<   2014年 10月 ( 2 )   > この月の画像一覧

札幌交響楽団第573回定期演奏会@Kitara2014

【プログラム】

1 マーラー 交響曲第9番ニ長調

来年の任期満了までに尾高監督と札響の演奏会はKitaraで2回予定されているので
今回が「最後の演奏会」でないことは明らかなのだが、オーケストラとの関係が終わりを
迎える時に、最後の演奏会でマーラーの交響曲第9番が取り上げられことはしばしば
みられることだ。従って、今回の定期演奏会が札響との総仕上げ的な意味合いが
ある卒業演奏会なのではないか、と思うのは小生だけだろうか。

尾高さんが辞任を発表する前に今シーズンのプログラムが発表された訳だが、
その時ツイッターで思わず「尾高監督は辞任するのかな」とつぶやいたが、
その判断の主たるものは今回のマーラーの9番だった。
残りはシベリウスのチクルスが完結するという節目に当たる、というものだった。
結果的に予感的中だったが、札響とひとつの時代を築いた方が去るだけに嬉しい訳がない。

この曲が成立した背景を知れば、マーラーがいかに身近に迫る「死」を意識してこの作品に
取り組んでいたかは有名なのだが、最後のアダージョに至るまでに、のたうち回り、煩悶し、
次第に諦観に支配されて息絶えるように曲が閉じる時に演奏が終わる訳ではない。
客席にも出番がある。まるで余韻を味わうようにすぐ拍手をせずにしばし沈黙をすることだ。
この余韻の後に真の終わりを迎えることになる。
今回は10数秒の沈黙が大ホールを支配した。
深い吐息とともに身体の緊張が解けていき、感動が湧上がってきた。名演。

指揮棒を持たない尾高監督の渾身の指揮に、増員された札響が全力で応えるため
大ホールには充実した響きだけが満ちた。
休憩なしの85分にいささかの緩みも感じられなかったのは素晴らしい。
配布された資料では前夜の演奏会が11月22日にNHK-FMで放送予定らしいが、
道内向けらしい。今回も録音していたので、ライブ盤として発売できないものだろうか。

コンマスは先月復帰した田島さんだったが、堂々たるコンマスぶりでしたね。
Pブロックに空席が目についたが、それでも8~9割の入りか。
c0007388_22105798.jpg

<追記>
配布された資料によればマーラー9番の札響の演奏回数は今回が3回目。
うち2回は尾高監督の指揮で、2回目は2003年の定期演奏会でした。
小生は偶然2回目も聴いていて、その時も深い感動に満たされたことは忘れられません。
この時にふれた記事を書いていました。こちらです。
[PR]
by capricciosam | 2014-10-25 22:11 | 音楽 | Comments(0)

ケント・ナガノ&モントリオール交響楽団@Kitara2014

【プログラム】

1 ラヴェル クープランの墓
2 ラヴェル ボレロ
3 ムソルグスキー/ラヴェル編曲 組曲「展覧会の絵」

10/10から始まった日本ツアーの最終公演。
発表されたプログラムを見て、

「3も事実上ラヴェル作品みたいなもんだからオールラヴェルプロか。
でも、ソリストもいないし、なんだか軽めのプログラムだなぁ~」

と思ったことは間違いありません。
でも、モントリオール響は1992年デュトワ指揮で北海道厚生年金会館で聴いて以来で、
かつ当時から定評あるフランス作品だから、シェフが代わってからはどうなのかな、
と半ば興味もあり、期待もしていたのは事実です。

1は4曲から構成されていますが、「墓」というイメージとはかけ離れた色彩豊かな
キラキラ感に満ちています。木管楽器のまろやかさに弦楽器の艶やかさが溶け合って
奏でる一体感には、美音以外の言葉は思い浮かびません。強奏でも音が全然濁らない。
カナダにありながらフランスの香りを強く感じさせるというモントリオール響の腕前は
シェフが交代しても脈々と受け継がれていたことがわかりました。絶品。

2は普通にうまいですね。あの規模で各パートの名人芸を披露されて、なにが不満なの、
という感じですが、出だしの小太鼓の音が大きすぎて、最後まで乗り切らずでした。
あそこはもっと聞こえるか聞こえないかのニュアンスで演ってもらいたかったな。

3はかつて原曲のピアノ版をアシュケナージで聴いたことがありますが、
オーケストラ版と比べるとやはり原石だな、との印象が残りました。
つまり、原石を研磨し、カットを施して見事な作品に仕上げたのがラヴェル
ということなのでしょうが、どこから聴いても楽しめる魅力的な作品です。
1で感じた馥郁たる美音と2で感じた各パートのうまさとがブレンドされ、これまた絶品。
いや~、見かけのプログラムと異なり内容が濃い。まいりました。

鳴りやまない拍手に応えてアンコールを約20分。「そういうことか」

4 ラヴェル ラ・ヴァルス
5 日本の唱歌~青い目の人形・十五夜お月さん・赤い靴
6 ビゼー 「アルルの女」よりファランドール

4が凄かった。元来舞踊のために創作された作品だけに躍動感に満ち、
激しい高揚感がたまらないのですが、それをこれだけ完璧に演奏されては
もうなにをか況や、です。ブラボーが飛んだのも頷けます。

当初の不満はどこへやら。終演と同時に残ったのは大満足の一言です。
ほぼ満席。近年続いた国外有名オーケストラ公演のイマイチ感を払拭。
ただ、隣のお客が風邪気味らしく、演奏中しきりに船を漕ぐので頻繁に
視界に入り集中を削がれそうになったのが残念でした。
季節の変わり目ですからね。やれやれ。
c0007388_22544527.jpg

[PR]
by capricciosam | 2014-10-18 22:55 | 音楽 | Comments(0)