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ルーブル美術館展@国立新美術館2015

マグリット展を見終わったら空港へ移動する時間が近づいたが、
それでも少しだけ時間が残っていたので、迷わず「ルーブル美術館展」へ。
目的はただひとつ。本展のポスターにもなっているフェルメールの「天文学者」。
急いで展示室を抜けていったら、凄い人だかりができていたのでそれとすぐわかった。

世界屈指の規模を誇るルーブル美術館だが、フェルメール作品はわずか2点しか
所蔵していない。「レースを編む女」と、今回貸し出された「天文学者」。
現存するフェルメール作品のモデルの多くは女性なのだが、男性が大きく
取り上げられているのは「地理学者」と「天文学者」だけ。
顔や様子が似ているため同一人物をモデルとした説もあるが、トロニーという説もある。
また、「地理学者」のほうは室内には光がたっぷり差し込み明るく、輪郭もくっきり
としているのに対し、今回展示されている「天文学者」は黄色みを帯びた光でやや薄暗く
全体の輪郭もやや曖昧だ。それぞれに味わいは異なる。
フェルメールの作品には描写されている背景の絵や机上のものを何かの暗喩として
解釈する場合が通例なので、今回鑑賞するときも目を凝らしてみたのですが、
よくわからない。まぁ、それは無理というものでしたね(笑)

フェルメール以外の作品は流し見程度で実にもったいなかったが、時間もないため
やむを得なかった。まぁ、尾形光琳、マグリット、フェルメールととらえて満足している。
フェルメール作品は世界で30数点(ほとんど欧米、日本には一点もない)と言われているが、
若い頃札幌で開催されたマウリッツハイス王立美術館展で観た「真珠の首飾りの少女」以来、
2008年の東京都美術館での「フェルメール展」を経て、今回で合計9点を鑑賞できたことになる。
現存するうちの約4分の一。国内でこれだけ観ることができたら御の字というものだ。
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by capricciosam | 2015-05-24 06:09 | 展覧会 | Comments(0)

マグリット展@国立新美術館2015

根津美術館で尾形光琳をみ終わってから青山霊園を横切って国立新美術館に移動。
日帰りのため残りの時間で「ルーブル美術館展」を観ていくか、と考えていたが、
同時に開催されていた「マグリット展」が13年ぶりの回顧展とわかり、
急遽こちらをじっくり鑑賞することにした。
(もっとも、駆け足で「ルーブル美術館展」も覗いてきたのだが、これは別途記述。)

マグリットについては代表作は観たことがある程度だったので、画業を俯瞰的に
鑑賞できる回顧展は願ってもないことだった。
ルネ・マグリットはベルギーの代表的画家で、かつ20世紀美術を代表する芸術家。

「言葉やイメージ、時間や重力といった、私たちの思考や行動を規定する"枠"を
飛び越えてみせる独特の藝術世界は、シュルレアリスムの範囲にとどまらず、
その後のアートやデザインにも大きな影響を与えました。」
(以上、マグリット展のちらしから引用)

キュビズムの影響を受けてシュルレアリスムに至るのだが、シュルレアリスムである
以上、ひとつの作品の中が合理的に理解される訳では決してない。
むしろ、ありえない要素が詰め込まれることで、鑑賞する者の脳内が
異物感でざわつき、刺激される。そこに鑑賞するダイナミックさが生まれる。
初期は画家の観念が思うように作品に昇華していない「もどかしさ」の気配がある。
それが、のどかな田園を写生しているキャンバスが透明化してキャンバスが
風景と一体化してしまう発想豊かな作品辺りから内面の充実が作品に表現されて
いき、次第に画風も安定していき、鑑賞する側も安心して作品に没入できる。
本展覧会のチラシに採用されている「ゴルコンダ」や、「光の帝国Ⅱ」「空の鳥」と
いったマグリットを代表する作品の多くはこういう画風の安定した時期に製作されている。
改めて、これらの作品の不思議っぷりに魅了される刺激的な展覧会だった。
6月29日まで開催。
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by capricciosam | 2015-05-23 17:27 | 展覧会 | Comments(0)

尾形光琳300年忌記念特別展@東京・根津美術館2015

今年は尾形光琳没後300年忌にあたるということで、根津美術館所蔵(東京)の
「燕子花図屏風」(国宝)とMOA美術館所蔵(熱海)の「紅白梅図屏風」(国宝)が
56年ぶりに一堂に展示された。2点とも美術の教科書ではよく掲載される
有名な作品であるし、国内にあることからいつかは観たいものだと思っていたが、
東京、熱海と少し距離があるためおっくうが先に立つ悩ましさがあった。
それだけにこの機会を逃すと後悔するなと思い、急遽出かけてきた。

この2点は先に展示されたMOA美術館では対面で展示されたようだが、
根津美術館では並列して展示されていた。実物を観るのは初めてだったが、
「燕子花図屏風」が六曲一双であるのに対して「紅白梅図屏風」は二曲一双と
大きさの違いに改めて気づかされるが、この辺りは印刷物ではわかりにくい。

「燕子花図屏風」は右隻と左隻では様子が異なり、一般的に有名なのは右隻だろう。
右隻では画面一杯にほぼ水平に燕子花がリズミカルに繰り返されるが、左隻では
右肩下がりにフェードアウトするように画面から消えていくため金地の余白が目立ち、
余韻を生んでいる。いずれも金箔に限られた色と単純化された描写が心地よい韻律
を生み出していることは間違いない。今回の展示会のタイトルに「光琳デザイン」とある
のが合点される現代にも通用する優れた意匠性を獲得しているのではないかと思う。

本作品が光琳40歳代の作品であるのに対して、一方の「紅白梅図屏風」は晩年の作品。
真ん中に黒々とした川を配置して、右側には若さを象徴する紅梅が描かれ、左側には
老いを象徴する白梅が描かれている。幹はどちらもたらしこみ技法で味わいがある。
作品解説には「拮抗」と「調和」というキーワードが見られたが、静と動の対比も鮮やかで
黒々とした川の配置も含めて緊張感とともに謎めいた奥行きの深さを感じさせる。
どちらかと言えば「燕子花図屏風」見たさが強かったのだが、見終わると
「紅白梅図屏風」の凄みが強く印象に残ることになった。

本作品以外にも尾形光琳の多様な活動の成果が展示されていた。
中でも、「紅白梅図屏風」の流水の表現に通じるような2つの「流水図乱箱」や「香包」が
印象に残っているが、尾形光琳の画業を広範に紹介する充実した展示であった。
北海道から足を運んで正解だった。
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<蛇足>
チケットを買おうと入口に並んだら、団体が入場するらしくちょっと待たされた。
すると案内する人が「エムオーエーの方はこちらから入場してください。」と言っていたが、
なるほどね。当日は東京でも今年初の夏日ということで、日傘を差したご婦人が目立った。
庭園の燕子花は見頃をやや過ぎていたが、見事な手入れには感心した。
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by capricciosam | 2015-05-14 07:53 | 展覧会 | Comments(0)