸室内管でも演奏されていることから来日の機会も多いのでしょうか、
アンコールの紹介は結構、達者な(?)日本語でされたのにはビックリ。

アンコールも2曲と大サービス。終演は9時30分でしたが、
意外と足早に席を立つ人も目立たず、聴衆の満足度も高かったようでした。
空席は2階席、3階席で目立った程度。
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by capricciosam | 2012-03-08 23:16 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第547回定期演奏会@Kitara2012

プレトークでは下野竜也さんが登場し、「演奏会の構成」という
素人には聞けそうで聞けない興味深い話をしてくれました。

定期演奏会の場合、先にソリストとソリストが演奏する曲が決まっていることが
ほとんどらしいのですが、今回はブラームスのヴァイオリン協奏曲を編曲した
ピアノ協奏曲ということがわかり、じゃぁテーマは「編曲」にしようとなったそうです。
次に考えるのが「調性」。同じ調性の曲ばかりでは印象がぼけてしまうそうです。
と、ここでピアノで音を出しながら、「初めの曲が変ホ長調なので、次は‥」
と音を拾って、繋げながら解説してくれました。
で、ご本人曰く「変化球」だらけの演奏会となったそうです。
演奏曲目は順に

1 ブラームス ピアノ協奏曲第3番(ラツィック編)
2 ブルックナー アダージョ(弦楽五重奏曲より、スクロヴァチェフスキ編)
3 ヒンデミット 交響曲「画家マティス」

なるほど、ちょっとなじみのない、というか薄いというような曲だらけ。

1はソリストのデヤン・ラツィック自身の編曲なのだが、下野さん曰く、
オーケストラ部分は一音たりとも手を加えていないそうで、あくまでも
ソリスト部分をピアノに置き換えたとのことなのですが、印象としては努力賞かな。
確かに、第二楽章は原曲かと間違うほどピアノでも違和感なく聴けたが、
やはり、第一楽章のソロの入りとか、アタッカで入る第三楽章の入り等の
ソロの印象的な部分の「凄味」が感じられない。
これは楽器の違いのなせる技で、ソリストの技量ではないのだろうが、
総体的には、単にピアノで置き換えただけのような感じで平凡で退屈な印象に終わった。

2は「アダージョ」とは言っても、目線を下げたうつむき気味な、沈潜していく印象はなく、
ブルックナーらしく天上への目線を感じさせる、絶え間ない音のうねりが印象的。
原曲が未聴なので、原曲本来の持ち味なのか、編曲の妙なのかはわからないが、
演奏された3曲の中では一番短かったものの、とても印象的だった。
一階席からでかい声でブラボーが飛んでいた気持ちも分からぬ訳ではないが、
ちょっとフライング気味なのは如何なものか。
下野さんも手を降ろしきってはいなかったし、むしろ沈黙を味わいたかっただけに残念。

3は今回演奏された中では定番なのだろうが、それでも頻繁に耳にする曲ではない。
3楽章に構成されていて、総体的にはザラっとした、硬質な印象が感じられるのは、
この曲が誕生した背景(ナチスの台頭と苦悩する作者)があるからなのだろう。
下野さんの的確なリードで、札響は見事に曲を再現していたと思う。
ただ、もう少し踏み込んだ、というか共感のようなものがあればなお良し、と感じた。

昼公演。変化球が影響したのか、各ブロックに空席が先月より目立った。6~7割か。
でも、先月の高関さん同様、今後も下野さんには来演してもらいたいものだ。
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by capricciosam | 2012-03-03 23:10 | 音楽 | Comments(0)

さよならディドリーム・ビリーバー

昨日の記事で、最近はYouTubeに浸っていたと書いたのですが、
懐かしい映像を見つけては悦に入っていたというところです。
Jポップや洋楽のオールディーズ、懐かしいドラマetc
ホント、宝庫ですね。
これまでもつまみ食い的には観ていたのですが、
今回ばかりはすっかりツボにはまったようでした。

そんな中、見つけたのが一連の「The Monkees」の動画。
(てっきりMonkeysと思っていたのですが、スペルが違いますね。)
かつてTVで放映された彼らのショーのようですが、アップされていたのはカラー。
しかも、画質も悪くない。
当時は白黒で観ましたから、ちょっと新鮮な感じが。

「懐かしいなぁ‥」

ザ・ビートルズが世界的に人気を獲得していく中、アメリカで人気を誇ったバンドが、
このザ・モンキーズでした。
ただ、バンド活動を継続して売れたザ・ビートルズと違い、
オーディションで選抜されて、即席で仕立て上げられたバンドのため、
バンドとしての成熟度が不足したまま、ヒット作品に恵まれて売れていた、
というのが実態のようです。ある意味ラッキーなバンドだったとも言えます。
「ディドリーム・ビリーバー」はそんな彼らの代表的ヒット作のひとつ。
(もっとも、最近じゃザ・タイマーズの忌野さんの歌声がよみがえりますが‥)



ボーカルのデイビー・ジョーンズさんの少し鼻にかかった甘い声が懐かしいのですが、
今日飛び込んできた彼の突然の訃報には驚きました。
66歳だなんて、アチラに行くにはまだ早かったですね。
ご冥福をお祈りいたします。
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by capricciosam | 2012-03-01 22:22 | 時の移ろい | Comments(0)