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PMF-GALAコンサート@Kitara2013

2回目を迎えたPMF-GALAですが、昨年の1回目と違って開幕時から趣向を凝らし、
昨年の1回目のような手探り感も薄れ、企画内容を深めていることが感じられました。
そして、聴く側にもGALAらしい「祝祭」の雰囲気を楽しむ余裕が生じてきた気配が。
双方が響き合いだしたのかな。だとしたら良い傾向ですね。
夏の音楽の祭典を楽しむ習慣として、この方向性を維持してもらたいものです。

さて、そんな今年のPMF-GALAを振り返ってみたいと思います。
構成は昨年同様の2部構成。
第1部は司会進行が昨年同様ソプラノの天羽明恵さん。
さらに第1部は休憩をはさんで前半と後半に別れます。
前半のトップバッターはカナディアン・ブラスが登場し、以下の曲を演奏。

 1 シャイト:音楽の諧謔 第1部-第21番 戦いのガイヤルド
 2 J・S・バッハ(ロム編):フーガ ト短調BWV578「小フーガ」
 3 ガーシュイン(ヘンダーソン編):It Aint't Necessarily So
4 R・コルサコフ(ライデノー編):くまんばちの飛行

たった5人の、しかも管楽器だけとは思わせない超絶技巧で、実に楽しいステージ。
白いスニーカーが実利を考えてのことらしいですが、ユニーク。
次は、期待していなかった組み合わせで、ワデム・レーピンと小山実稚恵さんが登場。

 5 チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ 作品34

早くもレーピンの腕達者ぶりを味わうことに。
それを支えるのが小山さんとは、なんとも贅沢なひととき。
終わってからの司会は天羽さんに代わりPMF生のお二人が務めて、
天羽さんの歌とダニエル・マツカワ指揮のPMFオーケストラメンバーで。

 6 ベリオ:「フォーク・ソングス」から7曲

ベリオは20世紀の現代作曲家。しかし、取っつきづらさはまったくなく、
聴きながら「ノマド」とか、「吟遊詩人」と言った類の言葉が思い浮かんだ不思議な味わい。
好きな人はやめられないでしょうね。
第1部前半最後は再び小山さんが登場。

 7 リスト:「巡礼の年 第2年 イタリア」から第7曲「ダンテを読んで:ソナタ風幻想曲」

リストが好きだったダンテの「神曲」、その地獄編を描写したものらしいのですが、
天羽さんが小山さんに聴いたところによれば冒頭は地獄の門が開く様子だとのこと。
確かにそんな雰囲気があるが、逆に終盤に聴かれるのは地獄の門が閉じるという意味なのかな。
第2年の中では最も長い曲ですが、それでももっと聴きたかったな。

休憩を挟んで後半はPMFオーケストラと4人のソプラノが共演。
この段階で指揮に準・メルクルさんが早くも登場。
全員が新国立劇場オペラ研修所の修了生で今春終了したとのこと。
音大や音大大学院を終えてから、さらに3年間研鑽されているとのことですから、
すでに一定の技量は身につけていらっしゃるのでしょう。
以下( )内は歌われたソプラノ歌手。
8はバロック歌劇のせいかオケの編成も小さかったのですが、9以下はフル編成で。

 8 ヘンデル:歌劇「エジプトのジュリアス・シーザー」から
   クレオパトラのアリア「難破した舟が嵐から」(吉田和夏さん)
 9 モーツァルト:歌劇「魔笛」から
   夜の女王のアリア「私は苦しむために選び出されたもの」(倉本絵里さん)
10 マスネ:歌劇「エロディアード」から
   サロメのアリア「美しくやさしい君」(立川清子さん)
11 プッチーニ:歌劇「つばめ」から
   マグダのアリア「ドレッタの美しい夢」(柴田紗貴子さん)

普段からこの分野はあまり聴かないのですが、ひとくちに「ソプラノ」と言っても
実に多彩ですね。しかも、曲自体の個性と歌い手の個性が醸し出す雰囲気が
さらに違いを際だたせているようで楽しめました。
まだオケをバックに歌うのも初めての様子ですが、これからの4人のご健闘を期待。
そして、後半最後は客席も「にわか平原綾香」状態でホルストの木星をベースにした
12 PMF賛歌を合唱です。2回目の方も多かったせいか、昨年よりスムーズに立ち上がり、
声高らかに歌っていたと思います。

第2部は午後5時35分からスタート。
午後3時開演ですから相当時間が経っていますが、休憩も2回合計1時間弱あるので
そんなに疲れません。むしろ、ゆったりと時の経過を楽しむ非日常的雰囲気が心地よい。
第2部は通常の演奏会形式で、以下の曲が演奏されました。

13 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26
14 ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14

13のブルッフのこの曲はクラシック音楽の入門当時は、実演でも度々耳にして
ヴァイオリン協奏曲の中でもいち早く親しんだもののひとつでしたが、
思い返してもKitaraでは聴いた記憶がありませんでした。
魅力的なメロディと劇的な展開が素晴らしい曲ですが、ソリストのレーピンは
実に楽々と弾きこなしていく感じで、あっと言う間の25分でした。
Kitaraでレーピンを聴くのは今回で3回目ですが、毎度のことながら満足度は高いですね。
PMFオーケストラはPMF生のみでしたが、アンサンブルの乱れは感じられません。

14はメルクルさんにとっては自家薬籠中の一曲なのでしょう、暗譜です。
PMFオーケストラの各パート首席には教授陣が座り、いよいよ総仕上げです。
第3楽章までは慎重な運びでオケに目一杯歌わせようとはしていない感じでしたが、
第4楽章からは押さえていたエネルギーを一気に放出させて、
メリハリをつけた見事な大団円となり、会場からは万雷の拍手となりました。

前売券完売で、当日券も発売と同時に即売り切れとのこと。ほぼ満席。
28日のピクニックコンサートで札幌での演奏はラストとなりますが、
今年の「新酒」の熟成も上々のようです。
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by capricciosam | 2013-07-27 21:35 | 音楽 | Comments(0)

デトロイトと言えば

朝早く目覚めたので、徒然なるままに記事を書いています。

デトロイト市が財政破綻したという報道には少なからぬ驚きを覚えました。

「米国の自動車産業を象徴する都市、ミシガン州デトロイト市が18日、
連邦破産法9条の適用を申請し、財政破綻した。長年にわたる
産業の衰退に伴う人口減が主な要因で、負債総額は180億ドル(約1・8兆円)超と
米自治体として過去最大の財政破綻。(略)
デトロイトは歴史的にも米国を象徴する都市の一つだけに衝撃は大きい。
ゼネラル・モーターズ(GM)が市内に本社を、フォード・モーターとクライスラーも
近郊に本拠を置き、20世紀初めから米国の産業を支えてきた。
しかし、1970年代の米国市場での日本車の台頭などで米国内の自動車産業は
衰退し始め、工場の閉鎖なども相次いだ。
ピーク時の50年に180万人を超えていた人口は今では約70万人に。
税収の落ち込みなどで財政は悪化の一途をたどり、行政サービスの低下や治安悪化が
人口減に拍車をかけたほか、債務の返済のために借金を重ねる悪循環に陥っていた。
裁判所に提出された資料によると、通報で警察が駆けつけるのに平均1時間近くを要するほか、
救急車は老朽化で3分の1しか使えない状況。街灯の4割が機能していない。
殺人が増加する一方で、犯罪の検挙率は低下し、20年以上にわたり
「全米で最も危険な街」の一つと名指しされていた。」
(以上、7/20毎日より引用)

日本では夕張市の財政破綻が有名ですが、規模が数段異なります。
例えば札幌市の人口は現在約190万人ですが、約半世紀で70万人になり、
中心街は空きビルが目立ち、荒んでいるなんてことを想像できるでしょうか。
小生は想像したくない、というのが本音です。
ただ、決して絵空事とも言えないのが、国、地方の借金の大きさです。
日本だって、第二、第三の夕張市が現れないとも限らない。
いやそれどころか、日本そのものがなりかねない可能性は、
年間国家予算の10倍以上に膨らんだ1000兆円を越す赤字です。
これを減らすことができなければいつかは起こりうるのかもしれません。
そんなXデーが到来しないことを祈りたい気分です。

さて、「デトロイト」「財政破綻」で思い出したのが、映画「ロボコップ」でした。

「舞台は近未来のアメリカ(設定年代は2010年)。
かつて自動車産業で鳴らしたデトロイトは犯罪都市と化し、
巨大コングロマリット企業オムニ・コンシューマ・プロダクツ(OCP、通称オムニ社)によって
警察(民営化されている)を含む街全体が支配されていた。」
(以上、Wikipediaより引用)

1987年に公開されていますが、当時からデトロイト市の斜陽傾向は顕著なので、
そのことが作品にヒントを与えたのでしょう。
公開された当時は、一般的には「デトロイトが?そうそうありえる訳がない」と
思われていたのかも知れませんが、悪い予測が当たってしまったということでしょうか。
監督はポール・バーホーベン。
近未来SFとしてはエポック・メイキングな作品だったと思いますが、
監督の同系統の作品としては「トータル・リコール」のほうが好みですね。
「トータル・リコール」は昨年リメイクされて公開されました。

また、単にデトロイトで思い出したのが、「デトロイト交響楽団」。
今年はストラヴィンスキーの「春の祭典」が初演されてから100年に当たります。
「春の祭典」が聴きたくなり、初めて所有したCDが写真のドラティがデトロイト響を振った盤。
実演に接する前でしたから、飛び出す斬新な響にはぶったまげたものです、ハイ。
また、今年2月のサロネン指揮フィルハーモニア管が実演としては最高の思い出です。
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それから、ネットで流れる情報の中には、あたかもデトロイト交響楽団がもう存在しない、
かのような表現に接しましたが、現在も活動しているようです。HPはこちらです。

同じく関連情報を眺めていたら、「モータウン」という言葉が目に入りました。

「モータウン(Motown;Motown Records)とは、デトロイト発祥のレコードレーベル。
自動車産業で知られるデトロイトの通称、「Motor town」の略。
1959年、ベリー・ゴーディ・ジュニアによって設立、ソウルミュージックやブラックミュージックを
中心に据えて大成功した。」
(以上、Wikipediaより引用)

所属アーティストをみると、「グラディス・ナイト&ザ・ピップス」「 コモドアーズ」
「スティーヴィー・ワンダー」「スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ」
「スプリームス」「 ダイアナ・ロス」「テンプテーションズ」「ジャクソン5」etc

おお、そうだったんですね。知りませんでした。
そして、お世話になってますね、このレーベル。
きっと一枚くらいあるに違いない、と所有CDをごそごそ探してみたら、ありました。
写真のCDタイトルには「motown's greatest hits」とちゃんと明記されています。
小生の知っているダイアナ・ロスの数々のヒット曲がちゃんと入っていますから、
彼女の人生において「モータウン」が占める位置はきっと大きいのでしょう。
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by capricciosam | 2013-07-21 06:53 | 時の移ろい | Comments(0)

PMFオーケストラBプログラム@Kitara2013

演奏された曲は以下のとおり。

1 武満 徹 ア・ストリング・アラウンド・オータム
<休憩>
2 マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調

準・メルクルさんがPMFオーケストラを指揮する演奏を聴くのは2008年演奏会以来2回目。
あの時は、メシアンのトゥーランガリア交響曲のみ。
おっかなびっくり聴きに行ったが、望外の収穫となっただけに印象深い。
とにかく、食わず嫌いだったメシアンに対して刮目させられた演奏会だった。
あの時は7/12だから、今年のプログラムと比較すると、位置づけとしてはA当りか。
(そうそう、コンマスはライナー・キュッヒルさんだった。)
まだまだ、ひとつのオーケストラとしては熟成がそれ程進んでいない、
と思われる時期にもかかわらず、いくら各パート首席にプロが占めたとはいえ、
オケの生み出すアンサンブルは実に見事なものでした。
準・メルクルさんの指揮者としての確かな手腕を感じたものです。

さて、5年経ってもその腕前は健在どころか、ますます腕を上げているのかも、
と思ったのが今回の2のマーラーの5番。
この曲も結構演奏されますが、大曲だけにそう易々とは仕上げられないはず。
もちろん、各パートの首席にはPMFヨーロッパに代わりPMFアメリカが占めるのですが、
今日のオーケストラの合奏力は見事なものです。
(もちろん、ライブならではの少々の傷はありましたが、気になりません。)
先日の札響演奏会でも感じたのですが、この人はトレーナーとしても一流
なのかもしれませんね。
それから、アンドリュー・ベインさん(LAP)のホルンは絶品でした。

1は2006年に札響が演奏したオール・タケミツ・プログラムの一曲。
初演が1989年ですから、まさしく現代曲。
いくつもの音が現れては消えていく中をヴィオラが自由に旋律を奏でて、
別次元に聴く者を誘う感じのする不思議な曲。
まさしく、武満さんの世界です。
ヴィオラソロを務められたのはダニエル・フォスターさん。

当日券が全席種で売られていたので開演まで心配だったが、ほぼ9割程の入りか。
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<追記>
今春、準・メルクルさんは国立音大の招聘教授に就任されています。
7月上旬から学生オケを指導されて、7/14には定期演奏会を指揮。
7/15から札響と練習をされていますから、東京からすぐ来札されたんですね。
現在はどのオケのポストにも就かれていないようですから、来年もひょっとしたら…  
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by capricciosam | 2013-07-20 21:38 | 音楽 | Comments(0)

PMFホストシティ・オーケストラ札幌交響楽団@Kitara2013

演奏された曲は以下のとおり。

1 ショスタコービチ チェロ協奏曲第1番変ホ長調
2 ブラームス 交響曲第1番ハ短調

1は第1楽章の冒頭に現れる緊張感をともなう動機が印象的な上、
第3楽章がカデンツァ(!)で第2楽章以降はアタッカで繋がるという
極めて特異な構成の現代曲(1959年、ロストロポーヴィチにより初演)。
初めて聴いたが、いかにもショスタコーヴィチらしい内省的で諧謔的な趣きの
割りには不思議と聴き通すのがそれほどつらいとは感じなかった。
これは、ソリストを務めたヴィルヘルム・プレーガルさんの端正な演奏のお陰なのかな。
まあ、チェリストにとっては大変な曲なんでしょうね、額の汗をぬぐう姿が印象的でした。
札響も小規模な、室内楽的な編成ながら準・メルクルさんの指揮のもと
アンサンブルも良かった。

ショスタコービチの協奏曲は、以前安永徹さん&市野あゆみさんと札響演奏会の時、
ピアノ協奏曲第1番を聴いたのが初めてでしたが、不思議な楽器編成の割りには
楽しく聴くことができ、個人的には交響曲より好きになりそうです、ハイ。

2は名曲中の名曲。メルクルさんは暗譜で、指揮台狭しとばかりに、
全身を激しく動かして札響をぐいぐい引っ張ります。
そのため札響の演奏にも推進力に満ちた躍動感を感じましたが、
決して一本調子という訳ではありません。中間楽章ではグッとテンポを押さえ、
しっとり聴かせますから、やはりオーケストラのコントロールが上手なんでしょうね。
久しぶりに聴き応えのあるブラ1を聴かせていただきました。
後半のPMFオーケストラの演奏が楽しみです。

最後に蛇足を。
PMF開催中に芸術監督や首席指揮者が札響を振るという試みは昨年に続き
3回目(1回目が1994年)なのですが、札響にとっては定期演奏会でも登場が想像し難い
世界的に活躍する指揮者に振ってもらえる良い機会だし、聴くほうだって同じことが言える。
また、当日も会場にはPMF生とおぼしきグループが散見されましたが、
後半の指導者がプロオケを振っている様を間近に体験できるのは良い学習の場でしょう。
と考えると、PMFと札響にとっても大変意義ある演奏会のようです。
これからもぜひ継続して発展させていってもらいたいのですが、
その割りには客席の入りは7~8割とイマイチだったのが残念。
もっとも、ほぼ半分が空席だった昨年よりは改善したようにも思えるのですが、イマイチ。
ホワイエ内には札響事務局とおぼしき関係者もみられましたが、
出入口に立って迎えるのは、やはりPMF組織委員会関係者の方ですから、
来年に向けてはPMF組織委員会として、もっと浸透を図っていただけたらと思います。
(PMF公式ツイッターのPMF_PRすらつぶやいていませんが、いただけません。)
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by capricciosam | 2013-07-17 23:31 | 音楽 | Comments(0)

PMFオーケストラAプログラム@Kitara2013

<オール・ドヴォルザーク・プログラム>の本日のAプロですが、
演奏された曲は以下のとおり。

1 ドヴォルザーク 交響詩「真昼の魔女」
2 ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲イ短調
<休憩>
3 ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調

この<オール・ドヴォルザーク・プログラム>ですが、当初来札が予定されていた
チェコのイルジー・コルトさん向けのプログラムだと思うのですが、代役となった
アレクサンドル・ヴェデルニコフさんも修正されずに取り組まれたということのようです。

1,2ではオーケストラはPMF生のみでしたが、Sプロよりわずか6日目なのに
Sプロで散見されたアンサンブルの緩みがほとんど気づかなくなり、明らかに数歩前進。
今年の「新酒」は期待が持てそうと思ったのですが、熟成は進んでいます。

教授陣のPMFヨーロッパが加わったのは3だけ。
さすが、100人規模に膨れあがりますから当然音量は増すのですが、
弦楽器のトップは教授陣だったものの、管楽器のトップはPMF生が首席を占めて
教授陣が次席を務める形でした。オケとしては素晴らしいアンサンブル。
いくら教授陣が入ったとはいえ、PMF生の実力がともなわないと無理な話。
これは、1,2でも感じたことが裏打ちされたような形です。

指揮のヴェデルニコフさんの指揮はSプロと異なり、各パートに向け細かく指示を
伝えるように変っていましたが、これはオケへの手応えに応じたものなのでしょうか。
また、教授陣の加わった3では、曲を入念に彫刻していくかのような印象が残りました。
第一楽章からくっきりと音楽が立ち現れ、第二楽章のアダージョでは
入念に進めるものの、停滞したという印象は受けず、しっかり聴かされたという印象です。
ほとんどアタッカに近い状態で入った第三楽章もいたずらに駆け足で過ぎ去ることもなく
第四楽章もテンポを崩すことはしない。
実に、堂々たる音楽作りをされる方だな、という印象が残りました。
とは言っても、4月のエリシュカ&札響で聴いた同じドボ8とは明らかに違う指向性
(ヴィルトォーゾチック、とでもいうのでしょうか)が感じられました。
ボリショイ劇場改革で短期間で高い評価を得たというのが、頷ける感じです。

1,2は初耳の曲。
1は4月の札響定期で聴いた「水の精」との姉妹曲のようなのですが、
作曲のきっかけとなった詩集の物語も「水の精」同様、なんと残酷なことか。
昔話は実は残酷と言ってもいやはや凄い。演奏は無難な仕上り。
2は聴いていても耳にすんなり入る旋律がやや乏しい感じで、
有名なチェロ協奏曲ほどの有名さがないのも、なんとなく頷けます。
しかし、ソリストのヴェロニカ・エーベルレさんは、非常に端正かつ大胆に
演奏されており達者な腕前を披露されていました。
将来が楽しみな雰囲気をお持ちです。

空席はPブロックや三階に目立ったが、8~9割り程度の入りか。
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by capricciosam | 2013-07-13 20:48 | 音楽 | Comments(0)

ある表計算ソフトの退場

夏本番でもないというのに、連日続く暑さ。
こりゃ、来るべき夏本番が思いやられます。
さて、こんな記事が目に止まりました。

「日本IBMから発売されている「Lotus 1-2-3(ロータス1-2-3)」が、
2013年6月11日で営業活動を終了。1年3カ月後の2014年9月30日に
サポートを終了することが明らかにされた。(略)
ロータス1-2-3は、1983年の発売以来、ちょうど30年目の節目にその使命を
終えることになった。日本IBMでは、今回のサポート終了の理由を、
「米IBMコーポレーションのビジネス判断によるもの。ロータス1-2-3を含む
Super Office(スーパーオフィス)は、すでに開発を終了し、
市場への販売も行っていない。
また、稼動対象のデスクトップOSは、Windows XPが最後で、
それ以降には対応していない」と説明。
(略)日本国内だけで、1986年から3年間で約25万本を出荷。
いまさらながら、ロータス1-2-3とは何か。
これは、1993年に米国のミッチ・ケイバー氏が開発した表計算ソフトだ。(略)
日本においては、1986年の日本法人設立にあわせて、日本語版を発売。(略)
ロータス1-2-3は、1986年の発売から3年間で、日本国内だけで約25万本を出荷。
5年間では50万本以上の出荷実績を持ち、国内市場においても、表計算ソフトの
ベストセラーとなっていた。」
(以上、日経トレンディネット7/10より引用)

OSがWindows以前のDOS時代には、ワープロソフトは「一太郎」、
表計算ソフトは「ロータス1-2-3」という組み合わせで仕事に使ったものです。
Windowsが当たり前となった今じゃ、表計算ソフトは「エクセル」に
すっかり置き換わられてしまった感がありますね。
当時、両方使ってみて、使い勝手の良さはあきらかにエクセルでしたから、
エクセルにシフトしてからは、ロータス1-2-3は残念ながら一顧だにしなかったですね。
そのくらい、ソフトの出来としての差があったということです。
世間からの支持も、まさしくその差が反映されたものだと思うのですが、
やはり、楽したいのが人情というもので、ソフトは如何にその実現を図ることができるのか、
という目線で作られていなけりゃ、ということなのでしょう。

この記事を書きながら聴いているのは、写真のCD。
こんな蒸し暑い夜には、ミルト・ジャクソンのヴィブラホンの響きが
一服の清涼剤だな、と感じています。
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by capricciosam | 2013-07-10 22:51 | 時の移ろい | Comments(0)

PMFウィーン弦楽四重奏演奏会@Kitara2013

演奏された曲は以下のとおり。

1 ハイドン 弦楽四重奏曲第30番変ホ長調「冗談」
2 モーツァルト 弦楽四重曲奏第21番ニ長調「プロイセン王第1番」
3 モーツァルト ピアノ四重奏曲第1番ト短調
<休憩>
4 ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第15番変ホ短調
アンコール ハイドン 弦楽四重奏曲第37番ロ短調33-1より第4楽章プレスト

ヴァイオリン、ヴィオラはウィーン・フィル団員でチェロはPMF生OBでウィーンで
活躍中という今年のPMFウィーン。ほぼミニ・ウィーン・フィルと言って
よいのでしょう。
ウィーン・フィルメンバーによるアンサンブルは2007年2008年と2年続けて
聴いて以来だったので、そろそろ聴きたいものだなと思っていましたが、
昨年はウィーン・フィルからの参加メンバーがたった一人と
アンサンブルは無理な状況でした。
ところが、今年はコンマスのライナー・キュッヒルさんはじめ多数教授陣に
加わっているため、例え来年の来札がかなわなくても後悔しないようにと、
プログラム発表時から計画を立て、仕事を調整してなんとか休みをとって
駆けつけました。
今年のPMFでは私的期待度が一番高い演奏会だったとも言えます。

プログラムが古典派が3曲続き、最後に現代音楽で終わるという不思議な構成。
しかし、3は「当時の室内楽の概念からすると気楽な仮定音楽の域をはるかに
超える、精神的にも高度な内容が盛り込まれている」
(以上、配布された資料解説より引用)という点から、4への繋がりが生まれている
のではないか、と考えられます。

先ほど現代音楽と書きましたが、ショスタコーヴィチ(1906-1975)が死の前年に
作った4は1970年代ですから、まさしく現代において作られたと言う訳です。
全6楽章からなるのですが、全楽章とも「アダージョ」という奇妙なもの。
しかも、楽章間の切れ目なく、アタッカで演奏されていくという約35分の作品。

「謎めいたモノローグ的音楽」(以上、配布された資料解説より引用)

たしかに、健康に不安のあった晩年だからこそ、自らの最後を意識したかのように、
静かで暗いトーンが支配するのは、やはり自己の過去や内面と向き合っているため
なのでしょう。CDでは聴いて、作品の異様さとともに魅力はわかっていたつもり
だったのですが、それでも、今回のメンバーが演奏で訴える力は実に圧倒的でした。
演奏が終わってもフライングの拍手も起きず、会場が静まりかえったのが印象的。
どの程度の練習を重ねられたのかは知るよしもありませんが、
アンサンブルも決まり、この一曲が聴けただけでも大満足でした。

1はタイトルどおり冗談ぽく、第4楽章が終わるかと思えば、また繋がる感じで、
キュッヒルさんがご自分のパートを弾いた途端、会場に向き直られて笑って、
「これは冗談ですよ」という風にされていたのが印象的でした。
2はチェロを演奏する王に献呈されたということで、「チェロパートが充実している」
(以上、配布された資料解説より引用)というが、それ程の印象は受けなかった。
むしろ、全曲通じて言えることだろうが、第一ヴァイオリンのキュッヒルさんの音が
支配的で、この辺りの突出具合は、以前PMFで聴いた東京クァルテット
(ついに解散してしまいましたね!)のような常設クァルテットとの違いなのかな、と
思ってしまいました。
3ではピアノを担当された沢木良子さんがメンバーに伍して、実に達者な音を響かせて
いました。

やはり、弦楽四重奏は小ホールに向いてますね。ほぼ満席。
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by capricciosam | 2013-07-09 20:32 | 音楽 | Comments(0)

PMFオーケストラSプログラム@Kitara2013

今日の札幌は今シーズン初の真夏日。暑かったですね。
さて、札幌の初夏の風物詩となったPMFですが、ついに開幕しました。
スタートのSプログラムは「ヴェルディ&ワーグナー生誕200年記念プログラム」
ということで、以下の曲が演奏されました。

1 モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲
2 モーツァルト ホルン協奏曲第3番
3 ワーグナー 歌劇「ローエングリン」から「第1幕への前奏曲」
4 ワーグナー 歌劇「ローエングリン」から「第3幕への前奏曲」
5 ワーグナー 歌劇「ローエングリン」から「婚礼の合唱」※
<休憩>
6 ワーグナー 歌劇「タンホイザー」から序曲(ドレスデン版)
7 ワーグナー 歌劇「タンホイザー」から「入場行進曲」※
8 ヴェルディ  歌劇「アイーダ」から前奏曲
9 ヴェルディ  歌劇「アイーダ」から「エジプトに栄光あれ」「凱旋行進曲」※
  ※PMF祝祭合唱団が加わる

歌劇中心のプログラムでしたが、協奏曲は2だけ。
ホルンソロはラデク・バボラークさん、しかも第3番。
これは、まさしく昨年3月のプラハ・フィル演奏会での演奏曲のひとつですから、当時の再現です。
当時の記事には、

>完璧な技巧に裏打ちされて、自在に吹きまくる

と、書いたのですが、まったく印象は変わりません。お上手、の一言です。
しかも、アンコールで演奏してくれたブラド・ルーリッチェの「アルペン・ファンタジー」が
これまたいろいろな音色が飛び出し、驚きに満ちた楽しい曲でした。
先日の札響ザ・プリンシパルズでのトロンボーンの場合にも感じた
「オケの中で聴いている<楽器の音色>というのは、実は一種の固定観念なのかも」
という思いは今回のホルンにも感じました。
そのくらい楽器というのはいろいろな音のパレットを持つものなんですね。

指揮者のアレクサンドル・ヴェデルニコフさんは元ボリショイ劇場音楽監督らしく、
2以外の歌劇曲については手慣れたもののようで、あごをあげ、両腕を高くあげる
指揮ぶりで、ぐいぐいオケや合唱をリードしていました。
しかし、PMFオーケストラはその年の初夏に仕込まれた「新酒」故に、
新酒としての熟度が深まるには会期の進行という時間が必要なのは毎度のこと。
それ故、最初のプログラムは、いくら各パートの首席にプロ奏者が加わっても、
練り上げる時間が不足しがちなんだろうな、と感じる面があるのはやむを得ないところです。
それでも、今年の新酒も結構期待のもてそうな、よい音がしていましたから今後も楽しみです。
演奏された曲は、歌劇をまともに聴いたことがない小生でも耳にしたことがある
有名曲ばかりだったので、聴き進むうちに、いつかは歌劇にも足を踏み入れてみたくなりました。

それから、PMF祝祭合唱団ですが、札幌アカデミー合唱団と札幌旭丘高校合唱部の合同で
結成されたようです。両団体とも普段オペラなんてそれ程歌われないのでしょうから、
よくここまで仕上げたものだ、と労いの言葉を差し上げたいと思います。
ただ、札幌アカデミー合唱団は単独の演奏会を2003年、2006年と2回
聞いているのですが、気のせいか以前の方がもっと声が出ていたようにも感じました。
今会期ではまだまだ出番があるようなので、両団体ともに再び素敵な歌声を響かせてください。
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by capricciosam | 2013-07-07 21:34 | 音楽 | Comments(0)

札響ザ・プリンシパルズ@Kitara2013

順に次の5曲が演奏された。

1 尾高尚忠 フルート協奏曲  独奏:高橋聖純
2 モーツァルト クラリネット協奏曲  独奏:三瓶佳紀
3 グレンダール トロンボーン協奏曲  独奏:山下友輔
4 モーツァルト オーボエ協奏曲 独奏:金子亜未
5 ラヴェル ボレロ

最後のボレロが終わって、一旦袖に引っ込んだ尾高監督がマイクを持って登場。

「この仕事をはじめて42年になりますが、自分のオケの首席奏者を
ソリストにした協奏曲だけで構成した演奏会というのは、実は初めてなんです。
そして、彼らがいなくても(札響はボレロのような)これだけの演奏ができちゃうんです。」

もちろん、会場からは盛大な拍手の嵐となったのは言うまでもない。

今回の演奏会は夏の特別演奏会として企画された。
題して「ザ・プリンシパルズ-札響管楽器首席奏者たちとボレロの祭典」。
近年の札響の実力向上の一端を担う要因のひとつに若手首席奏者の台頭が
挙げられると思うが、オケの中で時々ソロをとる場面はあっても、
ソリストとして聴く機会は案外ないもの。まして、まとまってなんて想像もつかない。
小生の聴いた札響演奏会では、今年5月定期で打楽器首席を聴いたくらいしか記憶にない。
それだけに、札響に関心をもってもらい、もっとファンになってもらう絶好の機会と
なったのではないか、と思う。良い企画だった。
ある面、企画の勝利と言っても過言ではないと思う。

いずれのソリストの演奏も楽しく聴かせてもらった。
1の曲自体初めて聴いたが、第2楽章レントのなんと魅力的なことか。
この旋律から思い浮かんだ言葉は「ふるさと」だったが、日本人の心の内をくすぐる
豊かな抒情を感じた。この曲はもっと知られてよい曲だと思ったが、
高橋さんの丁寧なソロはこの楽章含めて見事に描写していたと思う。
尾高監督が、この曲を取り上げてくれたことに対してなんだろうが
「尾高家を代表してお礼を言います。」と言っていたが、演奏そのものも佳演だった。

2は有名曲だけに演奏するほうとしては逆に難しさもあるのだろうが、
会場の盛大な拍手が演奏そのものの成功を物語っていたと思う。
三瓶さんのお人柄は知らないが、性格が反映されたかのような模範的な演奏だったと思うし、
安心して聴いていられるものだった。

3は尾高監督も「僕たちは初めて演奏したんだけれど、トロンボーンでは有名なんだって」と
山下さんに聞いていたが、確かに聴き応えのある曲だった。
トロンボーンのソロはJAZZで聴く程度だったので、こんなシャウトする楽器とは意外だった。
尾高監督が山下さんに初めて会ったのは、山下さんがまだ学生だった7年前らしいが、
「まさか、札響に来てくれるとは」と再会を喜んでいたのが印象的。

4のソロを務めた金子さんは、今回登場した首席奏者の中では一番若い23歳。
2同様有名曲だったが、カデンツァも含め楽しませてもらった。
尾高監督が「カデンツァは自分で作ったの」と聞いたら、
「自分で作って作曲家に手を入れてもらいました」と正直に答え、会場の笑いを誘っていた。
素敵なカデンツァでした。

最後はいろいろな楽器がソロを取りつつメドレーしていく、ご存じ「ボレロ」。
1~4で登場した首席奏者がオケに入るのかな、と思ったら、加わりません。
それでも、不在を感じさせないソロが次々に聴かれましたから大したものです。
各楽器がソロをとりつつメドレーしていく醍醐味はいつものことながら、
今夜は、特に小太鼓が正確にリズムを刻みリードしていく重要さを再認識させられました。
改めて、小太鼓にブラボーです。

終演は午後9時20分。
使用しなかったPブロック以外はほとんど空席は目立たず。
制服を着た若者も目立ちましたが、こういう企画をきっかけにファン層が拡がらんことを。
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by capricciosam | 2013-07-05 23:43 | 音楽 | Comments(0)