<   2014年 04月 ( 3 )   > この月の画像一覧

D・ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管@Kitara2014

演奏されたのは以下の曲。

1 R・シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
2 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調
3 ブラームス 交響曲第4番ホ短調

ソリストアンコール
1 イザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタ第5番より第1楽章

アンコール
1 ブラームス ハンガリー舞曲第1番
2 スイス民謡 「エヴィヴァエソチ」

ジンマンがチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の首席指揮者に就任したのが1995年。
それから4年後の1999年に、当時開館して何年も経っていないKitaraに来演した。
ちょうど、ARTE NOVAでリリースしたベートーヴェン交響曲全集が話題になっており、
Kitaraでもベートーヴェン交響曲第7番が演奏された。

新版による演奏では古楽風演奏が話題になっており、期待して出かけたものの、
ステージを見て一部の楽器にそれらしいものが使われていることはわかったが、
素人の耳にはノンビブラート気味でリズムを強調しているな、程度で、
新鮮ではあるが、それほど奇を衒ったものではなかった。
その時、ある意味「中庸」とでも言ったところがジンマンの持ち味なのかな、
という印象が残った。

15年を経て、改めて聴いてみると、まずオケの楽器だが、全てモダン楽器のようだ。
もう、当時のこだわりからは前に進んでいる、ということなのだろう。
また、管楽器の各パートが上手い。当時よりも一層うまいような気がした。
また、ヴァイオリンがエキストラなのだろうが、もの凄く増強されている。
そんなオケを自在に操るジンマンだが、小生が一番楽しめたのはR・シュトラウスの1。
気分としては、相性の良さ的なものがある、という言葉が適当なのかもしれない。

ジンマンは決してオケのパワーを解放させない訳ではなく、
鳴らすべきは十分鳴らしているのだが、それでもしっとりとした、落ち着きを
与えてくれるという印象が残った。先ほどの「中庸」というイメージが蘇る。
これはプログラムも大いに預かっているのかもしれないが、ブラームス晩年の3も
このコンビとしての最後を愛おしむような味わいのある響きが大ホールに満ちた。

2では編成をぐっと小さくして、室内オケ程度に。
ギドン・クレーメルは以前スイス・ロマンド管弦楽団と来札した時に聴いたことがあるが、
激しく身体を動かして、目一杯表現しようという、外に向かってエネルギー放射する
ようなイメージが強くあった。しかし、依然身体全体で表現しようという気配は残る
ものの、当時とは比べものにならない位の穏やかさで、この名曲を丁寧に奏でていく。
先ほど「落ち着き」という表現を使ったが、2を聴いたことがより一層その趣きを
強めたかもしれない。でも、安心して耳を傾けられるだけの腕が衰えたという訳では
決してない。むしろ、逆に当時と比べものにならない位の「深み」を感じたのは
気のせいか。盛大な拍手に応えアンコールを一曲。
これも、ヴァイオリン一丁からいくつもの響きが飛びたす技巧が冴える一曲。凄い。

オケのアンコールは2曲。
1はよく聴く定番なのだが、おもしろかったのは2。
鳴りやまない拍手に応えて指揮台に上がったジンマンが、くるりと客席に振り向いて
なにやらスピーチ。聞取れたのは最後の「‥‥very very Swiss」という言葉だけ。
そして始まるスイス民謡。ホールに響くカウベルの乱打から始まる楽しい一曲で、
これは楽しめました。なるほどスイス気分を味わわせていただきました。
15年前もアンコールが3曲でしたが、ホント、サービス精神溢れる皆さんです。感謝。

客の入りは6~7割といったところか。空席が目立った。
15年前はほぼ満席だったのだから、なんとも寂しい限り。
以前のフィルハーモニア管の時も満席には程遠く、そのうち海外オケでも、
超有名オケ以外の有名オケの来札が途絶えるのではないか、と心配になってくる。
c0007388_23135630.jpg

【はみだし】
3日前に札響定期演奏会を指揮されたエリシュカさんご夫妻も客席で聴いて
いらっしゃいました。
チケットセンター方向から歩いて入場されるのを目撃したのですが、
途中見失い座席まではわからずで、前半は演奏に集中していました。
前半が終わり休憩に。休憩も終わりそうな頃、ホールを見渡していたら
客席のお二人を偶然に発見しました。
エリシュカさんは各楽章とも途中まで身体を前に乗り出されたり、
耳に手をあてたりして実に熱心にステージに集中されているご様子でした。
秋にはブラームスを取り上げられるので、よけい気合いが入ったのかもしれません。
終了後、帰ろうと館外に出たところで、戻られるご夫妻を発見してガラス越しに
写真を撮りましたが、撮っているのに奥様が気付かれ、にこやかに手を振って
いただきました。小生も撮り終えてスマイルしながら手を振って
お返しさせていただきました。
写真はtwitterをご覧ください。
[PR]
by capricciosam | 2014-04-15 23:13 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第568回定期演奏会@Kitara2014

演奏されたのは以下の曲。

1 ベルリオーズ 序曲「ローマの謝肉祭」
2 ヴォジーシェク 交響曲ニ長調
3 チャイコフスキー 交響曲第6番ニ短調「悲愴」

エリシュカさんが首席客演指揮者就任以来定期で取り上げたドヴォルジャークの
後期交響曲を昨年4月に終えて、小生が内心期待したのは他のスラブ系(ロシア系)。
しかし、昨年秋のブラームスが望外の収穫で、内心「独墺系でもいいか」なんて
ぐらついていたら、恒例の4月定期に持ってきたのがチャイコフスキー。
しかも、「悲愴」だなんて、いきなり直球勝負の趣きですよ、これは。

さて、その「悲愴」だが、冒頭の低弦を中心とした陰鬱な序奏から始まり
不安と感傷の入り交じった劇的な展開を見せる第1楽章を聴き終えただけでも
「来た甲斐があった!」という十分な気持ちにさせてくれました。
この「満足」な気持ちは最終楽章まで持続された訳ですが、これは御歳83歳とは
到底思えない統率力のあるメリハリの効いたエリシュカさんの指揮の賜物だと思ます。
もちろん、力演で応えた札響のみなさんもブラボーなのはもちろんです。
ただし、やや粗さが感じられたのは、2日目の疲れのせいでしょうか。

エリシュカさん指揮の演奏会では毎度思うのですが、普段埋もれてしまう楽器パート
でもはっとするくらい明瞭に聞こえてくる不思議さがあります。もちろん、自己主張が
強すぎて飛び出しているという訳ではなく、節度を持ってきちんと聴こえてくる、
とでも言うのでしょうか。それでいて、オケの音としてのブレンドの良き按配よ。
恐らく奇を衒ったことをしている訳ではないのでしょうから、これこそ王道。
だからこそ、手垢にまみれたいわゆる「名曲」が新鮮に響くということなのでしょう。

「悲愴」の実演は一昨年のファビオ・ルイージ指揮PMFオーケストラの演奏以来でした。
あの時も熱演で好印象が残ったのですが、指揮者がかなりオケをドライブしているな、
という印象が強く残りました。
しかし、エリシュカさんと札響では、指揮者とオケの共同作業だな、という印象
なんですね。これは良好な関係があったればこそ、と勝手に推察しています。
来年度取り上げるとしたら、後期交響曲の残り2曲からなのかな。
すでに都響と演奏した5番でしょうか、4番でしょうか。どちらにしても、楽しみです。

2は札響初演の由。
初めて聴いたのですが、第2楽章に代表される親しみやすいメロディや音楽の推進力が
全編を貫くため、気分的には楽しい楽曲だと思ました。
ただし、良い意味でのとんがった所がないために、印象が平板になりがちな点が惜しい。
1は冒頭の弦楽器の響きで今日の演奏会の成功を確信、なんて言ったらオーバーか。

Pブロックで空席が目立ちましたが、9割程度の入りでしょうか。
ライブ録音しているようでした。せきがやや目立ちましたが、
フライングブラボーもなく(最終楽章も数秒の沈黙がありました)、素敵な聴衆でした。
c0007388_20275087.jpg

<追記>
コントラバスは首席が仙台フィルに移られたので、今回の首席は日本フィル首席の方が
客演。また、事務局長も退職されたので、前ホルン奏者が就任されていました。
まっ、人事異動なんて春らしい話題ですね。
[PR]
by capricciosam | 2014-04-12 20:27 | 音楽 | Comments(0)

自治体による初の原発差し止め訴訟

「函館西部地区バル街」は年に2回、春と秋に開催されます。
以前、秋のバル街に訪れたことは記事にしましたが、今振り返っても楽しい想い出です。
函館ならではのイベントで、今年も春のバル街は4月20日(日)に開催されるようです。
きっと、大勢の参加者で賑わうんでしょうね。行きたいなぁ~

また、参加したいのでぜひ末永く続いてもらいたいと思うのですが、
なんと言っても観光やイベントは安心して楽しみたいもの。
それが、危険と隣り合わせでは、せっかくの酔いも醒めようというものです。
しかも事故ったら最後、生命と故郷を捨てることになるかもしれない危険なら、なおさらです。

「電源開発が青森県大間町に建設中の大間原子力発電所について、北海道函館市は
3日、国と同社を相手取り、設置許可の無効確認と建設差し止めを求める訴訟を
東京地裁に起こした。原発を巡り、自治体が国などを訴えたのは初めて。(略)
大間原発は、ウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料で運転する原発として08年5月に着工。
東電の原発事故でいったん工事が中断されたが、12年10月に再開している。工事の進捗率は
11年3月時点で約37%。函館市とは、津軽海峡を挟んで最短23キロ離れている。」
(以上、読売新聞4/3より引用)
c0007388_2364129.jpg

この図は函館市のHPに掲載されているものです。

以前、津軽海峡で最も狭いと言われる旧戸井町の岬から対岸の大間町を肉眼で
見たことがありますが、楽々見えたことに驚いたことがあります。
「へぇ~、こんなに近いんだ。」
海しかないから、当たり前ですが、何らの遮蔽物もないということでもありますね。
いったん重大事故が起きた場合には、風向きによっては、被爆から逃れることは
到底容易なこととは思われません。

今回の訴訟について函館市はHPで「なぜ建設凍結を求めるのか」を公表しています。

「私達は、福島第一原発のあの事故の凄まじさを見て、原発をこれ以上増やすべきではなく,
建設中や計画中の原発は、当分凍結すべきと考え、国や事業者である電源開発(株)に
大間原発建設の無期限凍結を要請してまいりましたが、前政権の下で平成24年10月1日、
建設が再開されました。
その後、国は、福島第一原発事故を踏まえ,万が一の事故の際には被害が大きく危険となる
地域を、これまでの8~10Kmから30Kmに変更したところです。その30Km圏内に入る
函館市や道南地域への説明もなく、また、同意を得ることもなく、建設が再開され、建設後には、
大間原発の事故を想定した地域防災計画や避難計画を定めることを義務づけられることは、
整合性を欠き、誠に理解しがたいものです。」
(以上、函館市HPより引用)

建設当時は意見を述べる機会もなく着工され、同意もした覚えもないのに、
被害想定地域の拡大にともなって一方的に義務が課せられるなんて実に変な話です。

ところで、函館市の考えている大間原発の問題点とはどんなことなのでしょう。
以下も函館市のHPからの引用です。

「①福島第一原発事故以前の審査基準により許可され、建設が進められていること
②毒性が強く危険性が指摘されているフルモックス(プルトニウムとウランの混合燃料だけを使用)
での世界初の原子炉であること
③大間原発の北方海域や西側海域に巨大な活断層がある可能性が高いこと
④大間原発が面している津軽海峡は国際海峡であり、領海が通常の12海里(22km)ではなく、
3海里(5.5km)しかないことからテロ対策をはじめ安全保障上の大きな問題があること
⑤既存原発の再稼働とは異なり,電力需給の問題を生じるものではないこと
⑥大間原発では使用済核燃料は20年分しか保管できなく、その処理の方法や最終処分地などが
決まっていないこと」

①は福島第一原発事故後の審査基準では許可されない可能性があるならば、
ここは確認されるまで中断するのが筋というものでしょう。
②MOX燃料原発は各国が中止しているだけに安全性が担保できるのでしょうか。
あと、案外騒がれませんが、個人的には④が気になっていました。
そもそもテロ対策が弱いと言われる我が国の原発を、よりによって国際海峡に面して
立地する必要があるのか、という疑問です。
領海が狭くなっている分、テロも受けやすいという発想はシンプル過ぎるでしょうか。
重大事故も心配ですが、この点も潜在的には危険性大だと思います。

函館市を含む道南の生活や経済を破壊する恐れのある原発。
肉眼で確認できる対岸で一方的にそれが建設されているのを見ていなければいけない函館市。
住民の心情としては気分が休まるものではないだろう。
だからこそ、今回の函館市の英断を支持し、訴訟の成功を祈りたい。
[PR]
by capricciosam | 2014-04-03 23:59 | 時の移ろい | Comments(0)