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ヨーン・ストルゴーズ&NHK交響楽団@Kitara2015

【プログラム】

1 ベートーヴェン 「エグモント」序曲
2 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37
3 ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調作品67「運命」

前回N響を聴いたのは2012年だから3年ぶりとなる。
最初プログラムを見た時は
「なんだ、地方公演向けのオール・ベートーヴェン・プログラムか」
のような、少々がっかり感をともなったものものだった。
しかし、終演後はそんな当初の気分は何処へやらで、
N響の持つポテンシャルにすっかり満足して帰路についた。
音の密度が高いとでも言うのだろうか、力感みなぎるアンサンブルが大ホールに
満ちる様は、例えばPMFオーケストラとは異なるプロとしての矜持の高さを
示されたようで、通俗名曲の新たな発見をして感動したような気分であった。
もちろん、指揮者ヨーン・ストルゴーズさんの解釈も貢献したとは思うものの、
篠崎コンマス以下、オケの力の比重が高かったように思う。
満席の大ホールからの盛大な拍手に応えてアンコールを一曲。

シベリウス アンダンテ・フェスティーボ

ストルゴーズさんはヘルシンキ・フィルの首席指揮者を務めるだけに、
この曲での指揮は水を得た魚状態。素敵な締めくくりでした。

2ではアリス=沙良・オットがソリストとして登場。
3年前、フランクフルト放送交響楽団との来札公演で一度聴いているが、
相変わらず、すごいテクニックだなと感心した。3年前より深化している感じがする。
しかし、打鍵が総体的に弱く、作品への肉薄ぶりがあまり感じられなかった。
またオケも抑制され過ぎていたように思うので、なんとなくこじんまりした印象で、
高水準な演奏ではあるものの、総体としての満足度はもう一歩だった。
鳴りやまぬ拍手に応えてソリスト・アンコールを一曲。

リスト ラ・カンパネラ

彼女の持つ天性の奔放さが見事に現れた思い。圧巻。

3年前は裸足で登場しびっくりさせられたアリスさんだが、
今回は足元が見えないロングドレス姿のため裸足かどうかは判らずじまい。
熱心な追っかけの方によれば、ラメ入りの黒ドレス姿は今回のツアー初日の
東京と札幌のみのようです。また、会場ごとにソリスト・アンコールが異なった
との情報もありますから、引き出しの多い人なんですね。期待しましょう。

今回は東北北海道ツアーとして、8/21東京を皮切りに8/23郡山、8/25青森、
8/26函館、8/28旭川、8/29北見、8/31札幌と同一プログラムで行われた。
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<追記9.4>
記事の一部を修正しました。

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by capricciosam | 2015-08-31 23:57 | 音楽 | Comments(0)

鴨居玲展-没後30年・踊り候え-@道立函館美術館2015

道立函館美術館の特別展示室は出口が自動ドアで喫茶売店スペースに
つながっている。展示を見終えたら、おくつろぎくださいとの趣向らしい。
そしてそこで図録や絵はがきが売られているのだが、覗いてみたら
絵はがきサイズの鴨居玲の写真まで数カット売られていた。
まるでプロマイドだが、実際彼は美男子なのだ。

今回は展示の所々に鴨居玲の生前のスナップ写真が飾られていて、
作品の生まれた状況を理解する手助けになっているが、
眉間にしわを寄せた苦み走った顔や屈託なく笑う顔の、なんと素敵なことか。
確かに手助けの側面もあるが、鑑賞者が対峙している作品は総じて重苦しく、
苦悩に満ちた印象が強いだけに、むしろ混乱を生み出す要素でもある。
「本当に、これら(作品)の生みの親なのか!?」
思わず作品とのギャップを感じずにはいられなかった。

彼の作品は決して多彩と呼べるものではないし、活きる活力を与えるなんて
要素とは無縁と言っても過言ではない。むしろ、繰り返し描かれた作品の
モチーフは「苦悩」と一言で極言できるのかもしれない。
従って、どの絵も似たような印象すら与えかねない。暗褐色の沈んだ背景に
人生に疲れ果てたような懊悩する人物が繰り返し描かれたような印象すら残る。
その人物は姿形を変えたとしても、画家そのものを投影したようだ。
人の生の営みを阻害しかねない強い力は何も画家だけが有するものではない。
誰もが有する側面なのだが、普段は直視することは少ないのかもしれないだけに
人生を賭けてそれを描いた生き様の凄まじさ、痛々しさに立ちすくむような思いを
抱かざるを得ないのだ。その点では強い共感を覚えるとも言える。
作品そのものは万人向けとは言い難いが、その強い磁場は観る者を引きつけて止まない。

今回の展示はⅠ初期~安井賞受賞まで、Ⅱスペイン・パリ時代、
Ⅲ神戸時代、Ⅳデッサンと4部構成で約100点が展示されている。
没後30年を記念して東京ステーションギャラリーを皮切りに全国を巡回中。
道立函館美術館では9月6日まで。以降石川県立美術館、伊丹市立美術館へ。
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<追記>
作品の中には、「踊り候え」「酔って候う」と題名のある作品が。
「酔って候う」は司馬遼太郎の作品からとのことだが、室町時代の「閑吟集」には

憂きも/ひととき/うれしきも/思い醒ませば/夢候よ/酔い候え/踊り候え

とあるらしい。
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by capricciosam | 2015-08-26 22:31 | 展覧会 | Comments(0)

志の輔らくご昼の部@富良野演劇工場2015

久しぶりの落語会は柳家小三治師匠以来5年ぶり。
(3年前の六代桂文枝襲名公演は漫才、歌ありのバラエティショー的なものだった)
立川志の輔師匠はTV「ためしてガッテン」(以下、「ガッテン」という。)でおなじみだが、
落語は聞いたことがなかったので楽しみに出かけた。

最初に登場したのは5番目の弟子の立川志の彦。
落語の制度をカースト制度に例えて、昨春二つ目に昇進してようやく人間になれた
と笑わせる。震災ボランティアで行った石巻での老人相手の笑わない落語会の
オチは笑わせるが、高齢化社会ではちょっと考えさせられる話。
枕を終えて、夏の定番の「青菜」へ。
よどみない語り口で、動物園での見合い話も挿入して、間の取り方も悪くなかった。
通常どおりの弁慶オチだったが、同日名古屋で立川流の方が義経ジンギスカン説で
下げたという話を聞いた。「ジンギスカンにしておきなさい」と演ったのかな!?

次に志の輔師匠が登場。
「11年目になります。こんな暗闇へようこそ(笑)※シンプルの極みのセットで
ずーとこのまま。師匠がでるならマイクを黄金にすれば良いのに(笑)」
TV「世界不思議発見」ロケでシンガポールから一昨日帰国したばかりで
昨日富良野に来たとのこと。風水で物事を決めるシンガポール事情、
お盆が二つある話、と続き死後の世界へ。三途の川を渡った冥土安定所での
いろんな亡者の場合に笑わせられるが、冷蔵庫の話は意表を突かれて大笑い。
そして北陸新幹線開業から長野善光寺へといき、「お血脈」へ。
まずご自分の体験を話されたが、おばあちゃんとのエピソードには笑った。
そして「ここまでガッテンしていただけましたでしょうか?」と突然ガッテンネタ(笑)
それからは淡々とお血脈へ、とはいかずにニセ善光寺、地獄タウンページと
笑わせてオチへ。話のテンポも良く、うまいねー。

さて休憩かと思ったら、三味線を抱えた長唄の松永鉄九郎さんがすぐに登場。
三味線の「ひく」「すくう」「はじく」で川の流れる様や出語りでの大薩摩を15分程。
「うまいもんだねぇ~」
引っ込んだところで、再び志の輔師匠が登場。

「若い頃はギター最高でいろいろさわったけど、この頃は三味線が良くなる。
(人生も)晩年になったんだなぁ~」と笑わせる。
デザインの話から似てる似てないのオリンピックエンブレムの話になって
古典芸能は同じ話をみんな自由に演るという話に。確かにそうだね。
小話をいくつか演った後に、お馴染み「三方一両損」へ。
定番のオチを演りつつ、ひとひねりして別オチでさげたが、これもおもしろいね。
これは立川流独自なのかな?

もう終わりかと思ったら、「ここで15分の休憩をいただきます」とのアナウンスが。
「えっ、もう一席聞けるの!?」と驚きつつ内心大喜び。

休憩を終えて、志の輔師匠三度目の登場。
「通常は新作、古典の2席なんですが、今日はお盆特集(笑)
富良野では11年になるんですが、誰から脅迫されて演っている訳ではなくて
良い気が流れているんですね。気持ち良くて、つい11年経った。」
(スタッフの人には最高のほめ言葉でしょうね。)
旅とは良いもので、いろんな人に出会えると言って、「ねずみ」に。
鼠屋の卯兵衛が左甚五郎に事情を話すくだりは、師匠の語り口のうまさに
会場がいっとき水を打ったようになった。「聞かせるねー」
そして福鼠の評判で鼠屋が繁盛するくだりでは、
「さて、ここで問題です。××は誰でしょうか?書きなさい。」と
再びガッテンネタ(笑)緩急のつけどころも良いね(笑)
45分以上の大熱演でした。

オチでお辞儀したまま舞台はいったん暗転し、再び照明がつき師匠が最後の挨拶。
富良野との関わりを再度話して、最後に
「気象の変動が激しいのでお身体には気をつけて」
と言って降りられました。師匠の人柄がにじみでます。

初めて聞いた立川流、全部古典でしたが、なかなか自由度が高い。
しかし、きちんと本筋は押さえつつ遊び心が楽しい、そんな感想を抱きました。

<追記>
初めて訪れた富良野演劇工場でしたが、客席はベンチシート形式。
客席も傾斜があるので見やすかったですね。内部は黒一色で、
志の輔師匠が挨拶で言った※は、照明を落とすとあたかもそんな感じです。
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<追記8.18>
文の一部を加筆修正しました。

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by capricciosam | 2015-08-15 22:38 | 舞台 | Comments(0)

PMF-GALAコンサート@Kitara2015

4回目を迎えたGALA。
Kitaraでの演奏会を、こういう長丁場スタイルで楽しむというのも
ファンの間で定着しつつあるようで、思い思いに装った女性が目立ちます。
やはり、こういう場は男性は女性にかなわない。

第1部は毎度おなじみ天羽明恵さんの司会進行で。
MCが長くなりがちなのはステージでのセッティングに時間がかかるためで、
「つなぐ」という意識を常に強いられるため、大変だろうと思います。

1 デュカス:「ラ・ペリ」のファンファーレ
開場を告げるトランペットによるファンファーレは2回目から定着したスタイルですが、
そのみなさんにより華やかに開幕。

2 オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」からオランピアのアリア
いったんステージそでに退場した天羽さん。お供をつれてぎごちない動きで再登場。
オランピアは19世紀に作られたゼンマイ仕掛けの人形。途中、ゼンマイが切れると
イスに座っていたお供がネジを巻き、再び歌い出すというコミカルな動きと見事な歌唱
を披露。これは楽しい演出でした。思わず昨年の「ナクソス島のアリアドネ」を思い出し、
内心「ツェルビネッタ!」と叫んでいました(笑)
お供はPMF組織委員会の上田文雄理事長(前札幌市長)。小芝居も上手で、さすが
ステージ慣れしてますね。いったんステージからイス等を撤去(時間がかかります)。

3 プーランク:六重奏曲
PMFアメリカにPMFピアニストが登場。2でくつろいだ会場の雰囲気が一気に締まる。
20世紀の作品。多彩な表現が各楽器の異なる色彩で味わう趣がある。
初めて聴いたが、指導陣の達者な演奏で楽しめた。

4 ヴォーカル・アカデミーによるオペラアリア
今年はPMFヴォーカル・アカデミーが設けられており、4名のアカデミー生が登場。
バリトン、メゾ・ソプラノ、テノール、ソプラノの順で歌声を披露。
どんな曲を歌われたのかはパンフレットに記載もなく、天羽さんの口頭での紹介のみ
のため曲名は覚えておらず不明。会場の拍手はテノール、ソプラノにやや多かったか。
指導されたのが、マリオ・デル・モナコが来日初公演した時に相手役を務められた
というガブリエラ・トゥッチさん。相当な経歴をお持ちの方らしいが、もっと時間があれば
(彼らは)もっと良くなるとおっしゃっていたのが印象的。(今回は4~5日程度らしい)

ただ、指揮アカデミーはモーツァルトを一楽章ずつ振ってでもPMFオーケストラと共演
したらしいが、ヴォーカルでは明日のピクニック含めてオーケストラとの共演がない
のが少し不思議。機会をくふうしても良いのでは、との思いが残った。

いったん休憩。(この間ロビーでは天羽さんによるPMF讃歌の練習)

5 モーツァルト:ディヴェルティメント第17番k.334から
コンマスにライナー・キュッヒルさん登場。6-6-4-3-2にホルン2。
たった一人のプロだが、されどプロ。牽引する力量がケタ違いなんだろう。
オーケストラから紡ぎ出される調べのなんたる素敵なことか。
終えてキュッヒルさんがメンバー全員と握手していたのが印象的。
全期間、特に後半はお一人で弦楽器部門の面倒を見ていたのではないかと
推測されるだけに、責任を果たされた感慨もひとしおだったのではないか。

6 ホルスト(田中カレン編/井上頌一詞):PMF讃歌~ジュピター
コンマスはPMF生に変わり、指揮に芸術監督のゲルギエフ登場。
4回目となったが、ブロックによっては起立する人も少ないところもあったようで、
会場の一体感は前回より少し乱れた感じですが、私?ええ、起立しましたとも。
そして歌いましたよ。なんたって、ゲルギエフ指揮で歌えるんですから。

これで第一部を終了したのですが、すでに17時30分。20分の休憩をはさみ
第二部が始まったのは17時50分。パンフレットには【第2部 17:00~】と
記載されているが、約一時間超過。これは昨年同様です。
ステージのセッティングに時間がかかる内容だけに、構成時間の検討が
きちんとなされたのか疑問だが、1時間押しは少し極端。しかも2年続けて。
来年も似たような構成なら、少なくとも第2部の開始時間は、
より現実に近い時間を記載しておくほうが親切ではないかと思う。

第2部からは(今年は記載がないが<プログラムC>の)PMFオーケストラ演奏会。
以下の曲が演奏された。

7 ロツシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
8 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18
9 ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調作品93

7はまとまりは悪いとは思わないが、感興としてはやや乏しい。

8には6月のチャイコフスキー国際コンクールで優勝したドミトリー・マスレエフが登場。
天羽さんもおっしゃっていたが、コンクール後演奏を初めて披露するのがPMFとのこと。
当初予定されていた「皇帝」を変更して望んだロシアものだが、これは素晴らしかった。
若々しく確かな打鍵のせいだろうが、曲の持つリリシズムがリフレッシュされたかの
ごとき思いがした。同年代のマスレエフに刺激されたかのようにPMFオーケストラの音も
ぐっと引き締まり、これも好演だった。ここまでのオケはPMF生のみ。
鳴りやまない拍手にソリストがアンコールを1曲。

チャイコフスキー:18の小品作品72から 踊りの情景(トレパックの誘い)

9はゲルギエフの2004年PMF初登場に続く2回目のショスタコーヴィチ。
彼の個人的葛藤や苦悩が色濃く反映された作品のため、音楽も緊張と弛緩が
極端に現れることで、なお一層ショスタコーヴィチの苦渋を浮き彫りにさせる。
コンマスにライナー・キュッヒルさん、各パートの首席にはPMFアメリカの指導陣。
さらに音の厚みと豊かな表情を獲得したオーケストラをゲルギエフは
自在にコントロールし、圧倒的な熱演を引き出した。ブラボー!
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<追記>
カメラが複数台設置され収録。その周辺を覗いてほぼ満席。
場内アナウンスでは「インターネット配信のための収録」のように言っていたが、
地上波やBSでは放送はなく、ネット配信のみとなるのだろうか。
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by capricciosam | 2015-08-01 22:11 | 音楽 | Comments(0)