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札幌交響楽団第571回定期演奏会@Kitara2014

演奏された曲は以下のとおり。

1 ジョン・ウィリアムズ 組曲「スター・ウォーズ」
2 早坂文雄 交響的組曲「ユーカラ」

下野さんが前回登場したのは2年前の第547回定期演奏会
その時はプレトークでプログラムをどう作っていくか、という興味深い話を披露して
くれた。ソリストとソリストの演奏する曲が先に決まっているという話でしたが、
今回はソリストなし。と、なれば下野さんのアイデアで構成されたということなのか。
そしてキーワードは「映画音楽」と「組曲」か。
それに、北海道ゆかりの作曲家の「生誕100年記念」がサブテーマとなるのかな。

今シーズンのプログラムを眺めて、8月定期が5月定期ほど興味が湧かなかったのは
同じ日本人作曲家でも伊福部昭に比べ、早坂文雄の作品はなじみが薄いためだった。
それ故、今回は逡巡したが、前回も結果的には良かった下野さん指揮だけに
足を運んだ。同じように悩まれた方もいたようで、空席が目立ち、入りとしては
6~7割か。ただ、こういう試みはプロオーケストラとしてはぜひ挑戦してもらいたいし、
その心意気を感じて自らの視野を広げる気持ちを持って、足を運んで札響を応援したい
ものだ。

また、今回の2曲について札響が過去どれくらい演奏しているか、という点が
両者の性格を端的に示している。1は133回。直近では今年3月。現団員で演奏していない
者はいない訳だ。一方、2は抜粋演奏のみ2回(それも約45年前に集中している)で全曲演奏
は札響初演。現団員で前回演奏した団員なんて皆無だろう。
つまり、演奏する上での勘も有り、無しにはっきり分かれる。
また、同じ組曲といっても、一方は聞けば映像が浮かぶ映画音楽そのものの組曲である
のに対し、片方は映画音楽ではない純音楽としての組曲なのだから、並列に扱うには
抵抗がある。そういう意味では、先に甘い薬を飲ませて、後で苦い薬を飲ませるような
「たくらみ」を感じた。

事実、2は標題から連想される土俗的イメージなど感じさせない、抽象的、観念的な音が
形式感もなく連なっていくという印象で、聴く側にも集中力とイメージを膨らませる努力
が必要。

「6つの曲から構成され、それぞれの曲にはアイヌの叙事詩にもとづく副題がつけられて
いるが、叙事詩を描写するのではなく、抽象化され透徹した精神世界を厳しく構築して
いる。自由な無調、変拍子のリズム、絵巻物風の構成が聴きものと言えるだろう。」
(会場で配布された資料より)

これを「おもしろい」ととるか、「退屈」ととるかは評価が分かれるところだと思う。
ただ、下野さんの迷いのない指揮で札響自体は熱演だったことは間違いない。
拍手に応えて、下野さんが楽譜を持ち上げ、さらには一歩下がって楽譜に向かって
拍手していたのが印象的だった。
録音はされているようだったが、こういう珍しい曲だけにライブ盤でリリースされたら
それなりの反応が全国であるのではないか。

1はCDとしてはメータ&ロサンジェルス・フィル盤が有名だが、メンバーも増やし、
さらに金管楽器が大活躍して遜色ないサウンドとなった。
実演でこれだけの演奏がきけたら満足というものだ。

しかし、下野さんの演奏会は企画が凝ってるね。変化球で翻弄された気分。
札響にはまた登場していただきたいが、たまに直球で聴いてみたい気分も。
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by capricciosam | 2014-08-30 20:37 | 音楽 | Comments(0)

PMF2014を振り返って

暑い日が続くなと思っていたら、いつの間にか朝夕は「す・ず・し・い」感じが。
やはり北海道の夏はお盆までですね。
これまでも、お盆の声と同時に空が急に高くなり、風も涼しくなった記憶が度々あります。
「まぁ、そうこなくっちゃね。」
とは言っても、「前門の虎、後門の狼」の例えのごとく暑さを逃れたら寒さが待ってるんだけど。

さて、そんな去りゆく今年の夏。
小生にとってはPMFで明け暮れるのが夏なので、PMFを振り返って去りゆく夏を惜しんでみます。

これまでも参加アーティストの変更は度々あったように記憶しているのですが、
今夏は首席指揮者に予定されていた巨匠ロリン・マゼールが開幕近くにキャンセルし
しかも会期中に亡くなるという、忘れがたい変更になってしまいました。
確かに、マゼールの指揮でPMFオーケストラを聴きたかったという思いは消えませんが、
代役となったジョン・ネルソンと佐渡裕も見事なオーケストラコントロールだったと思います。
特に、GALAでの佐渡さん指揮によるショスタコーヴィチは忘れがたいものでした。

PMFオーケストラは120人規模の大編成故に音量と音圧に不足はないのですが、
若さに任せただけ、ニュアンスに乏しい、粗いという類の感想も例年なくはないですね。
しかし、PMFは「教育音楽祭」です。常設のプロオケとは異なります。
プロ直前の若いメンバーによる臨時編成オーケストラが約1ヶ月でここまで達成できる
という成長を楽しむ、という視点でみれば、毎夏"奇蹟"を体験できる喜びの方が大きい
というものです。そんな視点で、佐渡さん指揮のショスタコーヴィチは、
彼らの若さの放出と抑制を見事にコントロールした名演となったのではないか、と思います。
もっとも、GALAは各パートに指導陣がいた訳で、ピクニック、道外公演では
彼らだけだったのかもしれません。確かに、指導陣の有無によりオケの響きがガラッと変わる
ことはあることなので、その辺の差が評価の違いに結びつくことは否めないとは思います。

また、「ナクソス島のアリアドネ」では人生初のオペラ体験も。
この分野はこれまで手つかずだったので少し予習をして臨みました。
第一部はストーリーはわかるものの、ドタバタ感が強くノリませんでしたが、
第二部が劇中劇の形ながら、アリアドネ、バッカス、ツェルビネッタの歌唱が素晴らしく
ぐいぐい惹き付けられました。特に、水口聡さん、天羽明恵さんには圧倒されました。
この時はオケの編成も小規模でしたが、弦楽器パートにはウィーン・フィル団員らが
陣取ってオケを引き締め、指揮の沼尻竜典さんも見事な指揮でリードされていました。
この時はPMFオーケストラは二手に分かれており、一方は旭川市で公演中。
おおよそ80人と40人程度に分けて公演する手法のようですが、初の試みだったのでしょうか。
祭りとしての多様性を獲得する意味ではおもしろい試みだと思いました。

例年PMFは前売券で聴きに行ってるのですが、今年は当日券で2つ追加しました。
ひとつはベルリン・フィル・ブラスアンサンブル。
これはプレコンサートの位置づけでしたが、ベルリン・フィルのトランペットと
トロンボーンの各パート全員が参加しているだけに聴き応え十分でした。
文句なしのうまさ。それにアンコールはシャルケの「ベルリンの風」ですからね。
言うことはありません。
うまいと言えば、特別コンサートⅡのセルゲイ・ナカリャコフの超人技にもビックリ。
超絶技巧を目の当たりにした驚きは一入でした。
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組織委員会も紙ベースの資料をいろいろ印刷配布したり、会期中にイベントを仕掛けたりと
工夫を凝らして集客や音楽祭としての盛り上げを図ったようです。
今夏に限って言えば、演奏会も空席が目立つ状況ではなく、集客にも成功していたのでは。
3回目を迎えたGALAも徐々に定着した感じですが、当日も猛暑の中で正装というのは
キツイですね。男性はノータイのシャツ姿が圧倒的に目立ちましたが、
絶対数は少ないものの、女性は和服姿が年々増えてきたような印象が。
やはり、オシャレ上手は女性です。
ただ、男女ともに「如何なものか」と思ったのがTシャツ姿。カジュアル過ぎるでしょうね。
特にPMFのTシャツを着た方はPMFのファンなのでしょうが、GALAというフォーマルな場を
設定している以上、翌日のピクニックではOKだとは思いますが、
GALAでは場違いとなるのではないでしょうか。

情報発信という点ではHPも一新。
代わりに従来あったスタッフ・ブログは廃止し、ツイッターを残したようですが、
これは情報発信の流れをくみとったものだと思います。
ただ、SNSは小回りがきく分、タイムリーな発信をしてこそ価値があるというものなのに、
ツイッターは開幕につぶやいたきり、一度も更新せずに閉幕を迎えるという珍事に。
ツィッターの利用者が増えている中、せめて毎日のイベント情報だけでも機械的に発信
してくれたら、リツイートで少しは拡散できPRの一助になれたかも、と思いました。
PR範囲としては限定的でスタッフの限界もあるのでしょうが、
この点は次年度改善してもらいたいものです。

<追記>
15日に書きかけたものの、放置状態が続き、19日朝ようやく更新しました(汗)
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by capricciosam | 2014-08-15 23:18 | 音楽 | Comments(2)

PMF-GALA@Kitara2014

3回目を迎えたGALA。
2部構成で盛りだくさんな内容です。

第1部
司会はおなじみ天羽明恵さん。思わず「ツェルビネッタ!」(笑)なんてね。
まず、PMFブラス・アンサンブルの演奏で。ブラスの曲としては有名らしい。

1 ディロレンツォ リトル・ロシアン・サーカス

明日のピクニックコンサート(以下、「ピクニック」と略す。)では「PMF POPS!」
として披露されるらしい。華々しく、かつ楽しいのはうってつけかも。
続いて、ダニエル・マツカワ指揮PMF弦楽アンサンブルに天羽さんが加わり

2 ラフマニノフ ヴォカリーズ

声楽なしでも演奏される小品ながら、ソプラノが加わると一層味わい深い作品。
天羽さんは先日の<ナクソス島のアリアドネ>の強烈な残像があるため、
見事な歌唱ながら、ほんの腕慣らし程度の印象にしか聞えないというもったいなさ。
2の演奏前にダニエル・マツカワさんがPMF生当時、隣り合ったアカデミー生と言語が
異なるため意思疎通に苦労したが、結局心で通じ合っていくという体験を話す。

続く3、4は明日のピクニックにはないGALAだけの演出。
小山実稚恵さんが登場し、ピアノ・ソロを披露。絶品。 

3 リスト 愛の夢第3番

そしてGALA初の試み朗読劇に。

4 宮沢賢治「セロ弾きゴーシュ」から  語り・チェロ・ピアノによる

・エルガー 愛のあいさつ
・ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」第5楽章から
・シューマン トロイメライ
・ポッパー 妖精の踊り

小山さんに加え、チェロはセルゲイ・アントノフ、朗読は名取裕子さん!!
朗読が始まる前にエルガーが演奏されたのち、名取さんが下手から登場。
名取さんの朗読に従って残り3曲が演奏された。名取さんは登場者の声色を替えて
聴かせてもらったが、さすが名調子。いいね。
ただ、名取さんのマイクが絶不調で断続的にノイズが入り興を削いだことは
いただけなかった。休憩時間にお詫びのアナウンスがあったが、
生ならではのアクシデント。入念な機材チェックをお願いしたい。
劇中ではゴーシュがヘタクソな演奏をすることになっているため、
「(あんな見事な演奏される)アントノフさんに対して、ヘタクソなんてね。」
と名取りさんが恐縮されていたのは微笑ましかった。
それから、朗読と音楽のバランスには改善の余地があったと思う。
せっかく3までに積み上がっていた音楽への高まりが、朗読時間が長すぎて
少し冷えてしまった。大物女優の起用だけに出番として朗読が長くなったのだろうが、
あくまでも音楽主体となると、あのバランスは如何か。検討の余地ありではないか。
もっとも、これは評価が分かれるところかもしれない。

鳴りやまぬ拍手に応えてアンコールを一曲。
サン・サーンス 「動物の謝肉祭」から"白鳥"

20分休憩の後第1部再開。この段階ですでに16時30分。
配布されたプログラムには第2部開始が17時と印刷されていたが、ほぼ絶望的。

5 東儀秀樹 地球よ優しくそこに浮かんでいてくれ
6 プッチーニ 歌劇「トゥーランドット」から"誰も寝てはならぬ"

5では東儀さんが笙(しょう)を吹いてRAブロック下の一階出入り口から登場し、
歩いてステージに。このような演出は宮田まゆみさんによる武満徹の「セレモニアル」以来。
<追記8.3>
勘違いでした。笙が登場したのは2008年PMFオーケストラ演奏会でのことです。
細川俊夫作品「雲と光」で、笙の演奏は宮田まゆみさんでした。指揮は準・メルクルさん。
その時の記事はこちらです。

<追記8.4>
やはり、宮田まゆみさんの笙で武満徹の「セレモニアル」は演奏されていました。
1999年PMFインターナショナル・オーケストラ演奏会の1曲目がそうでした。
指揮はマイケル・ティルソン・トーマス。PMF10周年の節目でした。
ブログを始める前のこととて記事もなく、少し時間がかかりました。

笙の響きがホールに響き渡ったのはアンプによる増幅があるためか。
ステージでは篳篥(ひちりき)に持ち替えて演奏。
東儀さんのオリジナル作品だが、演奏後「僕が宇宙に一人浮かんでいると、
そこに地球も浮かんでいる。すると地球がとても愛おしい存在に思えた。」と語るが、
まさしくそんなイメージが浮かび、圧倒される。
「笙は1400年前の楽器で原型保つが、今では日本にしかない。篳篥はリードも同じ
オーボエ等の木管楽器の原型。笙は天から降りそそぎ、篳篥は地上の生き物の音。
音楽の教科書には邦楽器の紹介とともに自分も載っている(笑)」と興味深い話を。
でも、「音楽の先生も笙や篳篥に触ったことがないから、熱意を込めて指導できない。」
との話には頷けるものがある。学校教育段階では楽器と言えば圧倒的に西洋で発達した
楽器を指すからね。
6は篳篥のみで。

続いてセルゲイ・ナカリャコフ登場。

7 アーバン 「ヴェニスの謝肉祭」の主題による変奏曲
8 ディニク ホラ・スタッカート

先日の特別コンサートでの超絶技巧が記憶に新しいが、今日はもっと軽妙洒脱な雰囲気があった。
7では彼の吹くトランペットから2種類の異なる音が聞えてくるミラクルさ。
ここまではPMFオーケストラの指揮はダニエル・マツカワさんでしたが、
第1部締めくくりは佐渡裕さんが指揮に登場。

9 ホルスト(田中カレン編) PMF賛歌~ジュピター~

東儀さん、小山さん、名取りさんもサプライズ登場し、お客も起立しての合唱。
起立もスムーズになりましたが、何より佐渡さんの指揮で歌えるなんて思わなかったな。
嬉しい。

20分休憩の後、第2部に。この段階で17時55分。
当初予定から55分遅れ。企画段階での検討は十分なされたのだろうか。
第2部ではPMFオーケストラにPMFアメリカも各パート首席に座り、
総勢130名以上の大オーケストラ。ステージ一杯に展開する様の壮観なこと。
プログラムCでは以下の曲が演奏された。

10 バーンスタイン 「キャンディード」序曲
11 チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲
12 ショスタコーヴィチ 交響曲第5番ニ短調

PMFも25回にもなれば、「PMFと言ったらこの曲だね。」という曲があっても不思議では
ないのかもしれないが、とすると10はその候補としてはうってつけかもしれない。
佐渡さんのツボを心得たと思われる指揮で実に躍動感溢れる指揮でオケを引っ張る。

11ではセルゲイ・アントノフが再登場。ロココ風の愛らしい曲想を朗朗と弾ききる技量は、
さすがチャイコフスキーコンクール優勝者に恥じないものを感じさせた。
今度は他のチェロ協奏曲でその真価を鑑賞できたら幸いだ。
10では佐渡さんも慎重な指揮で伴奏に徹する。
鳴りやまぬ拍手にアンコールとして最終の第7変奏をリピートしてくれた。

休憩後の12は今回の一番の聞きものだった。
一昨年のベルリン・フィル定期でも取り上げただけに、佐渡さんも解釈には十分な自信が
あるのだろうが、指揮の自由度としてはベルリン・フィル定期より数段上にあったように
感じた。その分、オケに対する指示が鮮明で慎重かつ大胆な指揮になり、
オケから引出す響きのなんと繊細にして豊麗なことか。聴き応え十分。
特に、曲想の転換点でハープが重要な役割を果たしていると感じられたのは新鮮だった。
マゼールの用意したプログラムに佐渡さんは一曲だけ変更を加えたが、
まるで佐渡さんのために用意したようなプログラムのはまり方には満足度も高まる一方。
13年ぶりの佐渡さんのPMF凱旋公演は圧倒的な成功を収めたと言っても過言ではない。
「ブラボー!佐渡さん」

終演は19時40分。計画より40分程度オーバーだったのかな。
NHKのカメラが客席に4台、ステージに2台配置され、数年ぶりに放送があるようです。
楽しみです。当日券販売なしでしたが、カメラ配置の関係で空席が予め5%程度あったようですが、
それでも若干の空席があったのはもったいなかった。
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<追記8.4>
プログラムCでは当初1曲目はマゼール作「モナコ・ファンファーレ」でしたが、
佐渡さんに変更となった際、バーンスタイン作「キャンデード」序曲に変更されています。
記事の一部に誤りがありましたので修正しました。

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by capricciosam | 2014-08-02 23:59 | 音楽 | Comments(0)