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東京都交響楽団札幌特別公演@Kitara2013

はじめにベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調。
長大な第一楽章で繰り返し提示される親しみやすい主題と雄大でありながら
穏やかな雰囲気が感じられるこの曲には、へたな熱情を前面に出して突っ走られるよりは
むしろ落ち着いて、堂々と歌ってくれた方が曲想に叶っているのではないか、と思う。
演奏前にソリストの三浦文彰さんの年齢が20歳とわかった時、一瞬頭をよぎった懸念は、
曲が始まってまもなくどこかへ行ってしまった。
年齢を感じさせぬ、実に堂々たる演奏で、弾ききった途端盛んにブラボーがとんでいた。
カデンツァはクライスラー版だそうだが、小生にはいまひとつピンとこなかった。

ソリストアンコールはJ・S・バッハの無伴奏パルティータ第2番よりサラバンド。
この時指揮者のコバケンさんは第2ヴァイオリン首席のイスを半分譲ってもらい、
耳を傾けていたのが、なんとも微笑ましかった。

休憩後はブラームス交響曲第4番ホ短調。
ベートーヴェンではソリストに寄り添うような、慎重な指揮に終始したコバケンさん。
しばらく実演に接していないので、指揮スタイルも変えたのかな、と思ったが、
後半では指揮者の前の譜面台は除かれ、暗譜。
指揮も膝を曲げて、上体を前屈みにした姿勢でほぼ一貫し、
前半とは一転した実に熱情溢れる姿でオーケストラをグイグイ引っ張る。
おまけに、途中からは例のうなり声がホール全体に響き渡る訳だから、コバケン節炸裂。
しかし、オケもよく反応して、聴き応え十分なブラ4だった。
ところが、これ以上のコバケン節のサプライズが待っていた。
アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第5番だったが、
途中でオケの演奏を止めたことが分る「ため」を作ること3回(3回目は何秒あったのだろう)。
こんな超個性的な5番は初めてだったが、途中で思わず声を出さずに笑い出してしまった。
実に愉快だ、とでも言うのだろうか。

最後に、都響について。
最近では毎年この時期に来札して演奏会を開いてくれる。
実演に接したのは2005年2011年に次いで3回目となるが、
その充実したサウンドに毎回満足度は高い。
恐らく、札幌でも来演を楽しみにしている固定的なファンも多いのではないだろうか。
在京オケを聴く数少ない機会としても、ぜひ継続してもらいたいものだ。
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<蛇足>
都響が設立されたきっかけは1964年の東京オリンピックということは知っていましたから、
2020年の東京決定後だけに、今回のタイミングではアンコールは東京オリンピックがらみ
と期待したのですが、これは見事予想がはずれました(笑)
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by capricciosam | 2013-09-15 22:32 | 音楽 | Comments(0)

2020年東京オリンピック開催が決まった日に

今朝は6時過ぎに目が醒めたのですが、既に東京開催が決まったあとでした。
投票経過はすでに報道されているように一回目の投票で東京が最多票を獲得したものの、
有力な対抗馬と見られていたマドリードがイスタンブールと同数となり、
両者で決戦投票をしたところマドリードが敗れる波乱。
決戦投票では東京がイスタンブールを圧倒したとのこと。
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歓喜に沸く報道ばかり見ていると、こちらもついつい嬉しくなってしまうのは
同じ日本人としての根っこの部分なんでしょうね。
と同時に、ことの重大さに期待と同時に不安も頭をもたげてくるのは
世間を生きてきて身に付いたものからなのでしょう。
そうなんですね、無邪気に喜ぶには歳をとりすぎました。

国内でもオリンピック誘致による経済効果やひとつにまとまる象徴として必要という
意見ばかりではなく、遅々として進まない震災復興や原発事故処理に使うべきではないのか、
という反対意見も根強い訳です。過去に1964年東京五輪、1970年大阪万博といった
巨大プロジェクトでインフラ整備が進み、経済成長を促進してきた側面があるようですから、
再度招致に熱心になるのも道理ですが、一方で、被災地を中心とした東北が
きちんと復興してからでも遅くないじゃないか、と反対の声があるのも事実です。
国を挙げての一大事業故に、賛否の意見対立も激しくなります。

それに今回は招致決定直前に福島第第1原発の膨大な汚染水の漏れ発覚が加わり
連日海外メディアが取り上げて、放射線事故への関心が急速に高まりました。
海に漏れるということは世界の海洋に深刻なダメージを与えかねない訳ですから、
海外の関心が高くなるのも当たり前というものです。
国内だって、震災後すぐなら、被災地産のものを食べて応援というキャンペーンに
賛同できる部分はなくはなかったと思うのですが、この大量の汚染水漏れの報道以降は
「水産物は当面パスだな」という気分に傾いた人も多いのではないでしょうか。
しかも、漏れていると推定されている量が毎日何百tでは、専門的知識に乏しい一般の人なら
「こりゃだめだ」と思うのが普通の反応ではないでしょうか。
おまけに地下水の遮断工事自体はこれからなんですから、絶望的気分が高まろうというものです。

その上事故処理主体は依然東電で、国が前にでる気配は先日追加支援を決めた時に
ようやっと表明された程度です。それもIOC総会の数日前ではなかったでしょうか。
しかし、ここでも具体的な安心材料を国民に提示してくれた訳ではありません。

ところが、驚くべき発言を彼の地にいる安部首相の口から聞くことになる訳です。

「東京電力福島第一原発の汚染水漏れについて、安倍首相は「問題はない」と繰り返し、
政府として責任を持って解決する姿勢を強調した。 「(汚染水は)原発の港湾内の
0・3平方キロ・メートルの範囲内で完全にブロックされている。数値は、最大でも
WHO(世界保健機関)の水質ガイドラインの500分の1だ。日本の食品や飲料水の基準は
世界で最も厳しい。現在も将来もまったく問題ない。
抜本解決に向けたプログラムに責任を持って着手している」
(以上、読売9/8より引用)

あらら、言っちゃった。しかも、世界に向けて。
しかもしかも、これまで国内では明言しなかったことを。

「問題はない」、「完全にブロックされている」、「現在も将来もまったく問題ない」

しかし、ホントに「under controll」と断言できるのでしょうか。

「「状況はコントロールされている」。安倍晋三首相は、国際オリンピック委員会
(IOC)総会で、東京電力福島第1原発事故の汚染水漏れについて、こう明言した。
しかし、福島の漁業関係者や識者らからは「あきれた」「違和感がある」と
批判や疑問の声が上がった。」
(以上、道新9/8より引用)

一国の首相の言葉は重い。
これと同じことを福島県内でも発言できる自信はあるのでしょうね、きっと。
国内外の不安の声や決定後も注視していくであろう海外メディアの疑念を払拭する
解決策は、実際に汚染水の漏れを止めることです。しかも、一刻も早く。
under controll だそうですから、そんなに難しいことではないんでしょう?
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by capricciosam | 2013-09-08 23:52 | 時の移ろい | Comments(0)

国府弘子スペシャルトリオwith小松亮太@北広島市芸術文化ホール2013

まずは、スペシャルトリオで6曲演奏。
国府弘子:ピアノ、八尋洋一:ベース、岩瀬立飛:ドラム

 1 ゴーイング・ゴーイング・オン
   わかりやすい主題が繰り返される、とてもジャージーな雰囲気。この曲でメンバー紹介。

 2 マシュ・ケ・ナダ
   国府さんはじめメンバーの歌入り。

MC 2年前初めて北広島に来た思い出を。
   (実は、この時聴きたかったのですが、忘年会と重なり諦めたのでした)

 3 ホライズン(地平線)
   札幌のコンサートで谷川俊太郎さんの詩とのコラボだったとのこと。
   サバンナの夜明けのような雰囲気で始まり、主題が反復されて熱情的に締めくくられる。

MC 曲作りはメンバーのメモ書き(コードネーム)の出し合いで。ジャズ入門編として次の曲に。

 4 キラキラ星
   原曲にメロディを加え、さらにスウングさせ、ボサノバ、サンバへと次々にアレンジ。
   昨年の東京JAZZでのM・ルグランの「シェルブールの雨傘」を思い出しました。
   こういうのって、実に楽しい。

 5 A列車で行こう
   プログラムでは「枯葉」ですが、変更。ソロの取り合いを披露。

 6 ジプシー・バロック
   このトリオで作ったアルバムの一曲。ラテン的なフィーリングで聴かせた。  

15分の休憩。後半は小松亮太さんが加わり、6曲。

 7 忘れないよ
   国府さんのピアノソロで。印象深い一曲。

 8 りベルタンゴ
   小松さんと国府さんのデュオで。バンドネオンの息づかいが生々しい。

MC 小松さんの北広島訪問回数は本人より客席が覚えていました(笑)
   バンドネオンはドイツの楽器で世界大戦で楽器製造も一旦は途絶えたとの話に驚く。
   日本には30人位しかプレイヤーがいなく、取り巻く環境としては厳しいとのこと。

 9 「ザ・世界遺産」のテーマ
   小松さんのオリジナル曲をソロで。郷愁をそそるメロディです。

MC バンドネオンの音を評して「人の息づかい。蓄膿症のスースーみたいでしょう。」
   ここで、国府さんが小松さんにタンゴを習っていることが判明。厳しいそうです。

10 Sin Nada de Particular
   小松さんのオリジナル曲。国府さんが小松さんに怒られまくった一曲らしい。
   タンゴには打楽器の代わりがピアノで、ピアニストを鍛える目的があるとのこと。
   かけあいがなかなかでした。

MC タンゴではピアノは「渋くて、暗くて、冷たく」弾いてもらいたいけれど、
   国府さんは逆、との話には笑った。確かに、そんな雰囲気があるな。
   タンゴにはJAZZからもCLASSICからも来るが、両方わからないとダメらしい。
   黒人の血が強い音楽はプラスがあればいいじゃないか、という感覚なんだけれど、
   タンゴは白人の作った音楽なので、これはダメ、これがなけりゃダメ、とのこと。
   流儀の違う人と演奏するのはコワイとのこと。ここでトリオの2人も再登場。

11 Adios Nonino
12 スターランド
   ピアソラと国府さんのオリジナル曲を全員で。聴かせる。

アンコール 国府さんのアルバム「オータム・セレクション」からの一曲(タイトル聞き取れず)。
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一見ジャズとタンゴの入門編を装いながら、演奏には一切手抜きなし。
随所にプロとしての凄味が感じられる楽しいひとときでした。
(最も、大谷翔平VSマー君の投げ合いも気になって休憩中にはチェックしていましたが。)
今日9/7は旭川市A・Evans でスペシャルトリオの演奏会があります。
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by capricciosam | 2013-09-07 05:16 | 音楽 | Comments(0)