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台北市立交響楽団@Kitara2014

【プログラム】

1 チャイコフスキー 歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ
2 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
3 チャイコフスキー 交響曲第6番ロ短調「悲愴」
<アンコール>
6 日本唱歌「赤とんぼ」
7 台湾民謡「高山青」
8 チャイコフスキー 「くるみ割り人形」よりトレパック

北海道に暮らしていたら道外のオーケストラの演奏を耳にする機会は限られますが、
それ以上に限られるのが海外のオーケストラです。
中でもアジアのオーケストラとなると、極めてまれです。
近年の北海道観光の主力は海外からのお客様、中でも台湾や中国、韓国のアジア系。
しかし、ことクラシックになると、ソリストを除けばこれらの国のオーケストラの演奏会を
聴くことなんかめったにない訳で、近年では2007年PMFに「フィルハーモニア台湾」が
来札しただけです。その時の記事はこちらです。
あの時はメインがラフマニノフでしたが、今回はオールチャイコフスキー。
偶々なんでしょうが、「台湾のオケはロシアものが得意なのか?!」
なんて勝手に思ったりしていました。

開演時間になりオーケストラのメンバーがステージに登場すると、
フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの木管楽器全員とコントラバス全員が女性。
その上、チェロも10名中9名が女性。しかも比較的若い感じ。これには少々驚きました。
札響にも若い女性奏者はたくさんいらっしゃるのですが、さすがにパート全員とはね。
一方の男性ですが、弦楽器に多かったようでした。
また、興味深かったのが2の際のチューニングの時。
コンマスがピアノの鍵盤をたたいのでオーボエがAの音を真っ先に出すと思ったら、
フルートが大きな音を出し、ほとんど同時に各楽器が一斉にチューニングを始めました。
札響等で目にする段取りと違い、少々面食らいました。
これまでの海外オケでもこんな光景は思い出せないのですが、お国柄なのか、よくあることなのか。

「アンサンブルは大丈夫か?!」
なんてチラッと頭をかすめましたが、各パートとも終始安定した演奏で、
素人にわかるようなアンサンブルの乱れは感じられません。
しかも、強奏の迫力も十分で、音が混濁することもなく、明るく、ライトな響きは素敵で
何やら新鮮な思いを抱きました。
特にその思いを一層強く感じたのは8を聴いてからです。
というのは、小生の中のこの曲の実演のベストはゲルギエフ&キーロフ歌劇場管。
あの濃厚でパワフルなサウンドと比べてしまうので、よけいそう思いました。
(その時に触れた記事はこちらです。)
つまり、明るく、ライトという点は音の密度に乏しい響きともとれる訳で、
これが故に「悲愴」などでは物足りなさにつながりかねないな、とも思いました。
もっとも、これはオケの特性というより、指揮者のギルバート・ヴァルガさんの指向性
ゆえなのかもしれません。

2のソリストのアンナ・ヴィニツカヤは2007年エリザベート王妃国際音楽コンクール優勝者。
さすが見事な弾きぶりだな、とは思ったのですが、それほど強烈な印象は受けませんでした。
不思議だな、何故だろうと思っていたのですが、拍手に応えアンコールを2曲。

4 プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番より第3楽章
5 ジロッティ バッハのプレリュードのテーマによるトランスクリプション

4は初めて聴きましたが、まるでロック!!
そして一心不乱に弾く彼女は、まるで何かが憑依したのかような熱演、激演。
(「激演」なんて言葉があるとは思えませんが、心情的にはこういう言葉がぴったりきます。)
また、プロコフィエフの斬新さに心が熱くなりました。
5も表面のやさしげな感じに潜む妖しさがおもしろかった。
アンコールのほうが2よりずっとワクワクさせられましたし、彼女もノッていたように見えました。
4,5を聴いてみて、彼女は演奏家としては大きく試行と模索を重ねて殻を破ろうとしている
最中なのだな、と思い至ったのですが、そう考えると2で抱いた気持ちの何故が
おぼろげに分かったように思いました。まっ、手前勝手な解釈なんですが、ハイ。
彼女はどう変貌を遂げていくのでしょうか。楽しみです。

Pブロックと3階席は販売されていなかったようですが、にしても空席が目立ったのは残念。
来年3月札響の台湾公演を控えて、これでは日台友好に冷水を浴びせているのでは
と心配になりました。公演チラシを見て気づいたのですが、65歳以上のシニア割引もやるなら
札響のような25歳以下の若者割引も同時にやれば、音楽系の高校やクラブからの動員も
少しは見込めたのではないかと思いました。良い演奏会だっただけにもったいない。
ツイッターでフォローしている方で今年のベルリン・フィルの定期会場が高齢者だらけと
ツイートされている方がいたのですが、クラシックの演奏会はどこも似たようなものかと。
中長期にわたるファン層(特に、若者)開拓を視野にいれないとならない時でしょう。

日本での公演は11/18札幌、11/20横浜の2公演だけのようです。
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<11.20追記>
一部表現を修正しました。

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by capricciosam | 2014-11-18 23:26 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第574回定期演奏会@Kitara2014

【プログラム】

1 ウェーバー 歌劇「魔弾の射手」序曲
2 モーツァルト 交響曲第38番ニ長調「プラハ」
3 ブラームス 交響曲第2番ニ長調

エリシュカ&札響によるブラームス・チクルス第2弾。
昨年10月定期では、どちらかと言うと一連のドボルジャーク作品の掉尾を飾るで
あろうチェロ協奏曲に目がいっており、ブラームスはそれ程期待していなかったのが
正直なところ。
しかし、これが驚くほどの名演だったもので、思わず「望外の収穫」なんて
失礼な表現をしてしまいました。その時の記事は、こちらです。
その時、「エリシュカ&ブラームス」を強く期待したことは言うまでもありません。

と同時に、このブラームスはチクルスになるんだろうな、とは思っていました。
そこで今年同時期に取り上げたのは第2番。
この曲は豊かな自然の中でのびのびと呼吸でもしているような情景とともに
「くつろぎ」「憂い」「喜び」「快活さ」等の様々な表情が美しいメロディとともに
浮かんでくる素敵な作品ですが、エリシュカさんは一切の誇張もなく、
歌わせるべきところは歌わせつつ、札響から豊かな音を引き出していきます。
札響もよく健闘していたと思いました。
これまでこんな素敵なブラ2は聴いたことはありませんでした。

録音されていたので後々CDとして発売されるのでしょうが、
来シーズンの6月定期ではブラームス交響曲第4番が取り上げられることが
発表されています。ブラ4と言えば、今年エリシュカさんが振られた4月定期の
3日後に行われたチューリヒ・トーンハレ管弦楽団演奏会でも同曲が取り上げられ
エリシュカさんが熱心に聴き入っていたことが思い出されます。
その時の記事はこちらです。ディヴット・ジンマンの解釈に刺激を受けて
どのような指揮で札響をリードされるのか興味はつきません。
一年一作とすれば、チクルス完成まであと2年。
エリシュカさんの年齢を考えれば、なんとか完成にこぎ着けてもらいたいものです。

2は作品成立の背景からもっと劇的に演奏する場合もあるのでしょうが、
メリハリは効かせつつも奇をてらうことのないオーソドックスな演奏だったと思います。
エリシュカさんらしく好感の持てるところですが、一方作品の内面に宿る
ザラッとした感触はあまり感じられませんでした。

1は冒頭のホルンにはヒヤっとしたのですが、立ち直ったので良しとしましょう。
しかしながら、少し注文を。今回取り上げられた3曲の中では一番演奏されており、
ホルンが重要な役割を果たす作品だけに、先月定期演奏会での見事さからは
考えられない不安定さ。しかも、定期演奏会の冒頭ですからね。
一層の健闘を期待したいところです。

昼公演。8~9割の入りか。
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by capricciosam | 2014-11-15 21:10 | 音楽 | Comments(0)

札響名曲vol.4@Kitara2014

【プログラム】

1 スメタナ 歌劇「売られた花嫁」序曲
2 フィビヒ 詩曲~管弦楽のための牧歌「黄昏」より
3 ヤナーチェク のこぎり~ラシュスコ舞曲集より
4 スメタナ モルダウ~連作交響詩「我が祖国」より
<休憩>
5 ドヴォルジャーク スラブ舞曲集作品72

楽しみにしていた今日の演奏会。家を出たまでは良かったのですが、
途中でチケットを忘れたことに気がついて家に戻る羽目になり、結局1~4は断念。
休憩も終わろうかという時にようやく着席できたので5のみの鑑賞となりました。

昨年はスラヴ舞曲集の作品46(第1集:1~8番)が演奏され、期待に違わぬ名演に
いたく感激したことは記事にも書きました。
当然、残り半分の作品72(第2集:9~16番)への期待も大きかった訳ですが、
聴き終えてみると、総体的な印象は昨年と大して違いはなく、相変わらず
エリシュカさんらしい聴かせどころを押さえた演奏だな、とは思うのですが、
昨年に比べると表情が穏やかというか、自然なんですね。
聴いていても、スリリングなどとは縁遠い「安心感」という言葉が浮かんできました。
83歳のエリシュカさんだけに、「高齢」に起因するものなのか、とも思ったのですが、
配布されたパンフレットに第1集はボヘミアの舞曲でまとめ、第2集はポーランドや
ウクライナ、クロアチア等の舞曲を採り入れたありますから、
案外この辺りが要因なのかもしれません。

空席のほとんど目立たない客席からの熱い拍手に応えてアンコールを1曲。

6 スーク 弦楽セレナーデ変ホ長調より第1楽章

作曲家は違えど昨年同様、「弦楽セレナーデ」でクールダウン。
この作品は初めて聴きましたが、なかなか魅力的。
これだけ聴かせられると、来年の名曲でエリシュカさんの指揮で
「ドヴォルジャークの弦楽セレナーデ」を全楽章演奏してもらえないものだろうか。
もっとも管楽器、打楽器の出番をどうするか、という問題はあるのでしょうが、、、
<11.15追記>
名曲どころか、2016年3月定期で実現!って、今頃何を言ってるんでしょうね。
先月発表された来シーズン定期演奏会一覧に書いてありました。
歳のせいかな、いかんな、こういうポカは。

着席してステージを観るといつもより入念なマイクの数が。
慌てて入場したので告知を見落としましたが、CD用の録音のようです。
これは昨年分と併せた「スラヴ舞曲集」でしょうね、きっと。楽しみ。
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by capricciosam | 2014-11-08 21:16 | 音楽 | Comments(0)

ズービン・メータ&イスラエル・フィルハーモニー管@三重県文化会館2014

【プログラム】

1 シューベルト 交響曲第6番ハ長調
2 チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調

現在は終身音楽監督という立場のズービン・メータだが、イスラエル・フィルとの関係は
半世紀以上に及ぶという。イスラエルという国が決して易々と音楽を楽しむ状況に
ある訳ではないのだろうし、この間困難な局面に出会うことも多々あっただろうが、
ことあるごとにメータは駆けつけて鼓舞していたらしい。
そう言えば、東日本大震災の時もメータは来日中だったが、公演中止により出国したものの、
アーティストの来日中止が続く中、いち早く再来日してN響と第九を演奏して
日本を励ましてくれたことは忘れがたい。
顔つきからして熱血漢のようにも思うのだが、とにかく心には熱いモノがある人なのだろう。

今回の演奏会に当たっても、かつてウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートに登場した
時のような颯爽とした姿を想像していたら、ステージに登場した時の彼の足下の
やや覚束なげな風がとても意外だった。あとで確認したら、メータも78歳。
残像と現実とのギャップがあるのは当然で、こちらの勝手な思いこみというものでした。

しかし、老いたとはいえ、やはり心の炎は熱いなと思ったのが2。
イスラエル・フィル自体の技量の高さもあるのでしょうが、メータの指揮の下、
管弦一体となって燃焼する様は圧巻。カンタービレが溢れる。
パワフルでありながらしなやかさを失わない響きは実に魅力的でした。

1は、シューベルトの交響曲でも、よく演奏される5番と7番に挟まれているものの
演奏自体が珍しいのではないでしょうか。小生も実演は初めてでした。
ハイドンやモーツァルトのような雰囲気が断片的に現れるのですが、全体の印象は
チャーミングで、メータの指揮もいささかの強引さもなく自然なものでした。

1,2ともに暗譜でとおしたメータでしたが、アンコールでは木管奏者が用意していた
譜面台を持ち出して2曲演奏してくれました。

3 ストラヴィンスキー サーカス・ポルカ
4 マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲

4は絶品。「弦のイスラエル・フィル」という伝統に浸る。見事なクールダウン。
ほぼ満席の客席からは盛んにブラボーが飛び、鳴りやまない拍手に
最後はメータ一人でステージに登場してくれました。
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<追記>
久しぶりのシューボックススタイル。3階席2列目ほぼ真ん中で聴きました。
Kitaraでの響きに慣れているせいか、ステージの音が直接耳に届く感じが新鮮というか、
とまどいもありました。眼前で巨大なスピーカーが鳴っているとでも言えばよいのかな。
大ホールは三重県総合文化センターの一角にあります。設立20周年記念事業の
一環で本公演が企画されたようですが、クラシックの演奏会は今回だけでした。
チケットは同センターの「エムズネット」を利用したのですが、これは座席も選べてとても便利でした。

<追記2>
メータ&イスラエル・フィルは2000年3月にKitaraで公演していますが、
この時は仕事があり聴けずに終わっただけに、14年ぶりに念願がかないました。

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<追記3>
メータ&イスラエル・フィルの日本ツァーは10/26~11/3で終了していますが、
特別公演でベートーヴェンの第九が11/8~9に東京NHKホールで行われます。
モーリス・ベジャール振付による東京バレエ団との共演です。

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by capricciosam | 2014-11-07 07:11 | 音楽 | Comments(0)

デュフィ展@愛知県美術館2014

西洋美術の中でもデュフィはピカソなどに比べると、それほど有名ではないのかもしれない。
「知る人ぞ知る」的な作家の一人と言えるのかな。
初めて出会った作品は覚えていないのですが、大胆な色彩と、描きなぐったか、のような
荒荒しい線による構成が特徴的で、遠景でとらえた場合の人間や葉などは
あたかも素人でも描けるのではないか、と勘違いしそうなくらいです。
具象画のような精密さとは対局にある絵でしょう。
今回デュフィの裸婦像を初めて鑑賞しましたが、そもそものデッサン力自体にも疑問を
感じるくらいでした。しかし、十分個性的であるため、語弊はありますが、
「ヘタウマ」という言葉があてはまりそう。

もっとも、絵全体として醸し出される魅力は格別で、鑑賞者を魅了するのは間違いありません。
ひとつは、大胆過ぎるくらいの独特にして鋭敏な色彩に対する感覚ではないでしょうか。
青色を基調に複数の原色を大胆に配置していくのですが、効果的に画面全体に
独特の雰囲気を与えています。画家なりの計算は当然あったにしても見事なものです。
もうひとつは早描きしたかのようなラフな線。しかし、それが無数あることで画面全体に
軽快なリズムを産み、躍動感とも、沸き立つ感じとでも言うのでしょうか、
モダンでエスプリに満ちた雰囲気が充ち満ちてきます。
この二つの要素がデュフィ作品を特徴づける最大のものであり、デュフィ好きには堪らない。

今回は回顧展のため、初期の作風から変化していく様を観ることができたのは幸いでした。
また、絵画だけでなく、挿絵、陶器の図柄、テキスタイル・デザインまで広範に網羅して
彼の画業を紹介していたため、初めて知ることも多く、ますます彼への興味が深まりました。
特に、テキスタイル・デザインは現代でも十分通用するのではないか、と思いました。
しかも、出品の大半は国内の島根県立石見美術館でした。
コレクションなのでしょうが、見事なものです。

東京、大阪と巡回し、名古屋が最後、12月7日まで。
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<追記11.8>
展示されていた作品のひとつに「オーケストラ」がありました。
作品近くの説明によると指揮者シャルル・ミュンシュと親交があったようです。
とすると、この絵に描かれているのはシャルル・ミュンシュなのかな?
また、この作品でティンパニの描かれ方が現在みるセッティングとは違います。
当時は、こういう風にセッティングされていたということなのでしょうか。

<11.16追記>
ラウル・デュフィ(1877-1953)
シャルル・ミュンシュ(1891-1968)
作品「オーケストラ」が制作されたのは1942年ですから、
親交を重ねた期間としても短くはなかったようですね。

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by capricciosam | 2014-11-04 22:46 | 展覧会 | Comments(0)